JA/EN

AI検索

関連ハッシュタグ

Articles

「VAN(ヴァン)」の歴史と振り返る“アイビールック”と“みゆき族”

2024.11.11
1960年代、日本に“アイビールック”というスタイルを浸透させた「VAN(ヴァン)」。戦後における日本のファッションの発展に大きく貢献したブランドというと堅苦しいが、ブランド設立から70年以上が経った現在でも、若い世代のデザイナーからコラボレーションのラブコールが絶えないという事実がそれを物語っている。
今回はVANの歴史と基礎知識的なところを、株式会社ヴァンヂャケットのプレス担当に取材を行った。

アイビールックをいち早く日本で取り入れた

「VANが誕生したのは1948年で、創業者は石津 謙介(いしづ けんすけ)という人物です。戦後の日本に洋服の文化とともにアメリカンカルチャーを広めた人物として知られています。
最初はスーツ、当時でいう“背広”を作っていたのですが、その頃アメリカでは、アイビーリーグの学生たちの間で“アイビールック”という紺のブレザーや、ボタンダウンシャツにスポーティなカジュアルテイストを取り入れた、アメリカントラッドスタイルのファッションが流行っていて、そのスタイルをいち早く日本で紹介したというのが、近年のVANのイメージに繋がっていると思います」
1960年代の展示会の様子。IVY(アイビー)というアメリカ東部の大学生たちが愛用するシルエットと、フランス、イタリア人などヨーロッパで好まれているCONTINENTAL(コンチネンタル)、そして当時アメリカの最先端とされていたモードなINTERNATIONAL(インターナショナル)というTHE “THREE”(ザ スリー)というテーマで、3つのシルエットが主軸となっていた
同じく1960年代の展示会の様子。for VARSITY MAN(フォー ヴァーシティ マン)と銘打ち、ジャケットスタイルにカジュアルやスポーティなテイストを提案し、アイビールックが確立されていく

アイビールックのバイブル『TAKE IVY(テイク アイビー)』

VANは1965年に『TAKE IVY(テイク アイビー)』という映像作品と写真集を発表する。これがその後の日本のアイビールックに大きな影響を与える。
「このTAKE IVYは石津 謙介氏の長男で祥介(しょうすけ)氏とカメラマンの林田 昭慶(はやしだ てるよし)氏が、アメリカで現地のアイビーリーガーたちのリアルな姿を撮影し映像と写真をまとめたものなのですが、この写真集は発売後に、アイビーやアメリカントラッドスタイルのバイブルとして語り継がれるものになっていきます。
廃刊と復刊を繰り返し、2000年代にはアメリカ版も発売されました。アメリカで撮影した和書が逆輸入のようにアメリカで売られるというのもすごいお話だと思います」
TAKE IVYの表紙

VANの代名詞「スウィングトップ」

ここからはVANの代名詞である「スウィングトップ」を引き続き歴史を振り返りながら紹介してもらおう。
「この『スウィングトップ』はVANが作った言葉です。このタイプのアウターは英語だと『ドリズラー』になると思うのですが、VANがスウィングトップと名付け、それが全国に広がりこの形のアウターがそう呼ばれるようになりました。
余談ですが、他にもトレーナーや、スケボーなどはVANが作った言葉で、その後広く使われるようになったものがたくさんあります。
スウィングトップが発売された1960年代は襟裏にチンストラップがついた形だったのですが、その後襟が長いドッグイヤー型が定番として現在まで続いています。
そのほか、ラグランスリーブの袖やマガジンポケットという大きな内ポケットは当時と変わらないディテールになっています。このマガジンポケットですが、当時新聞や雑誌を二つ折りにして持ち歩く人が今より多かったため、その際に便利なポケットになっていたようです。
現在はこのマガジンポケットの上にもうひとつ、スマホが入れられるサイズのポケットがつきアップグレードされています。また、フロントファスナーにオリジナルのチャームをつけたり、ロゴ入りのボタンに変わったり、定番とはいえ少しずつアップグレードされています。
背中に入った大きなロゴ刺繍は、ブランドのアイコンとしてこのアイテムに存在感を与えています」
バックロゴ刺繍スウィングトップ 33,000円(税込)

「段返りブレザー」とみゆき族

VANを語るうえでもうひとつの重要なアイテムとして、ブレザーは欠かせない。
1964年に“みゆき族”と呼ばれた若者たちが現れる。これはアイビーファッションに身を包み東京 銀座のみゆき通りに集まった若者たちをそう呼んでいたという。
時を同じくして社会現象といわれるほどだったアイビーブームを象徴する存在だったそうだ。そんな彼らにとってもVANのブレザーはマストアイテム。このブレザーについても詳しくお話を伺っていこう。
「当時のアイビースタイルはブレザーにボタンダウンシャツ、コットンパンツにローファーというアイテムが基本だと思うのですが、そこで定番となっていたのが『段返りブレザー』です。
3つボタン仕様の第1ボタンがラペルで隠れていて、真ん中の第2ボタンだけとめるというスタイルは、VANに限らずアメリカントラッドの定番となります。
VANではブランド初期の頃にも『IVY MODEL』というブレザーを出していて、これは3つボタンの上の2つをとめて着るもので、スタイルの変遷がわかりますね。現在はパターンメイドにて対応しています。
そしてみゆき族といえばVANの紙袋を二つ折りにし、クラッチバッグのように脇にはさんで持ち歩く、というのが彼らのなかで流行し、みゆき通りではVANの紙袋を持った人が多く見られたといいます。この事柄からもVAN=みゆき族というイメージがついたのかもしれません」
写真 向かって左:古いブレザーの広告、年代は不明
写真 向かって右:みゆき族がこぞって持った紙袋のデザインが載った1967年社内報の表紙
段返りブレザー 59,400円(税込)
段返り部分

マイケル・ジャクソンも着た「スタジアムジャンパー」

スウィングトップ、ブレザーと定番アイテムを見せてもらったが、VANの定番と呼ばれるアイテムはそのほかにも「BDシャツ」、「トレーナー」、そして「スタジアムジャンパー」などがあげられる。
そこから「スタジアムジャンパー」を紹介してもらおう。今シーズンは特におすすめしたい限定の「プレミアムスタジアムジャンパー」というシリーズがあるという。
「1988年に制作したスタジアムジャンパーをマイケル・ジャクソンが来日した際にヴァンヂャケットの社員がプレゼントとして当時手渡したもので、その後自叙伝の『MOON WALK(ムーン ウォーク)』をはじめ、約1万7500人のファンが集まったマイケル・ジャクソンの追悼式でも大きなスクリーンに映し出されるなど、着用している写真がいくつも残されています。今回は顧客様を中心に復刻モデルとして受注生産のみで製品化しました。」
マイケル・ジャクソンが着用している写真も残されている
プレミアムスタジアムジャンパー<88年復刻モデル> ※現在は受注終了
「そしてもうひとつ“アメリカンフットボール”をテーマにフルデコレーションを施したジャンパーもご紹介させていただきたいのですが、VANは1964年に『VAN GUARDS(ヴァンガーズ)』という名のアメリカンフットボール・チームを発足し、1970年代のアメフトの普及に貢献しました。この事柄になぞられてスポーツをテーマにした2024秋冬モデルになります」
プレミアムスタジアムジャンパー <アメリカンフットボール> 92,400円(税込)
VANのメインロゴには「for the young and the young-at-heart(若者と若い心を持つ全ての人に)」というスローガンが書かれている。
ここで書かれているように、アイビールック大ブームの時代から、その後の1970年代、1980年代に若者だった世代のお客さんが現役の顧客としてたくさん存在する一方で、さらにはアイビースタイル、アメリカントラッドを愛する20代~30代のファンも少なくないという。
日本のアイビースタイルのパイオニアとしてこれからも新たな歴史を作っていくことだろう。
旗艦店となる日比谷OKUROJI店。VANは全国26店舗の直営店などで展開中

Tags

Related Articles

Related Database