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2024.07.03

世界初の赤紫蘇エキスの実力とは:化粧品成分に説得力をもたらす産学官連携研究所

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赤紫蘇に特化した研究所「一般社団法人芦屋町赤紫蘇研究所」が、福岡県遠賀郡芦屋町にある。ここでは産学官連携による研究が行われており、赤紫蘇の美容・健康効果について大変興味深い研究結果が出ているようだ。
今回は、一般社団法人芦屋町赤紫蘇研究所の代表理事・金井誠一さんを取材。赤紫蘇に特化して研究所を設立した経緯と注目の研究結果について、金井さんに伺った。
PROFILE|プロフィール
金井 誠一(かない せいいち)
金井 誠一(かない せいいち)

一般社団法人芦屋町赤紫蘇研究所 代表理事

芦屋町赤紫蘇研究所発足のきっかけはユーザーからの声

金井さんによると、代表を務める化粧品製造工場・パルセイユ株式会社のある芦屋町は赤紫蘇の特産地であり、赤紫蘇と出合うのは必然だったと話す。
「芦屋町赤紫蘇研究所設立前から、パルセイユでは和製ハーブの研究を長年行っており、地元の和製ハーブである赤紫蘇を用いた化粧品の試作にチャレンジ。赤紫蘇をエキス化、精油化すると、非常に香り高いものが完成しました。
しかし、赤紫蘇エキスや赤紫蘇精油はこれまでにINCI登録(化粧品の国際的成分表示名の登録。化学的に同じ成分が別名称で複数存在することを防ぐために、成分の製造法や化学的構造を含めて成分名称登録をする)がされていなかったことが判明。
INCI登録がされていないということは、赤紫蘇エキスや赤紫蘇オイルは弊社でINCI登録ができれば世界初の成分となります。今後、赤紫蘇を弊社のキー成分として開発していきたい思いがあったため、INCI登録を試みて無事に取得することができました」
その後、赤紫蘇を用いた商品化は順調に進んだそう。それに伴い、ユーザーから赤紫蘇の効果効能についての問い合わせが増加。販売量が増えていくにつれ、自分の肌に合った化粧品の成分の詳細を知りたい人が増えるのも当然だ。
「ニキビで悩んでいたお客様が、赤紫蘇の化粧水を使うと調子がいい。赤紫蘇のシャンプーを使用すると髪がイキイキする。赤紫蘇ブースターオイルを使用すると花粉のシーズンも快適に過ごせるといったうれしい感想や、赤紫蘇についての質問が日に日に増えていきました。
しかし、お客様の“なぜ?”に十分答えることができず……。紫蘇の文献を頼りに、わかる範囲で回答するしかなかったのです」
薬機法、景表法など、化粧品関連法の関係で商品についての効能効果を安易に謳うことはできない。しかし、赤紫蘇成分自体のエビデンスがあれば、信頼感や期待感は増すだろう。金井さんは、満を持して決断した。
「赤紫蘇の成分を明らかにすべく、国立大学、久留米リサーチ・パーク、弊社の産学官連携による研究をスタート。そしてこの研究を継続的に行える機関として、一般社団法人芦屋町赤紫蘇研究所を設立しました。地元芦屋町の特産品を専門に研究する機関として、今現在も研究を続けています」
芦屋町赤紫蘇研究所では、赤紫蘇の研究成果を特許出願。驚きの結果が出ているので紹介したい。
(1)ウイルス結合阻害剤
スパイクたんぱく質を有するウイルスが細胞に感染する際、アンジオテンシン変換酵素Ⅱ(ACE2)が受容体となる。芦屋町赤紫蘇研究所の研究では、赤紫蘇含有成分がスパイクたんぱく質を有するウイルスとACE2との結合を阻害することを発見。
(2)肌改善剤及びその使用
赤紫蘇含有成分による抗アレルギー、抗ニキビといった肌質改善効果についても、エビデンスを獲得。
このような研究結果が出ている赤紫蘇。梅干しや紅ショウガの着色にも用いられている身近な植物だが、その秘めたるパワーを知ると見方が変わりそうだ。
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