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2024.06.14

ミストなのに肌に密着? ビオレUV「瞬感ミストUV」の日焼け止め革命

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花王株式会社の「ビオレUV」は、日焼け止め市場売り上げNo.1ブランド[1]だ。日本の日焼け止め市場をリードし続ける存在として、これまでも数多くの画期的な商品を展開してきた。
その中でも、2022年に一部ドラッグストアで限定発売され、2023年に全国発売となった「アクアリッチ アクアプロテクトミスト」(以下、瞬感ミストUV)は、ノンガスミストタイプで軽い使用感ながら高い紫外線防御効果を発揮してくれると瞬く間に話題となり、全国発売初年度は累計670万本を出荷(本体とつけかえ用を合算)。発売されるやいなや、全国のドラッグストアから姿を消したのは記憶に新しい。
一体「瞬感ミストUV」はほかの日焼け止めと何が違うのだろうか? 今回は花王スキンケア研究所の福井さん、中谷さんに、「瞬感ミストUV」の開発のきっかけやこだわり、商品の魅力についてお話を伺った。
PROFILE|プロフィール
福井 崇(ふくい たかし)

スキンケア研究所室長。日焼け止めなどの研究開発に携わっている。

PROFILE|プロフィール
中谷 有沙(なかたに ありす)

スキンケア研究所主任研究員。入社以来25年間、化粧品の開発研究に従事。

オケージョンからデイリーへ。毎日使える日焼け止めを目指して

御社の日焼け止め研究はいつごろからスタートしたのでしょうか?
福井崇(以下、福井)日焼け止めの研究は1980年代にスタートしています。当時、日焼け止めは海やプールなどのレジャーで使うものという認識だったのですが、花王としては毎日のUVケアがとても重要だという考えがありました。
ビオレは洗顔や洗浄剤、ケア剤など生活に身近な商品を数多く出していたので、レジャーのときだけでなく毎日使ってもらえるような、軽い使い心地とUVの防御効果の両立にこだわって研究していったのが始まりです。
これまで数多くの日焼け止めを発売されてきましたが、転機となった商品を教えてください。
福井日焼け止めのシーンを変えた製品として、大きく3つの転機があったと思っています。
1つめは1997年に発売した「さらさらUV」です。当時はSPFの上限がなかったため、SPFの高さを競うような空気があり、花王でもSPF75や100の日焼け止めがありました。
SPFが高いものはやはり日焼けを防ぐ成分の配合量が増えます。その成分は吸収剤や散乱剤と言われますが、吸収剤は油なのでベタついてしまいますし、散乱剤は粉なので白くなったりカサカサしたりするんですね。そうなると毎日使うには適さないような感触になってしまいます。
そこで、毎日使ってもらうために「日焼け止めなんだけどさらさらする」という新しい切り口で発売したのが「さらさらUV」です。
「さらさらUV」は容器を振って使う2層タイプなのですが、この商品をきっかけに2層タイプの日焼け止めが主流になっていったのかなと思います。
2つめの転機は2010年に発売した「アクアリッチシリーズ」です。2010年ごろまでは、「さらさらUV」のようなオイルベースで振るタイプのさらさらした日焼け止めが主流でした。
その中で、毎日ケアする美容液のような使い方ができる日焼け止めができないかと考えて発売したのが、ジェルタイプの「アクアリッチシリーズ」です。
「さらさらUV」は日焼け止めの利用シーンをオケージョンからデイリーへ変えて、「アクアリッチシリーズ」はデイリーの中でもさらに使い心地をよくして、スキンケアに近いようなものにできたのかなと思います。

3つめの転機、「瞬感ミストUV」の誕生

アクアリッチ アクアプロテクトミスト(通称:瞬感ミストUV)
アクアリッチ アクアプロテクトミスト(通称:瞬感ミストUV)
福井そして3つめの転機が2022年に一部ドラッグストアで限定発売した「瞬感ミストUV」です。日焼け止めは汗や擦れなどで流れたり使っているなかで効果が落ちてしまうので、塗り直しがすごく重要です。
「瞬感ミストUV」は、その手軽さから実際に塗り直しをしてもらえるようになったという点で、お客様の生活行動を変えたというか、使用場面を変えたというところが転機でした。
「瞬感ミストUV」の開発のきっかけを教えてください。
中谷有沙(以下、中谷)私はもともと、日焼け止めの中でもエアゾール缶のスプレー製剤を担当していました。スプレーの日焼け止めって、お客様にとっては「簡便で手を汚さずに塗れるけれども、肌についている実感がない、塗れているか不安」というイメージがあり、実用的というよりはお守り的な日焼け止めという立ち位置であることが多いんです。
スプレーもSPF50やPA+++、PA++++という効果があるのに、どうしてもそういうイメージを持たれてしまうので、「一本でもしっかりと効果を発揮する」という安心感を持ってもらえる、均一な塗膜のような状態を作ることができる製剤を開発して、お客様の不安を解消したいと思ったのが最初のきっかけです。
エアゾールの課題を挙げていくと、むせる、使う場所を選ぶ必要がある、中身が見えない、ガスが嫌だ、捨てるのが大変、油っぽいイメージがある、飛行機への持ち込みができないなどがありました。ただこの課題をクリアするためには、エアゾールでは限界があると思いました。
日焼け止めを塗り直すためには持ち歩いてほしい。「じゃあいつでもどこでも何度でも使いたくなるようなUVミストを作ったらいいんじゃないの?」というのが最初の着想でしたね。
具体的にどのようにしてアイデアを形にしていったのでしょうか?
中谷まず興味を持って手にとってもらうために、使ってみたいと思ってもらえる斬新な外観にすることと、気持ちよく使えて効果が高いということを両立したいと思いました。
外観は、エアゾール缶の場合は残量が見えないという不満があったので、お客様に「何これ、面白い」と思ってもらうために、中身の見える透明容器の日焼け止めスプレーというのを考えました。
また、日焼け止め全般には粉っぽいとか乾燥するといったイメージがあり、エアゾールの日焼け止めは付着感が低いとか油っぽいイメージがあったので、「日焼け止めなのに水っぽくて気持ち良い使用感だったらうれしくない?」というところから、アイデアを広げていきました。
さらに、「水っぽい使用感なのにしっかりと肌を守ってくれるってすごくない?」ということで、シュッとしたら液全体が均一に密着して塗膜を形成するという技術を詰めていきました。
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