60年前、約15万人が生活していたという五島列島は、現在、そのころの3分の1程度まで人口が減少しており、社会問題に直面している。
この島に自生している「椿」に注目し、その椿の生命力を最大限に生かしたコスメを製造・販売することで、島の産業と雇用を創出することを目指す、
五島の椿株式会社 取締役の岡田さんと広報の吉濱さんに、コスメを通じたサステナブルな五島の未来についてお話を伺った。
五島列島は椿の島
九州・長崎の最西端にある五島列島。152もの美しい島々からなる列島で、その大部分は西海国立公園に指定されており、今も手つかずの大自然が残っている。遣唐使や空海ゆかりの地、潜伏キリシタンの文化が根付いたことで建てられた51の教会が残る島は、2018年には
長崎の教会群とキリスト教関連遺産として世界遺産登録がされた場所でもあり、歴史的、文化的な魅力にあふれている。
「島には古くから藪椿(やぶつばき)と呼ばれる約1,000万本もの椿が自生しており、その数は日本一。椿から採れる椿油などは島民の暮らしに欠かせないものでした。
椿油の歴史は奈良時代までさかのぼるといわれています。遣唐 使が大陸に向かうときに経由する最後の日本の土地が五島列島だったこともあり、続日本紀という文献の献上品目録には、島の椿油を中国への献上品として持っていった記録も残っています。