これまでさまざまなデジタルコンテンツを提供し、旗艦店では「デジタルとリアルの融合」を目指したというKATEのデジタル施策とは。
花王株式会社でKATEのPRを担当する若井麻衣さんに話を聞いた。
PROFILE|プロフィール
若井 麻衣(わかい まい)
花王株式会社 化粧品事業部門 マステージビジネスグループ KATE PR
時代の空気をキャッチするKATEのコミュニケーション
まずはKATEが誕生した背景を教えてください。
ブランドが誕生した約27年前は、ちょうどメイクのトレンドが変わり始めた頃でした。トレンディドラマに出てくる女優さんをそのまま真似するようなそれまでのメイクから、コギャルや裏原系など、自己アレンジを楽しむ人が増えてきたのです。時代の嗜好が変わっていくなかで、ルールに縛られず、もっと自由に自分を表現できるメイクの提案や商品を届けるブランドを立ち上げようとスタートしたのがKATEです。
そのため、誕生から現在まで、一貫して「NO MORE RULES.」というブランドスローガンを掲げていて、旗艦店のコンセプトにもなっています。ここには「既成概念に縛られることなく、もっと自由に自分を表現しよう」という思いが込められていて、これがKATEのぶれない精神となっています。
KATEはセルフメイク市場で17年連続売り上げNo.1を維持しています。長く消費者を惹きつける理由はなんでしょう?
時代とともに美の価値観も変わっていくなかで、KATEはコンセプトこそ変えていませんが、お客様のニーズに合わせて、伝えるメッセージやコミュニケーションのしかたを変えています。時代のトレンドや気持ちをきちんとキャッチして、それに応じた「NO MORE RULES.」を打ち出すことで、常にお客様にワクワクしていただける商品やコミュニケーションを提案できていると自負しています。
その最新のコミュニケーション方法が旗艦店ということだと思うのですが、今回なぜ旗艦店を構えようと思ったのでしょうか?
ひとつは「グローバル旗艦店」と銘打っていますので、国内だけでなく、海外、特にアジア圏の人にKATEを知ってもらえる機会を作りたいというのがありました。もうひとつは、KATEではこれまでさまざまなデジタルコンテンツを提供してきましたが、リアルとデジタルを融合することでお客様の求めている新たなニーズに応えられるのではないかという思いがありました。デジタルで情報を深く知りたい方だけでなく、リアルな接客で背中を押してほしいというニーズや、コロナ禍がある程度落ち着いたことで、実際に商品を触りたいという潜在的ニーズがあるのではと考えたのです。
ですので、店舗の中にデジタル要素を組み込むことで、店舗ならではのワクワク感であったり、ここに来ると面白いことがありそうという期待感だったり、もっとメイクを楽しもうという気持ちが芽生えるきっかけになれば良いなと思っています。
旗艦店ではどのようなデジタル体験ができるのでしょうか?
まず映像の演出でこだわったのは、エントランスにあるタワーです。右側のモニターはお客様の服の色を粒子に分解することで「既成概念からの解放」を表しています。そして正面のモニターにはKATEのイメージカラーである赤の粒子が湧き上がっています。この2つの粒子が交わることによって「新しい自分に出会う」ということを表現しています。
また、AI技術によりパーソナライズされた4色のアイカラーが自動販売機のように出てくる「KATE iCON BOX」、魔法陣にスマホをかざすことで、KATEの商品をバーチャル空間上で楽しむことがきる「
KATE ZONE」というデジタルコンテンツにもアクセスができます。
KATE ZONEでは、AIによる顔印象分析から自分に合う商品や使い方やメイクのコツを知ることができたり、自分の目指す仕上がりになるためのアイテムを提案したりしています。
他にも顔を撮影するだけで自 分のアバターが作れる「KATE MetaClone®」、なりたい目元や顔の印象に合わせて、ブラシ、マスカラ液、色の組み合わせをカスタマイズできる「MYマスキャラメーカー」も体験することができます。