2021.05.03

アダストリアによるサステナビリティ×テクノロジー

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株式会社アダストリアは、1953年に紳士服小売店として創業し、グローバルワーク、ニコアンド、ローリーズファームなどグループで30を超えるブランドを国内外で約1400店舗展開するカジュアルファッション専門店チェーンだ。「Play fashion!」をミッションに掲げ、「ファッションのワクワクを、未来まで。」というCSRポリシーのもとで多岐にわたるサステナブル施策にも取り組んでいる。

「環境を守る」「人を輝かせる」「地域と成長する」を重点テーマに、未来に繋がるものづくり、環境への配慮と営業活動の両立、ファッションロスのない未来、自分らしくファッションを楽しめる社会、多彩な個性を伸ばし成長する組織、ファッションを通じた出店領域の活性化、生産地域の持続可能な発展をビジョンとして策定している同社は、ファッションを通じた、また同社らしいアプローチが取れるよう具体的な施策を決定しているという。

今回は同社のサステナブルな素材開発や取り組み、そしてアパレル業界におけるサーキュラーエコノミーの実現に向けての展望についてお話を伺った。

サステナブルな素材開発

まず、サステナブル素材開発に注目したい。同社では、ファッション業界が抱える衣料品廃棄や生産過程における環境負荷などの様々な社会課題に向き合い、自社の生産機能を活用した独自素材の開発と商品化に力を入れているという。「エアサーマル®」「ウーリーテック®」もその一環として2019年に独自開発した多機能素材で、「エアサーマル®」は軽量・保湿性・嵩高性の機能を兼ね備えた中綿素材、「ウーリーテック®」は軽量・保湿性・伸縮性の機能を兼ね備えたウール調素材だ。

左:ウーリーテック®拡大断面/右:ウーリーテック®
左:ウーリーテック®拡大断面/右:ウーリーテック®

素材開発領域は「調達」「開発」「原料」の3つの分野があり、特に「開発」の面では、同社の強みであるマルチブランドカンパニーとして、様々なブランドを横串にして新しいことにチャレンジ開発できる体制にあるそうだ。

また、同社はサステナブルコットンも導入しており、2025年までに100%サステナブルコットンへの切り替えを宣言している。コットンにフォーカスを当てたのは、同社のコットンの使用頻度の高さと、従来のコットン産業が抱える生産者と環境への影響からだった。その中で重視していることは社内への浸透だという。サステナブルコットンは業界に明確な定義は無いため、同社としての考えを明確に基準化し、サステナブルコットンの意義や運用方法と一緒に周知してきたことで浸透してきたと感じているという。

テクノロジーの導入も進むサステナブル施策

素材開発以外にも、同社では様々なサステナブル施策を展開している。

顧客の不要な衣料品を回収し、新しい資源にリサイクルする環境活動「Play Cycle !」では、回収した衣料品が日本環境設計株式会社と一般社団法人グリーンダウンプロジェクトを通じて、 洋服の原料や自動車の内装材にリサイクルされる。他にも、未使用の服をアップサイクリングするという取り組みも展開している。着られることのない「倉庫の服」を、シンプルでロスの少ない「黒染め」の手法によって新たに生まれ変わらせるプロジェクト「FROMSTOCK」は、単なる廃棄物の原料化や回収再利用ではなく、キズや汚れも含めてより価値の高いものへと変換する。使用する染料にこだわり、きちんと排水管理を行うことで環境への負荷を低減させるとともに、洋服の素材や特性に合わせ、染めの種類を使い分けているという。

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また、サステナビリティ実現のためにテクノロジーの導入も進んでいる。同社は顧客に透明性と持続性をベースにした新しい価値の提供を目的とし、ファッション業界におけるサーキュラーエコノミーの実現を目指すと共に同社のサステナビリティ経営を加速させる前衛的な役割を担うべく、子会社ADOORLINKを2020年に設立した。ここではAI技術を駆使したサプライチェーン管理によって、生産管理情報を見える化する仕組みを今後構築していく方針だ。このADOORLINKからは今年、新ブランド「O0u(オー・ゼロ・ユー)」が誕生した。デザインやパターンに3DCG技術を活用することで、商品の企画や制作の過程で作るサンプルの量を抑え、AIによる精度の高い需要予測を活用して無駄な調達、生産、そして在庫を削減するという。

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「ファッションのワクワクを、未来まで。」

以上のように、顧客も巻き込みながらサステナブルな社会の道筋を切り拓こうとしている同社だが、アパレル業界におけるサーキュラーエコノミーの実現に向けての展望を次のように語る。

「お客さまに共感いただきながら衣類を循環させる社会づくりができたら面白いと考えています。今、一般の生活者の方の中で必要でなくなった服をリサイクルしている方の割合はどれだけでしょうか。生活者の方にとって衣服をリサイクルしやすい仕組み、リサイクルの出口がそれぞれのニーズや興味関心によって選べる仕組み、自分が手放した衣服が最終的にどのように循環しているのか分かる仕組み、そういったものを様々な企業や行政、団体の方々と協業出来たら、と考えています。」

またテクノロジーに関しては、「アパレルのバリューチェーンは長く、複雑なのが特徴です。それを把握し、サステナビリティを向上させていくにはテクノロジーとの掛け合わせが必要だと考えています。」と語り、「AIの活用による需要予測や3DCGのような新しい技術を活用し、より効率的に生産・供給を進めていくことも今後ますますニーズが高まっていくと考えています。」と予想してくれた。
 
ファッションによるサステナブルな社会の実現のために、AIの活用による生産管理や3DCG技術の導入を実現し、新しい技術の導入にも積極的な姿勢を見せる同社の対応は、私たち消費者を希望ある未来へと導いてくれるものだ。今後の施策にも注目していきたい。

#Sustainability#FactoryTech#3DCG
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