2021.09.20

ニューノーマルな買い物体験を提案する「INSEL STORE」

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新型コロナウイルスによる外出や営業自粛などにより、実店舗の売上が伸び悩むなか、商業施設をはじめとした店舗においては「モノを売る場」というだけでない新たなビジネスモデルの構築が求められている。一方で、ECを基本とするD2Cブランドはコロナ禍の影響はあまり受けておらず、好調な状況がつづいている。しかし、そんなD2Cのブランドのなかでも特にアパレルにおいては、試着ができずサイズ感が分かりづらいことが課題となっている。

そんななか、D2Cブランドのショールーミングストア「INSEL STORE」がキラリナ京王吉祥寺にてオープンした。「INSEL STORE」では、通常は手に取って素材を確かめたり、試着をしてフィット感を確認したりできなかったD2Cブランドの服やアクセサリーを自由に試すことができ、気に入った商品はEC サイトで購入し、自宅など希望の場所への配送で受け取ることができる。ニューノーマルな買い物体験を提案する体験型店舗「INSEL STORE」について、株式会社Qoilの末廣 理史さんに話を聞いた。

『モノ』の実体験×ECの便利さ

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「INSEL STORE」は店舗内で複数のD2Cブランドをまとめてショールーミングを実現している、新しい購買形式を実現した体験型店舗だ。昨今の新型コロナウイルスの影響に伴う外出自粛などにより購買活動を変化させているユーザーに向けて「ショールーミングによるショートタイムショッピング」や「直接試してから買える EC」としてニューノーマルな買い物体験を提案する。

ユーザーは来店すると各商品に付けられているQRコードを自身のスマートフォンで読み込み、それぞれのブランドのECサイトで商品を購入していく。複数のD2Cブランドが共同で出店し一定の周期で店舗の入替を行うため、ひとつの店舗で様々な商品に、またいつ来ても新しい商品に出会うことができるのが特徴だ。

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一方で、出店者側は複数のD2Cブランドを商業施設のスペースに共同出店をすることで、実店舗出店のハードルを下げ、ユーザーと接点をもつことが可能になる。特に生地に特長がある商品など、ECサイトでは動きにくかった商品が、手に取って見てもらうことで購入につながりやすくなるという。

さらに店頭在庫が不要のためコンパクトなスペースで出店費用が抑えられ、また、販売スタッフやデータ取得に必要な機器準備等もすべてパッケージ内に含まれていることから、人件費やオペレーションコストも削減できるという。

店舗内では人流解析のためのカメラを設置。店舗の天井部分に分析用のカメラを導入し、入店数、退店数、来店者の年代、性別の店頭データを取得する。実際の顧客動向をデータ化することで、定性と定量での分析を可能にしている。

<p><span style="color:#000000">店舗内では人流解析のためのカメラを設置。店舗の天井部分に分析用のカメラを導入し、入店数、退店数、来店者の年代、性別の店頭データを取得する。実際の顧客動向をデータ化することで、定性と定量での分析を可能にしている。</span></p>

ECの便利さがより密接に関わり合っていく

こういった「INSEL STORE」の試みによって、末廣さんは実店舗とECの良いところを生かした展開がより増えていくと予想する。「ショールーミングもそのひとつです。実店舗でしか体験できない『モノ』自体の手触りや着心地などの実体験と、どこからでもアクセスでき、購入することができるECの便利さがより密接に関わり合っていくイメージです」。

コロナ禍以前からある程度ショールーミングの形はできていたが、コロナ禍になり、お店の滞在時間もなるべく短くと言われているなかで、より一層今回の取り組みのような形での販売スタイルが増えていくのではないかと考えているという。

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実際に「INSEL STORE」のユーザーからは「持ち帰らなくて済むので荷物にならず楽」、「店舗の外でも購入できるので、ゆっくり自分の欲しいものを見つけることができる」というポジティブな声が多い。一方で、年配の利用者からは「その場で持って帰れるとうれしい」という声もあり、従来の買い物の“商品をそのまま持ち帰れる嬉しさ”を求める声もあったという。

末廣さんに今後の展望を聞くと、まずは「INSEL STORE」を安定させ、一つの事業として横展開ができるように創り上げていくことに注力していくと話す。そのうえで、「INSEL STORE」で進めている新しい購買行動を根付かせるため、様々な場所で展開していきたいと考えているそうだ。ただし、課題はまだまだ多い。「(実際には各ブランドのECサイトで購入できますが)その場で購入まで行えないという課題にも対応できるよう、各ブランドのECサイトと「INSEL STORE」の店頭購買を連携させ、店舗内で決済までスムーズにできるスキームを組み立てられるような試みを行っていきます」

6月30日よりキラリナ京王吉祥寺にてオープンした店舗には、デザイナーの丹羽俊介氏が手掛けるタイムレスなウエアブランド「MEAN」や、スペイン出身のデザイナーによるパリ発の革小物ブランド「ISAAC REINA」など十数ブランドが出店された。今後のブランドに関しては適時入れ替えを検討しているという。コロナ禍において「INSEL STORE」の需要はきっと高まっていくだろう。今後の展開にも注目したい。

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#RetailTech
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