2022.01.10

AIを活用したバーチャル試着体験を提供「kitemiru」

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新型コロナウイルス感染拡大を受け、アパレル業界ではEC市場が急成長しているなか、様々なデジタル技術のサービスが誕生している。ECを利用する上で最も気になる点が商品の試着ができないことだろう。そんな課題を解決する新しいデジタル技術のサービスがある。

それがAIベンチャーの株式会社データグリッドが開発したバーチャル試着サービス「kitemiru」だ。これはスマホ1つで気軽に試着体験ができるサービスで新たな試着体験を顧客に提供するものだという。今回はサービスの概要や開発の経緯について、同社の執行役員の藤嶌辰也さんにお話を伺った。

バーチャルで無限に試着が可能

kitemiruは、株式会社データグリッドが開発した最先端オンライン試着技術サービスだ。ユーザーがスマートフォンで撮影した写真をアップロードするだけで瞬時にAIが商品の試着イメージを生成し表示してくれる。kitemiruを使うことで、気になっているアイテムが自分や家族、友人に似合うかどうかを実際に試着することなく購入前に確認できるのだ。

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サービスを導入するブランド側では、ECサイト用に撮影したモデル画像をサービスに登録するだけで簡単に試着ページを発行することができる。そして店舗やオンラインストア、SNSなど様々なタッチポイントに試着機能を張り巡らせることで、顧客に新しい購買体験が提供可能だ。これによりオンラインでの滞在時間を増やすなど、ブランドや商品がこれまでよりも顧客の記憶に残りやすくするような効果もあると考えられているという。

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「服を買うときに『どっちの色・デザインにしようかな?』『ちょっと雰囲気を変えた服を買いたいけど、似合うかわからないな……』という悩みに対して、kitemiruではお客様に安心して買っていただくお手伝いができると思っております。それだけではなく、家族やパートナーなどに服をプレゼントするときにもサポートができるのではないでしょうか。これらのお手伝いがブランド様への貢献にも繋がると考えております。」

これまで、試着は店舗でしかできないユーザー体験だった。だが、kitemiruの誕生によりバーチャルで無限に試着が楽しめるようになった。その無限に試着が楽しめるプロセスを経て、ブランドへの愛着も深まっていくと藤嶌さんは話す。
「もちろん店舗で使うことで実際に試着する手間を省くことができる利点もありますが、自宅や移動中など試着してみたい“今”、それを実現することができ、新しいユーザー体験をご提供できるのです。また、似合うかどうかわからないので恥ずかしくて試着できなかった方も、Kitemiruだと誰にも試着姿を見られないので気に入ったものすべて試着していただけます。ユーザーの“着てみたい!”というの正直な気持ちに寄り添うことができます。」

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kitemiruの強みは主に3つある。1つめは、世界トップクラスのバーチャル試着AI技術を使っていること。同社ではkitemiruを実現するためバーチャル試着AI技術を開発してきており、自分の写真と服の写真だけでオンライン試着できるサービスとしては世界トップ水準のクオリティだという。

2つめはユーザーの操作が簡単なことだ。(1)試着したい服を選ぶ、(2)試着させたい人が写っている写真を選ぶ、(3)その写真を調整するの3ステップで試着が可能となっている。

そして3つめはブランド側の操作も簡単なこと。ブランドは多くのシステム・サービスを使われており、複雑な機能を提供すると業務負荷がさらにかかることになるため、kitemiruでは極力負荷の掛からないように工夫しているとのこと。

デジタルヒューマンの開発

株式会社データグリッドではkitemiru以外にも様々なサービスを提供しているが、今回アパレル向けのサービス開発を行った背景には、創業以来続けてきた実在しないバーチャルな人間“デジタルヒューマン”の開発にあるという。多様なデジタルヒューマンを創り出すためには服を自由に変換できる技術が必要だ。その技術開発に取り掛かる際に、バーチャル試着にも使えるアイデアが生まれ、kitemiruのサービス開発に発展したという。

AIに関しては、デジタルヒューマンやAIトレーニングデータといった合成データ(シンセティックデータ:Synthetic Data)を生み出すシンセティックAIの技術開発を行い、通信、製造業、教育、アパレル、エンタメ、ゲームをはじめとする数多くの企業との共同プロジェクトを実施したり、自社プロダクトの開発を行なってきた。バーチャル試着ではこの合成データを生み出すシンセティックAIを適用しており、具体的にはGAN(Generative Adversarial Networks、敵対的生成ネットワーク)と呼ばれる深層生成モデルを使い、自分の写真と服の写真で実際に試着したかのような画像を創造している。

さらに技術開発と並行し、ブランドと定期的に意見交換の場を設け、バーシャル試着サービスに対する改善のヒアリングも行ってきた。その過程において出た意見がサービスの機能にも反映されている。

幅広い試着体験を提供

2021年9月には子ども服の人気ブランド「BREEZE(ブリーズ)」のショップとオンラインストアでkitemiruの実証実験を行った。子どもの試着体験を可能にするサービスは他社にはあまりない事例だが、着目した理由はどんなところにあったのだろうか。

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「kitemiruは子ども服に限定したサービスではありませんが、今回子ども服から開始した理由はいくつかあります。私にも子どもがいますが、いろいろな服を試着してかわいい服を選んで着てもらいたいと思う一方、子どもに試着させるのはぐずったりしてなかなか難しいことです。そんなこともあり、同じような服や無難な服を選びがちになると思います。そんな同じ悩みを持つ親御様に使っていただけるのではと思いました。また、子どもの服選びをしている時間はとても幸せな気分になる時間という方もいらっしゃると思います。いつでもどこでも、kitemiruを使った子どもの服選びで幸せな気分になっていただきたいと思いました。」

その場で子どもの画像を使って様々なカラーバリエーションの中から似合う服を探すことはもちろん、自宅に持ち帰って家族でバーチャル試着写真を見ながら検討することも可能だ。お店でじっくり服選びができない子ども連れの顧客とって、このサービスが選択肢のひとつとしてあるのは心強いだろう。他店舗への導入はこれからだといい、今後もユーザーやブランドの声に耳を傾け、真摯に機能改善を図って行きたいとのこと。

最後にファッションテックの展望や実現したい未来像について、藤嶌さんはこのように語ってくれた。
「日本国内のみならず世界的にもファッションテックが盛り上がってきていると伺います。データグリッドとしては、kitemiruを日本国内に留まらず、海外にも展開できるサービスに仕立てていきたいと思っております。データグリッドが取り組んでいる合成データを生み出すシンセティックAIは、新しいデータを創造することができます。昨今、データを持っているプレーヤーが勝つようなシナリオが描かれておりますが、データグリッドはよりよい社会の実現や素晴らしい日常体験を提供するために、それに必要なデータを創造できるプレーヤーが勝つ世界を実現していきたいと思っております。」

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