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2023.05.29

ユニフォーム再利用プロジェクト「ReBaton」で軍手へのアップサイクルを実現

企業用ユニフォームや関連品の企画・販売を行う専門商社、株式会社ユニフォームネット
同社ではユニフォームの販売だけでなく、古くなったユニフォームを回収しアップサイクルする「ReBaton(リバトン) SUSTAINABLE PROJECT(以下、ReBaton)」にも取り組んでいる。今回は同プロジェクトについて、代表取締役社長である荒川さんに話を聞いた。
PROFILE|プロフィール
荒川 広志
荒川 広志

株式会社ユニフォームネット
代表取締役社長
福島県郡山市出身。大学卒業後、都内ユニフォームメーカーでの修行期間を経て、2002年に株式会社ユニゼックス関東(現・株式会社ユニフォームネット)に入社。
ユニフォームを通した企業ブランディングのあり方と向き合う2代目社長。
東京商工会議所「勇気ある経営大賞」第17回奨励賞、福島民報社「ふくしま産業賞」第七回&八回銀賞 等受賞歴有。

再資源化しやすいユニフォーム素材

株式会社ユニフォームネットは、1975年に前社長の荒川友成さんがユニフォームの販売会社として福島県郡山市にて創業。その後、福島県全域、茨城県、栃木県に拠点を展開し、2004年に東京、翌2005年には群馬県にも進出し、現在は拠点10ヶ所で事業を展開している。
創業当時から作業服などの“ユニフォーム”を専門に扱ってきた同社では、2023年4月からアップサイクルのプロジェクトにも取り組み始めた。
「企業におけるリサイクルやアップサイクルなどの取り組みは、企業のイメージアップのために大手企業がコストをかけて行うものだと、これまで考えていました。
しかし、世界が持続可能(サステナブル)な社会づくりに取り組む中、中小企業だからといって無視することができなくなっているのも事実です。
とはいえ、サステナブルやSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みとして何から始めたらよいかわからない中小企業も多いと思います。
そこで、企業のイメージアップや社員のモチベーション向上のために行うユニフォームの変更(モデルチェンジ)と使用済みユニフォームの再資源化(リサイクル)を同時に行えるプロジェクトとしてReBatonを立ち上げました。ReBatonは企業規模・人数に関わらず、中小企業でも参加可能なリサイクルシステムとなっています」
ReBatonでは、レスエナジー・リサイクルによるマテリアル・リサイクルを採用している。企業から回収された使用済みユニフォームは素材別に仕分けし、ボタンやファスナーなど再資源化に向かない付属を外したあと、生地のみを破砕する。
混紡素材は、専用の反毛機械を使ってもう一度綿(わた)状に戻し、糸やフェルトにして再利用し、ポリエステル素材は裁断された生地を分離・分解、乾燥・溶解したのちペレット化され、プラスチック成型品の原料となる。
(左)ポリエステル素材のペレット、(右)混紡素材の反毛
(左)ポリエステル素材のペレット、(右)混紡素材の反毛
リサイクルシステムの中でも、「ユニフォームからワークグローブを作る」ことに着目した理由についても聞いてみた。
「弊社の顧客は“作業服”を着用されている企業が多く、使われている素材は“綿混”が大半を占めています。
素材も混率もバラバラな作業服を再利用するには生地を反毛し、再び糸にしたものを使って製品にすることが最適だと考えました。
また、これまでは『従業員から回収された作業服がどうなっているか』、『何にリサイクルされているか』が不明確だったため、作業服を着用している方にもなじみのあるワークグローブ(軍手)を製造・販売・配布することで、会社が取り組むサステナブルな社会づくりやSDGsの取り組みを身近に感じてほしいと思ったのがきっかけです」
企業における買い換え(モデルチェンジ)で不要となるユニフォームは、品番や素材混率が明確なため仕分けがしやすく、さらに同一商品が一定量確保できるため、一般衣料と比べて再資源化しやすい特徴もあるそうだ。
「通常、企業が取り組む活動(サステナブルな社会づくりやSDGs)が社内で理解され、浸透するには時間がかかります。
その点、ReBatonはユニフォーム買い換えの際、使用済みユニフォーム由来のアップサイクル品を交換(回収・販売・配布)することで、回収されたユニフォームがどうリサイクルされるのか具体的にイメージすることができます。
この体験によって、企業が取り組む活動に社員の方が関心を寄せるきっかけとなればうれしいです。また、このプロジェクトを通して、地域や参加企業同士が一緒に“持続可能な社会づくり”に協力し合う環境を作ることができればと思っています」
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#Sustainability
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