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2021.10.04

新しいリサイクルチェーンを構築、weturnの挑戦

2020年にフランスで設立されたweturnは、既存の資源をリサイクルし、再利用することで、天然資源の使用の制限をミッションとするスタートアップ企業だ。当社は、今年夏よりLVMHと業務提携を開始したことから、より一層注目が集まっている。フランスで2022年2月より循環型経済のための廃棄物対策法が繊維製品へ適用されるにあたり、当社は今後さらにヨーロッパ圏での繊維廃棄量の削減に貢献していくとみられる。今回weturnのパートナー、Mina Bishop(ミナ・ビショップ)氏とJohanne Lorge(ジョアン・ロッジ)氏にインタビューを行った。

売れ残りの製品から価値を生み出す

weturnは2020年にフランスでSophie Pignères(ソフィー・ピニュール)によって設立されたスタートアップ企業だ。企業前ソフィーは、金融やクラウドファンディングの分野に従事していたそうだ。そこで目にした製品のライフサイクルレポートから、消費される製品のライフサイクルは語られている一方で、売れ残り製品が体系的に除外されていることに気がついたという。
「これまで、売れ残り製品は系統的に廃棄物とみなされていましたが、これらの製品は消費されることも、汚れて価値を失うこともありませんでした。これらの製品は、シーズンが終わるとすぐに物流から消え、企業内では売れ残った商品から価値を生み出すための業務プロセスは存在していませんでした」

さらにちょうど同時期にフランス国内において、資源循環の促進と廃棄物の削減を目標とする「循環型経済のための廃棄物対策(通称:AGEC法)」の発表・施行を受け、2022年1月の繊維製品への適用を前にブランドやメーカーが解決策を求めていると実感したそうだ。そして、2020年9月にweturnを立ち上げている。

「私たちのミッションは、原材料や資源を経済モデルの中心に置き、製品と同じレベルにすることです。製品は天然資源である水やエネルギーを消費する原材料で構成され、加工や輸送、生産の過程で多大な量のCO2を排出しています。未使用の原材料をリサイクルすることで、必ずしも新しい生産サイクルを開始することなく、資源の効率化と価値の持続を両立させることができます」
創業者のソフィー・ピニュール氏
創業者のソフィー・ピニュール氏
このように、weturnのサービスは循環型経済と法規制遵守を念頭に大手ファッションハウスやメーカーで売れ残ったテキスタイルを新しい品質の糸に変えるべく、様々なアクターを繋ぎ合わせて新しい透明性のあるリサイクルチェーンを開発・構築している。

リサイクルプロセスの全貌

現在weturnがファッションブランドに提供するサービスは、5つの段階で構成されている。
第1段階は、売れ残りの商品・ロール状の生地・製造過程で発生したスクラップなどを対象に行う、デジタルソーティングである。デジタルソーティングとは、ブランドから得た製品情報をもとに、組成別に分類、最適なリサイクルの組み合わせを作成することを指す。分類されるのは、売れ残りの繊維製品や、未加工の布地、生産工程で出る端材、新品などのブランドのコンピュータシステムや物流システムに残っている素材が対象になる。それらはその後、weturn社内のR&Dチームにより、製品の組成や色ごとに仕分けられ、均質かつ良質なリサイクルの組み合わせが作成される。
「バッチは組成や色が均質であればあるほど、リサイクル糸の品質は高くなります。たとえば、コットンとコットン、綿ジャージとコットン、などを一緒にします。大体の場合、ブランドのコンピュータシステムには商品の組成やボリュームなどの全ての生地情報が残っているだけでなく、倉庫に何があるのかまで把握しています。ロール上の生地に関しても同様のことが言えます。一方で生産時に発生する端材は、マニュアルかつ物理的に仕分けを行うこともあります。多くの場合、生産を他の工場に委託しているので、たとえばテーブルの下に箱を置いて、端材が一定量を満たした際に回収する、などの手法をとっています。しかしこの場合も、ブランドは生産スケジュールと生産予定の製品を把握しているので、事前に情報を共有してもらうことで、回収対象を特定することができます」
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#Sustainability
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