「1997」という数字は特別だ。なぜか。それは1997年前後に、現在の私たちが何気なく消費している、流行の鍵となる出来事がさまざまに起きたからだ。パリ市立モード美術館で7月16日まで開かれている「1997ファッション・ビッグバン」は、ファッション史における1997年の重要性をあらためて示した特別展だ。
まず、服飾業界において、1997年春夏シーズンは一つの転換点だった。ジバンシィにいたジョン・ガリアーノが、ジャンフランコ・フェレの後継としてクリスチャン・ディオールのデザイナーに就き、これまでのディオールのイメージを刷新した。
一方で、若干27歳のアレキサンダー・マックイーンが、ジバンシィのデザイナーに抜擢され、その独創性に世界の注目が集まった。
ジャン・ポール・ゴルチェは自身初のオートクチュールのコレクションを展開し、コム・デ・ギャルソンは「こぶドレス」 と呼ばれた「Body Meets Dress, Dress Meets Body」を発表した。
さらに1997年は、悲しみが突如訪れた年でもあった。ジャンニ・ヴェルサーチがフロリダのマイアミビーチの別荘で射殺され、パリを訪れていたダイアナ元妃が、マスコミを巻こうとスピードを出した結果、交通事故で亡くなった。