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2022.07.18

スニーカーヘッズの聖地「SKIT」代表に聞く、エア ジョーダン1の歴史

スニーカー好きなら誰もがその存在を知っているエアジョーダン1。1985年に、バスケの神様、マイケル・ジョーダンのシグネチャーモデルとして登場したモデルだが、数々の伝説を作ってきたスニーカーとしても有名だ。今回は、スニーカーヘッズの聖地としても名高い「スニーカーショップSKIT」の代表、鎌本勝茂さんにエアジョーダン1の歴史をはじめ、その逸話や魅力まで伺ってきた。

なぜエア ジョーダン1がここまで愛されるのか?

1984年、バスケ界のスーパースター、マイケル・ジョーダンのNBAデビューの翌年に誕生したシグネチャーモデル「エア ジョーダン1」。競争率の激しいスニーカー業界において、現在も確固としたその地位を確立している。エア ジョーダン1について鎌本さんはこう語る。
「自分がエア ジョーダン1の存在を知ったのは、1994年。最初に復刻モデルがリリースされた時です。最初に手にしたのは1998年ぐらいで、白×黒×赤カラーの通称「シカゴ」でした」。
エア ジョーダン1といえばこの白×赤×黒カラーの通称“シカゴ”を思い出す人も多いだろう。こちらは1985年に発売されたオリジナル<br>(鎌本さん私物)
エア ジョーダン1といえばこの白×赤×黒カラーの通称“シカゴ”を思い出す人も多いだろう。こちらは1985年に発売されたオリジナル
(鎌本さん私物)
鎌本さんにしては何とも意外な意見で拍子抜けしたのだが、話を聞いていくと、そこから流れが変わってきたのだという。
「ジョーダンの2度目の引退直前のマディソンスクエアガーデンで行われた最後の試合で、ジョーダンが、エア ジョーダン1を履いたんです。それを観てカッコいいなと思ったんですよ。そこからエア ジョーダン1熱が高まっていきました」。
トゥの部分が黒の配色であることから通称「つま黒」と呼ばれる幻のモデル。なかなか手に入らない貴重なオリジナルの一足(鎌本さん私物)
トゥの部分が黒の配色であることから通称「つま黒」と呼ばれる幻のモデル。なかなか手に入らない貴重なオリジナルの一足(鎌本さん私物)
ブラックとグレーが基調になった通称「シャドー」のオリジナルモデル。ここまで状態が良いモデルはかなりレア(鎌本さん私物)
ブラックとグレーが基調になった通称「シャドー」のオリジナルモデル。ここまで状態が良いモデルはかなりレア(鎌本さん私物)
マイケル・ジョーダンの母校であるノースカロライナ大学のカラーリングを配したサックスブルー×白の通称UNC。<br>このカラーもマニアの間では人気(鎌本さん私物)
マイケル・ジョーダンの母校であるノースカロライナ大学のカラーリングを配したサックスブルー×白の通称UNC。
このカラーもマニアの間では人気(鎌本さん私物)

NBA規定を逆手に取った、ナイキのマーケティング戦略

現在でも支持されているエア ジョーダン1だからこそ、その逸話もたくさん残っている。当時のNBAの規定では「白の面積が一定以上あるシューズを着用する」というルールがあった。ジョーダンは黒×赤カラーの通称「ブレッド」を履き、NBAから着用を禁じられたため、ナイキがその罰金5000ドルを試合ごとに肩代わりしていたのは有名な話。その罰金の件を逆手にとったナイキの巧みなCM戦略も、当時としてはセンセーショナルな出来事だった。
NBAの規定を満たしていなかった黒×赤カラーの通称「ブレッド」。これはブラックレッドの略だという。こちらもフラッシャー付きの1985年に<br>発売された貴重なオリジナル
NBAの規定を満たしていなかった黒×赤カラーの通称「ブレッド」。これはブラックレッドの略だという。こちらもフラッシャー付きの1985年に
発売された貴重なオリジナル
「赤×黒の配色「ブレッド」のカラーリングにもたくさん逸話があって、当初、エア ジョーダン1の配色を見たマイケル・ジョーダンが「これは履けない。悪魔の色だ」と言い張って、履くのを拒否したそうなんです。なんでも大学時代のライバルチームのカラーだったということらしいのですが…」。
カラーリングの話は盛り上がり、エアジョーダン1のオリジナルカラーの話題へ発展。そこで鎌本さんはエア ジョーダン1のオリジナルのカラーリングについてこう語ってくれた。
「エア ジョーダン1は公式でオリジナルカラーは18色リリース(一般販売)されたという話があります。ジョーダンの背番号にちなんで23色リリースされたという都市伝説もありますが、一般販売されなかったモデルを含めると、実は30後半ぐらいのカラーリングがあるんじゃないかと思います。もちろん自分も見たことがない白×緑や、黒×パープルなんてカラーもあるようで……。とにかく、一般販売された18色はオリジナルモデルで確保しています」。

エア ジョーダン1のオリジナルと復刻を徹底比較!

せっかくなので、オリジナルモデルと復刻モデルの違いを「シカゴ」で検証していきたい。
「エア ジョーダンシリーズはマイケル・ジョーダンが引退するまで、過去のモデルをリリースしないという正式なルールがあったらしいです。そのため、マイケル・ジョーダンが1993年に一度目の引退を表明した翌年、1994年に復刻がリリースされましたが、オリジナルと比べて、やや全体のシェイプや革の質感が違うんです。この微妙な差はマニアにしかわからないほどです」。
左がオリジナルで、右が復刻モデルの白×赤×黒の通称シカゴ。シカゴの復刻モデルはジョーダンが引退した翌年の1994年に発売された<br>(鎌本さん私物)
左がオリジナルで、右が復刻モデルの白×赤×黒の通称シカゴ。シカゴの復刻モデルはジョーダンが引退した翌年の1994年に発売された
(鎌本さん私物)
状態の良いオリジナルには、“ジャンプマン”のフラッシャーが残っている。これが残っているのはかなり貴重
状態の良いオリジナルには、“ジャンプマン”のフラッシャーが残っている。これが残っているのはかなり貴重
左がオリジナル、右が復刻。ジョーダンのウィングロゴも大きさが微妙に異なる。またレザーの材質も少し違うのだ
左がオリジナル、右が復刻。ジョーダンのウィングロゴも大きさが微妙に異なる。またレザーの材質も少し違うのだ
左がオリジナル、右が復刻。微妙な違いだが、トゥ部分のシェイプもオリジナルの方がシュっとしているのに対し、復刻は少しふっくらしている
左がオリジナル、右が復刻。微妙な違いだが、トゥ部分のシェイプもオリジナルの方がシュっとしているのに対し、復刻は少しふっくらしている
左がオリジナル、右が復刻。オリジナルではインナー部分に品番のようなものがプリントされているが、復刻はサイズがプリントされている
左がオリジナル、右が復刻。オリジナルではインナー部分に品番のようなものがプリントされているが、復刻はサイズがプリントされている
一番、目に見えてわかりやすいのは、ウィングロゴの大きさとサイズなどの表記の違い。素人目にはわずかな違いしか分からないほど、復刻モデルは精巧に再現されているのだ。
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