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2024.06.26

NBA電撃復帰時に着用した「AIR JORDAN 11(エアジョーダン11)」の知られざる新事実とは

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光沢感のある素材を使ったシンプルなデザインというコンセプトから1995年に生まれた「エアジョーダン11」。パテントレザーとメッシュのコンビは約30年経った今も圧倒的な人気を誇っている。そんな「エアジョーダン11」のどこにも出ていない誕生秘話や歴史、そしてその魅力を「スニーカーショップSKIT」の代表である鎌本勝茂さんに伺った。

デザイナーは天才ティンカー・ハットフィールド

NBAのシカゴ・ブルズで1度目のリーグ3連覇を達成した、まさに全盛期であった1993年、最愛の父を失い、バスケットボールを続けるモチベーションを失ったマイケル・ジョーダン。野球選手に転身するためにNBAを引退したのだが、1995年にNBAに電撃復帰。その復帰したシーズンの足元を彩っていたのが「エアジョーダン11」だった。
巷ではマイケル・ジョーダンの“タキシードにも似合うフォーマルなデザインのシューズ”とのリクエストから「エアジョーダン11」が生まれたとされているが、その裏にあった事実を鎌本さんはこう語る。
最初にリリースされた黒のパテントレザーと白メッシュのカラーは通称“コンコルド”と呼ばれる。ツヤツヤの光沢感がまさにドレスシューズのよう。49,500円(税込)
最初にリリースされた黒のパテントレザーと白メッシュのカラーは通称“コンコルド”と呼ばれる。ツヤツヤの光沢感がまさにドレスシューズのよう。49,500円(税込)
「マイケル・ジョーダンがMLBに挑戦中だったこともあり、『エアジョーダン11』はナイキの野球カテゴリーでデザインされていたようです。ここからはネットの記事などにも載っていないのですが、そのシューズが完成し商標登録をしている段階で、マイケル・ジョーダンのNBA電撃復帰が決まったそうで、実はデザイナーのティンカー・ハットフィールドもマイケル・ジョーダンがNBAに復帰する情報を知らなかったとのこと。
NBAに復帰した当初、彼は背番号“45”が刻印された『エアジョーダン10』を履いて復帰しています。そこからマイケル・ジョーダンのNBAでの活躍を合わせ、ティンカー・ハットフィールドは急いでバスケ用の『エアジョーダン11』の開発に取り掛かったとのことです。これは当時の雑誌に掲載されていたティンカー・ハットフィールドのインタビュー記事で読んだので、確かな情報だと思います」
マイケル・ジョーダンのNBA復帰時、シカゴ・ブルズは背番号「23」を永久欠番としていた。その措置として急遽、背番号「45」を着けることになったことから、このナンバリングが施してある
マイケル・ジョーダンのNBA復帰時、シカゴ・ブルズは背番号「23」を永久欠番としていた。その措置として急遽、背番号「45」を着けることになったことから、このナンバリングが施してある
実はティンカー・ハットフィールドは1991~1992年ごろからマイケル・ジョーダンからシューズにどんな素材を使いたいか要望を聞いていたそう。そのリクエストの内容を鎌本さんはこう続ける。
「『エアジョーダン11』が誕生する1995年以前からマイケル・ジョーダンはティンカー・ハットフィールドに“光沢感のある素材を使いたい”と話していたそうです。またマイケル・ジョーダンはスポーツカーが好きだったので、そういったイメージも『エアジョーダン11』のデザインにはインスパイアされているようですね。
そこからティンカー・ハットフィールドはシューズに光沢のあるエナメル素材を使うよう試みたのですが、エナメルはかなり繊細な素材で激しい動きで割れてしまうため、耐久性の問題で採用を断念。そこでティンカー・ハットフィールドが見つけてきたのが、光沢感があり耐久性もあるパテントレザーだったそうです」
艶やかなパテントレザーは、まるで高級車のボディのようだ。これはマイケル・ジョーダンが好きだった高級スポーツカーなどからインスパイアされている
艶やかなパテントレザーは、まるで高級車のボディのようだ。これはマイケル・ジョーダンが好きだった高級スポーツカーなどからインスパイアされている
闘争心に火がついたティンカー・ハットフィールドは『エア ジョーダン11』をこれまででもっとも革新的なバスケットボールシューズにしたいと考えたという。それが後に伝説のシューズとなる「エアジョーダン11」の誕生前夜というわけだ。

デザインだけではなく機能性も格段に進化

デザインばかりに注目がいきがちだが、機能面でも大きく進化したところがある。それがミッドソールに搭載されたフルレングスのカーボンファイバー製プレートだ。
一部のバスケットボールシューズは柔らかすぎて、鍛え上げられた大きな肉体を持つNBAプレイヤーでは、その体重の乗ったジャンプの衝撃を支えきれないと気づいた。またマイケル・ジョーダンはジャンプして着地し、その後の一歩踏み出すときに土踏まずの部分がねじれてしまうことに悩んでしたそう。それを補うのがカーボンファイバープレートだったのだ。
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