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2023.10.26

歩くための服「alk phenix(アルク フェニックス)」の計算し尽くしされたデザインとオリジナルファブリック

alk phenix(アルク フェニックス)」のalkは“歩く“という意味。歩くといってもウォーキングをするための服というわけではなく、この場合の“歩く”は日常生活のことを意味する。“日常的冒険”というキーワードで日常生活を快適に過ごすための服作りをしているブランドだ。
今回はalk phenixのデザイナーの川久保陽介さんにその計算され尽くされたデザインワークについてお話を伺った。

1952年からある日本のスキーウエアブランド「PHENIX(フェニックス)」がルーツ

alk phenixはいつどのようにはじまって、どんな背景があるのか、順立ててお話しいただこう。
「alk phenixは2015年にできたブランドなのですが一度休止して、2022年にリスタートしています。私もそのタイミングでalk phenixのデザインを担当するようになりました。
1952年からある日本のスキーウエアのブランド「PHENIX(フェニックス)」の流れを汲んでいるブランドです。私ももともとスキーウエアのデザインに携わってきた経験がありまして、PHENIXのデザインも手がけているのですが、スキーウエアは一般的な洋服をデザインするのとはまた作り方が別物で、商品に持っていくまでのプロセスが全然違います。
普通の洋服だとオシャレなものを作ろうというのがデザインの出発点だと思うのですが、スキーウエアで一番にくるのは機能性です。
たとえば、寒くないとか、ぬれないとか、そういう機能的な素材開発が最初にきます。カジュアルウエアの場合、半年スパンでシーズンのコレクションを作っていくのですが、PHENIXの場合は素材開発から入るので2年前ぐらいから取り組みはじめるんです。alk phenixもPHENIXのスタンスを踏襲し素材の開発からはじめるので、同じような時間軸で進んでいきます」
2023秋冬のテーマは宇宙
2023秋冬のテーマは宇宙
歩くための機能的な服という大枠のコンセプトを伺ったところで、今シーズンのコンセプトとそれに沿ったアイテムを紹介してもらいながら、alk phenixの服作りに迫っていこう。
「今回のシーズンテーマは“宇宙”です。宇宙から連想される事柄をデザインに落とし込んだのですが、たとえば無重力のような軽さや、宇宙服の機密性などを、スキーウエアで培ったノウハウや機能を取り入れながらデザインに落とし込んでいく感じです。
alk phenixの服はポケットの中にポケットがついているなど、バックパックがなくてもある程度の身の回りのものを携帯できるようなアイテムが多く、誇張されたデザインが前シーズンまでは多くありました。今シーズンはミニマリズムというのもテーマに取り入れて、機能服ではあるけどデザインはシンプルに仕上げ、他のブランドの服とコーディネートしたときの相性についても考慮しています。
今シーズンのアイテムを見ながらお話しさせていただきたいのですが、まず『Trash bags down jacket(トラッシュ バッグス ダウン ジャケット)』はオリジナルで開発したファブリックを使用しています。高密度にシャンブレー織りされたシャイニーなポリエステル素材で、耐久撥水加工されたダウンジャケットです。人工衛星をイメージさせるようなテクスチャーに仕上げています。
袖や裾に入ったゴムで機密性を上げ、脇にはベンチレーションがついており、バックパックのようなショルダーベルトが内側についていて、暑いときは脱いで背負えるようになっています。これは歩くときに便利な仕様で、他のアウターにも搭載しています。
サイドに2つついている大きなポケットですが、まずフラップにポケット、メインポケットの中にはメッシュのポケットやジップつきのポケット、メインポケットの横にもジップポケットと、片側だけで5つのポケットがついています。
両胸にもポケットがついているのですが、これだけポケットをつけても見た目には大きく影響しないようなデザインに仕上げており、ミニマリズムの部分を反映させています」
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