平成の懐かしいと思うブランドはたくさんあるが、
BADBOYも忘れてはならないブランドのひとつだろう。筆者と同世代はもちろんだが、少し下の世代までこのブランド名を知っている人は多い。
それもそのはず、BADBOYはユニセックスのブランドであり、当時中学生だった男女ともに知名度と人気が高かった。
リブランドとともに話題になったのも記憶に新しいが、現在に至るまでのBADBOYのスタイルはどのような歴史を辿り、進化してきたのだろうか。今回は、BADBOYデザイナー・小塩明日加さんにお話を伺った。
意外と知られていないBAD BOYの深い歴史
BADBOYといえば、筆者と同世代ならば90年代後半の印象が強い。当時、人気アイドルグループ の『SPEED』がイメージモデルだったこともあり、SPEEDに憧れる少女たちもBADBOYのブランドに注目していた。
ユニセックスで着ることができるBADBOYは、男性だけではなく、アクティブな女性からも人気だった。BADBOYはアメリカで誕生したブランドだが、日本とアメリカではどのような違いがあるのだろうか。
「元々、BADBOYは『BADBOY CLUB(バッドボーイクラブ)』という名称でした。
80年代に西海岸のサーフブランドとして、『LIFE'S A BEACH(ライフズ ア ビーチ)』というブランドがあって、その中のプリント柄のひとつとして『BADBOY CLUB』というシリーズがありました。
『LIFE'S A BEACH」もストリートカルチャーを愛するスポーツ選手から好まれていましたが、並行して『BADBOY CLUB』のプリント柄も非常に人気となり、後にブランドとして独立して、『BADBOY』が誕生したのが始まりです」
日本では、90年代にスタートしたBADBOY。当時を覚えている者として、元々はサーフブランドとして始まったことには驚きを隠せない。
日本ではダンスやストリートブランドとして展開しつつも、世界に広まるにつれその人気の拡大とともに、2000年代からはファッションとは別軸の、「格闘」というコンセプトで本格的に格闘技マーケットを広げていった。
「『LIFE'S A BEACH』の時代を経て、その後はBMXの大会や、スケートボードのスポンサーに入りました。当時のBADBOYは、サーフブランドの一環としていましたが 、次第にストリートブランドとして人気になるとともに、格闘技マーケットにも進出していきました。
90年代後半のBADBOYは、ダンスやストリートブランドとしてだけではなく、『LIFE'S A BEACH』、『BADBOY CLUB』時代の古着もヴィンテージアイテムとして人気がありました。
2000年代にBADBOYを知った人は格闘技の印象が強いと思いますし、世代によってBADBOYの印象や思い出が違うところも面白いですよね」
アクティブラインのBADBOYと、リブランドしたBADBOY
BADBOYの象徴でもあるロゴを覚えている人も多いだろう。目のインパクトが強いロゴはスポーツ向けのアクティブラインとアパレル向けのカジュアルラインでロゴを住み分けして展開している。
アクティブラインでのBADBOYは、ファッションやデザイン性といった側面だけではなく、ファイターに寄り添ったギアを開発。
MMAやK-1などの選手のファイティンショーツは、UFCで活躍する多くのトッププロ選手が採用し、格闘技のベストブランドにも選ばれた。
その一方で、カジュアルラインでは2019年にリブランドをして話題になったのは記憶に新しい。一体どのような経緯を経て、BADBOYはリブランドに至ったのだろうか?