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2024.04.08

90年代アウトローシーンを風靡:ガルフィーの進化と再生

令和が近づくにつれて、さまざまなブランドが復刻を果たしたが、その中でも異彩を放っていたのがガルフィーだ。
90年代レディースブランドの流行回帰ラッシュが勢いを増すなか、長年沈黙をしていたメンズブランドの復活で世間をにぎわせた。
かつてはアウトロー系ブランドとして一世を風靡したガルフィーは、現在どのように進化しているのだろう。また、ドン・キホーテなど、他のアパレルブランドとは一線を画すコラボレーションはどのようにして生まれたのだろうか。
今回はガルフィーのデザイナー石川倫さんに、ガルフィーのアウトロースタイルや現在のストリートカルチャーについてお話を伺った。

アウトロー系ブランドとして君臨していた90年代のガルフィー

ガルフィーといえば90年代ではアウトロー系の人に好まれていたブランドだ。
現在では、インフルエンサーが愛用するストリートファッションのイメージが強いが、世代によってはアウトロー系の人たちのブランドといった印象が強いだろう。
90年代のガルフィーは、どのようなブランドだったのだろうか。
「僕もその当時いた人間ではないのではっきりとは知らないのですが、もともとアウトローの人たちを狙ったブランドというわけではなかったようです。
たまたまそういう人たちが来るようになったみたいな感じですね。でも、もとはヴェルサーチェのセットアップあたりから着想して始まったブランドらしいので、それの安価バージョンといった感じで生まれたブランドですね」
ガルフィーの特徴でもある、骨を咥えた犬のキャラクターは、ポップでかわいい印象だが、面白いことにアウトロー系の人たちに長年好まれている。このかわいさとアウトローのギャップもガルフィーの魅力でもあるが、何故アウトロー系の人に好まれているのだろう。
「たとえば、キティちゃんのサンダルなんかもヤンキーの人が履いているじゃないですか。
ああいう感覚に近いと思いますね。僕は『メンタルかわいい』と呼んでいるのですが、イカつい人たちは、意外とかわいいものが好きなところがあるように思います」
現在では、地雷系ファッションを好む女の子にも人気のガルフィー。しかし、間口を広げることを狙ってレディースを作った訳ではないという。
リブランドしたときから、ストリート系に落とし込み、ユニセックスな感覚のあるストリートファッションの雰囲気と相まって、自然に地雷系ファッション好きな女の子にも好まれるようになったと石川さんは話す。
「これもよく言うのですが、今で言う地雷系のコたちも、当時のヤンキーと似ているところがあるように思います。全員がそうではないですが、路上にたむろしていたりする姿なんかはヤンキーと通じるものを感じます」
筆者の青春時代は平成ギャルの全盛期。ギャルはギャルブランドを好み、原宿系は原宿ブランドを好んで着ていた時代だ。
同じストリートでも、帰属する街とファッションが明瞭に分けられ、現在のようにミックスされた時代ではない。
たとえば、90年代に流行したシャカシャカのジャージや気合の入ったギャルファッションも帰属性が強まるといった理由で、先輩や周囲に合わせて同じようなファッションに身を包むなど、多少なりとも配慮を強いられるときもあった。
「現代でヤンキーっぽいファッションができるのも、やっぱり本物のヤンキーが現存していないからだと思うんですよね。
今ではヤンキーも空想の世界の人だから、ある意味ではコスプレなんです。昔はファッションのタテ割りがありました。ストリート系のコはストリート系のコしか周りにいないし、パンク系のコはパンク系のコしか周りにいない。
今は、グチャグチャにミックスされた時代ですが、昔は皆それぞれ、好むカルチャーとファッションがきれいに分かれるような時代だったと思います」
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