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2023.09.15

国際的な架け橋:日本のカルチャーを世界に繋ぐ、一般社団法人GLOBAL KAWAII協会の展望とは?

流行やファッションの発信が雑誌からSNSへと移り変わっているなか、平成と令和の一番の違いは海外の流行がより身近になってきたことだろう。Y2KやY3Kをはじめとして、海外での流行が日本でもすぐさまに人気になったり、また地雷系ファッションのように日本で発祥するものが海外へと広がるのも令和の面白いところだ。
しかし、リアルタイムで世界の流行を取り入れることができると同時に、国際的な問題も度々浮上するようになった。そこには、言語的な問題や根深い文化の問題も顕在する。
日本のカルチャーが国際的に広がっていくなかで、私たちに必要なのはどのようなことだろうか?
今回は国際的なカルチャー問題を考えるため、一般社団法人GLOBAL KAWAII協会のメンバーであるミーガン・キャサリン・ローズさん、西園寺怜さん、紅林大空さんに海外で興味を持たれている日本のカルチャーや、日本のカルチャーを軸として幅広く活動している協会のお話を伺った。

若いデザイナーや次世代の若者が世界で活躍できるように

一般社団法人GLOBAL KAWAII協会のメンバーはどのようにして決まったのでしょうか?
左:オーストラリアのニューサウスウェールズ・シドニー大学にてKawaiiカルチャーについて授業を行うメグ博士(写真提供:ニューサウスウェールズ・シドニー大学)、右:メグ博士が初めて参加した2014年の原宿ファッションウォーク。国境や性別を超え、「色」を多用することを愛する様々な人々が一堂に会するイベントに衝撃を受けた
左:オーストラリアのニューサウスウェールズ・シドニー大学にてKawaiiカルチャーについて授業を行うメグ博士(写真提供:ニューサウスウェールズ・シドニー大学)、右:メグ博士が初めて参加した2014年の原宿ファッションウォーク。国境や性別を超え、「色」を多用することを愛する様々な人々が一堂に会するイベントに衝撃を受けた
紅林最初にミーガン・ローズ博士(以下、メグ博士)と出会ったのは、私が「90884」というブランドを運営していた頃に、オーストラリアで販売するからと買い付けてくれたのがきっかけでした。
そこから今度は、大学でKawaiiカルチャーの論文を執筆しているからインタビューを受けてほしいと連絡が来まして。それで研究に何年か協力していたら、いつの間にかメグ博士はKawaiiカルチャーを研究する博士のひとりになっていましたね。
西園寺私の場合は裏原宿でゴシック系カフェを経営していたときにメグ博士と出会いました。最初はお客さんとして来店していて、まるで日本に住む常連客のようでした。
当時はKawaiiカルチャーのインタビューもお店でしていましたね。閉店後も、翻訳や通訳、文献探しなどで研究を手伝うようになっていきました。メグ博士がデコラ研究の論文を執筆したときに紅林さんと出会いました。
2017年、国際交流基金シドニー日本文化センターにて開催されたストリートスナップの先駆け的存在である編集長であり写真家の青木正一氏の作品の展覧会。メグ博士が共同プロデュース。(写真提供:Pixel Perfect)
2017年、国際交流基金シドニー日本文化センターにて開催されたストリートスナップの先駆け的存在である編集長であり写真家の青木正一氏の作品の展覧会。メグ博士が共同プロデュース。(写真提供:Pixel Perfect)
紅林メグ博士が博士になったあとも原宿のことを詳しく研究したいと言っていたので私も協力することになりました。最初に協力したのが、デコラファッションの研究です。デコラファッションはどういう若者がどういう気持ちで着ているのか、調査したいという研究でした。
この研究はデコラファッションを記録して歴史にきちんと残すのが目的で、デコラファッションの正式な記録としては世界初だと思います。
この論文がメンバーの出会い、そして協会を発足するきっかけになりました。
GLOBAL KAWAII協会の活動はいつ頃から始める予定ですか?
西園寺今年9月に晴れて一般社団法人として登記されました。でも、実はもうすでに3人でいろいろなことをやっておりまして。最近では、ロンドンにサマセット・ハウスというギャラリーがあるのですが、そこから原宿のアーティストたちのアート作品を買い集めてほしいという依頼がメグ博士にありました。
メグ博士実際に東京の原宿で活躍している若い子たちに直接外国からコンタクトを取るのは難しいので、とても良い機会だと思いました。有名なアーティストの展示ではなく、若い新進気鋭のアーティストの商品を購入してサマセット・ハウスに展示する予定です。
また紅林さんの原宿ファッションのコーディネートも収蔵させていただく予定です。この展示が面白いのは世界の「かわいい」を集めた展示会で、東京原宿のセクションもちゃんと用意をしていただいているところだと思います。アート作品は、コレクションとしてナショナルミュージアムのアーカイブとして収蔵されるので、アーティストの方にも良い条件なのではないでしょうか。
紅林東京の若いクリエイターに海外からオファーが来ることも滅多にないチャンスですし、自分から動き出すにしてもやり取りなどを考えたら大変なところがあると思います。
メグ博士は日本のストリートカルチャーや伝統文化に特化している教授ですので、国立のギャラリーからのオファーや、海外の大学とのコラボレーションが多いのもこの協会の強みだと思いますね。教育や文化の伝導に特化したこの3人だからこそできる仕事を積極的にやりたいと思います。
西園寺本当に日本と海外だと分母が違うので。アメリカだけなどと国を限定することなく、視野を広げて海外とコミットしていきたいですね。そのほうが面白いことができそうですし、我々も信頼を高めていけると思っています。
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