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2023.06.22

フィールドでもシティでも、クライミングパンツの名品「GRAMICCI PANT(グラミチ パンツ)」を紐解く

クライミングパンツとして定番的な存在の「GRAMICCI PANT(グラミチ パンツ)」。その多様性により、近年ではさまざまなシーンで穿かれている名品中の名品だ。
今回は株式会社インスのPRを担当している渡邊康太さんに、皆さんもよく知る「GRAMICCI(グラミチ)」のGRAMICCI PANTを深掘りし、ブランドの歴史から詳しく紐解いていこう。
「アメリカ、カリフォルニア州のヨセミテで1982年にGRAMICCIは始まりました。創業者はマイク・グラハムという人物で、彼自身、『ストーンマスター』と呼ばれるロッククライミングのスペシャリストとして活躍しており、ブランドをスタートさせた当時は26歳という若さでした。
そんなGRAMICCIのスタートには友人であった『Patagonia(パタゴニア)』の創始者、イヴォン・シュイナード氏の存在が大きかったということです。彼がマイクに製品の製作を依頼し、それに応える形で自宅ガレージをアトリエにしてGRAMICCIというブランドは始まりました」

GRAMICCIの象徴GRAMICCI PANTが完成

マイク・グラハム氏が作ったその画期的なクライミングパンツは、40年という年月を経ても世界中で愛されている。ここからはGRAMICCIの象徴ともいえるGRAMICCI PANTのディテールを見ていこう。
「マイク氏が考案したGRAMICCI PANTは、180°自然な開脚を可能にした『ガゼットクロッチ』という仕様や、片手で調整できる『ウェビングベルト』が大きな特徴となっている。この『片手で調整できる』というところが、たいへん革新的なことで、クライマーとしての体験をもとに、クライマーが欲しい機能をすべて具現化したパンツとしてGRAMICCI PANTは誕生しました。
シルエットはヒップ周りにゆとりを持たせ、裾は岩肌などが引っかかったり、巻き込んだりしないように細めに作られているところも、特徴のひとつです。当時からコットンツイル生地を使用しており、基本的なディテールと仕様は40年以上たっても変わっていませんが、現在は環境に配慮したオーガニックコットンツイルを使用しています」

タウンユースとしてのGRAMICCI PANT

ここからは日常着としてのGRAMICCI PANTを掘り下げていきたい。その穿き心地の良さ、動きやすさから、ロッククライミング以外にもタウンユースで使われるようになったところにフォーカスしていこう。
「ジャンルを超えて、サーファーが海から上がりレイドバックをする際に、今でいうリカバリーウエア的な用途でGRAMICCI PANTを穿いていたり、1980年代初頭の時代背景やカリフォルニアの土地柄もあり、スポーツの枠を飛び越えてヒッピーファッションとして日常着的に穿いてたり、その用途はさまざまな場面に広がり、1990年代、2000年代、そして現代に通じていきます。
1980年代はコットンツイルやキャンバスが主に生地として使われていたのですが、クライミングからタウンユースとしてまで穿かれるようになっていきます。デイリーウエアとして取り入れられるようになる1990年代から、春夏だとリネンやドビー織り、秋冬だとデニムやコーデュロイ、ウールなど、多様な素材のGRAMICCI PANTがリリースされるようになり、アウトドア、スケート、サーフ、ストリートなどの西海岸のカルチャーとして広がっていきました。
定番のオーガニックコットンGRAMICCI PANTの他に、2010年代に入ってからはストレッチツイルで細身のニューナローパンツと呼ばれる『NN-PANT(エヌエヌ パンツ)』も人気となり、こちらもGRAMICCIを語る上で重要なアイテムになっています。これまでのGRAMICCIのアーカイブにはなかったタイプで、発売当時はスキニーが全盛のときだったということもあるのですが、ロングランで今も人気のアイテムになっています」
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