もしあなたが夏に沖縄旅行に行ったことがあるならば、思い返してみてほしい。那覇空港や県内のスーパー、飲食店、ホテル……あらゆる場所で、色とりどりのシャツに身を包んで働く人々を見たことはないだろうか。
それはお揃いのデザインだったり、一人ひとり異なる柄だったりするのだが、そんな人たちを見て、「沖縄に来た」と実感した人も多いだろう。
その「色とりどりのシャツ」こそ、沖縄で独自の発展を遂げてきた「かりゆしウェア」だ。
体感ではあるが、大げさではなく沖縄県内で働く人の9割は、暖かくなってくるとかりゆしウェアに衣替えをする。なぜならそれが、沖縄の夏の正装だからだ。
かりゆしウェアという文化は、なぜ沖縄限定でこんなにも発展してきたのだろうか。その理由を探るべく、かりゆしウェアの商標やタグの発行管理、卸し、企画広報などを行う
沖縄県衣類縫製品工業組合の美濃さんにお話を伺った。
PROFILE|プロフィール
美濃 えり子(みの えりこ)
沖縄県衣類縫製品工業組合に平成30年入社、令和2年に事務局長就任
アロハシャツからヒントを得て誕生
取材に応じてくれた美濃さんは、ブルー地のノーカラーシャツの襟元に、沖縄の伝統工芸である「紅型(びんがた)」をあしらった爽やかなかりゆしウェアを着用していた。聞けば、沖縄では年度はじめの4月から10月ごろまで、1年の半分以上がかりゆしウェアのシーズンだという。加えて取材時(5月初旬)の沖縄は夏のような気候が続いていたこともあり、県内ではすでに多くの人がかりゆしウェアで仕事をしているとのことだった。