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2023.11.16

「LAVENHAM(ラベンハム)」の代名詞「キルティングジャケット」の伝統と未来

LAVENHAM(ラベンハム)」のキルティングジャケット。大人っぽい憧れのアイテムというイメージを持っている方が多いのではないだろうか。50年以上made in UKを貫くブランドの姿勢がそう感じさせているのだろう。
長年愛される定番アイテム以外にも、伝統を守りつつもモダンに進化する今のLAVENHAMというものも取材から見えてきた。今回はヒットユニオン株式会社 LAVENHAMセールスマネージャーの田﨑宏之さんにお話を伺った。
イギリス・サフォーク州の工場の様子
イギリス・サフォーク州の工場の様子

ナイロンキルトで作ったホースブランケットがブランドのルーツ

LAVENHAMが歴史あるキルティングのブランドで有名ということはよく知られているが、その始まりのところからお話しいただこう。
「1969年、イギリス・サフォーク州の、LAVENHAM村で創立されました。もともとは馬の背に掛けられるホースブランケットから事業が始まっています。
従来のホースブランケットはジュートという麻の素材が主流で、雨が降ると水を含んで重くなることや、臭いの問題などがありました。そのなかで、エリザベス2世の女官ミセス・エリエットという方が、ナイロン素材のキルティングでホースブランケットを作ったというのがLAVENHAMのルーツになっています。
乗馬が根付いているイギリスで、軽くて、麻よりも水にも強かったナイロンキルトは非常に好評だったので、その流れから同様にナイロンのキルト生地でホースラインディングジャケットを作りました。
それが1970年代初頭で、キルティングジャケットのスタートはここがルーツだといわれています。そのときにジャケットだけではなく、ジレ(ベスト)タイプのものも品揃えされました」
LAVENHAMのブランド初期、ホースブランケットのカタログ
LAVENHAMのブランド初期、ホースブランケットのカタログ
1970年代のキルティングベスト
1970年代のキルティングベスト
ブランド初期のキルティングベストのカタログ
ブランド初期のキルティングベストのカタログ

「CLASSICS(クラッシックス)」というシリーズ

LAVENHAMで名品と呼ばれるアイテムはいくつもあるが、現在は「CLASSICS」というシリーズに集約されている。名品であり定番中の定番アイテムについて、引き続きその歴史と共にお伺いしていこう。
「1970年代初頭当時のホースラインディングジャケットは、スポーツ着的な位置付けだったと思われ、今のラインナップとは異なりますが、現在LAVENHAMといえばこれ、とイメージされる代表的な定番アイテムと言えば、襟とパイピングがコーデュロイの『DENHAM(デンハム)』というモデルです。
このDENHAMのような現在の定番アイテムにも創業当時のホースライディングジャケットのディテールがしっかりと引き継がれています。フロントのスタッドボタンや、パッチポケットとポケット口の斜めカッティング、そして内ポケットという基本のディテールに加え、もともと乗馬用のジャケットだったので、サイドベンツになっています。
当時馬に乗るときに前屈みになってもジャケットの裾が突っ張らないためのもので、現代でも快適に動けるようなディテールになっています。尚、当時のファーストモデルのホースラインディングジャケットは、DENHAMのデザインに加えて袖リブが付いた、より乗馬向けのスポーティーなアイテムでした。
もうひとつ、現コレクションには『RAYDON(レイドン)』というモデルがありますが、これはDENHAMとデザインと仕様は同じですが、RAYDONよりシルエットが少しタイトでシャープなモデルで、こちらもよりスマートなスタイリングに向けた定番として知られています」
「ジレ(ベスト)もジャケット同様に初期からあるアイテムなのでご紹介します。ジレの中では『MICKFIELD(ミックフィールド)』というジレが初期からのモデルを踏襲しているアイテムです。こちらも乗馬をするために施されたディテールが残っているモデルです。デザインはパイピングのコーデュロイ、スタッドボタン、ポケット仕様などはDENHAMと同じ作りになっており、スタンドカラーというのがMICKFIELDの特徴です」
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