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2023.04.27

1970年代の「レトロアメリカン」デイパックの決定版! 「MADDEN(メデン)」に迫る

ファッション好きや、40歳以上のアウトドア好きの方はご存知であろう、アメリカの老舗バックパックメーカー「MADDEN(メデン)」。近年日本でも人気が高まっている。

今回はブランドの歴史やアイテムについてMADDEN営業部 松澤智啓さんに、お話しいただいた。

コロラド州に根付いたパックデザイン

「MADDENは1974年にアメリカのコロラド州で誕生しました。創業者の名前は『ダン・メデン』で、彼はアウトドア活動に精通しており、アウトワードバウンドスクールで指導員をしていました。ある日、重い荷物を持って歩く学生たちを見て、彼らに丈夫なバックパックを作ろうと思い立ち、それがMADDENのスタートとなったそうです。

最初に作られたバックパックのモデルは『DAN'S PACK(ダンズパック)』と呼ばれ、今でも同社の定番商品として販売されています。DAN'S PACKは実際にダンさんが使用していたもので、その実物が現在も残っています」

創業者のダンさんが実際に使っていたDAN'S PACK
創業者のダンさんが実際に使っていたDAN'S PACK

ブランドスタートからアメリカでも知名度が上がり、扱うバッグの種類も増え、普段使いのものから本格登山用のものまで多岐にわたるアイテムを生み出した1980年代の話を伺っていこう。

「1980年代には、MADDENは多くのアイテムを展開しました。中でも、自転車に取り付けることができる『Pannier Bag(パニアバッグ)』は、アメリカで有名でした。今はまだ取り扱いがありませんが、MADDENはこの時代に使用されていたバッグをブラッシュアップして、新しいモデルとして日本でも発売予定となっています」

自転車用バッグ1980年代のカタログより抜粋
自転車用バッグ1980年代のカタログより抜粋

アメリカを代表するアウトドア雑誌「BACKPACKER MAGAZINE」で受賞

「もう1つ有名なアイテムとして、『Child Carrier(チャイルドキャリア)』と呼ばれる、赤ちゃんを運ぶためのバックパックがあります。この形状のアイテムは、日本ではあまり馴染みがありませんが、アメリカではさまざまなアウトドアブランドからリリースされています。

MADDENのChild Carrierが注目された理由は、子どもが足を置くための『あぶみ』が装備されていることです。このあぶみはMADDENオリジナルのもので、1985年にはアメリカを代表するアウトドア雑誌『BACKPACKER MAGAZINE(バックパッカーマガジン)』の『Editor's Choice(エディターズチョイス)』を受賞しました。

このアイテムは、子供と一緒に自然の中で過ごすための必須アイテムとして話題になりました。ただし、このアイテムも日本では発売されていないものです」

Child Carrierのラインナップ1980年代のカタログより抜粋
Child Carrierのラインナップ1980年代のカタログより抜粋

アメリカからヨーロッパ、そして日本へ

1980年代にアメリカでポピュラーになったMADDENは、その後ヨーロッパそして日本でも展開されることになっていく。1990年から現在までのお話を伺っていこう。

「1990年代には、MADDENの製品はヨーロッパや日本でも販売されるようになり、2001年にはフランスの会社である『Lafuma(ラフマ)』に買収されました。そのタイミングで、MADDENの創業者であるダンさんは『GORE-TEX(ゴアテックス)』社に転職し、そのまま30年間勤め上げました。

現在はフリーのパックデザイナーをしているそうです。また、MADDENにはもう1人、『マイク・ヴァルヴァーノ』さんという方がいて、彼は元々MADDENの工員でしたが、2012年にLafuma社からMADDENを買い戻し、2020年より日本での販売が再開しました。

つまり、MADDENはアメリカで生まれ、フランスに移り、再びアメリカに戻り、そして今は、日本で商品監修を行っているということです」

写真 向かって右、創業者のダンさん。 向かって左、マイクさん
写真 向かって右、創業者のダンさん。 向かって左、マイクさん

現在のトップセラーは優れた再現力とプラスαのクオリティにあった

ここからは日本で今トップセールスのアイテムと、アメリカ生産の1980年代の製品を見比べながら進めていこう。

「2つご紹介したいのですが、『Bear Peak(ベアピーク)』というアイテムが一番人気で、特にこのグレーは、色合いがアメリカっぽいというか、他にはない絶妙なカラーリングということで人気となっています。

1980年代当時のパターンをそのまま使っているので、当初のモデルと比べてもかなり忠実に再現できていると思います。内容量は20ℓで、昔も今もこのぐらいのサイズが普段使いにはちょうどいい大きさだと思います。アウトドアシーンでは1日のハイキングぐらいであればちょうどいい容量だと思います。

実は1980年代を再現するだけではなく、現代風にアレンジされている部分もあります。バッグ内部や背面のインナーポケットなのですが、以前のモデルはボトルホルダーが付いていて、バッグの外にチューブストローが出せる仕様でしたが、今は中にPC用のポケットが付いています。現代のギアにはPCポケットがマストだったりするので、便利な機能だと思います」

1980年代のBear Peak。現行モデルと比べてもネームタグ以外は大きくデザインに変わりはない
1980年代のBear Peak。現行モデルと比べてもネームタグ以外は大きくデザインに変わりはない

「次に紹介するのはトートバッグで、折り畳んでミニショルダーバッグになるポケッタブル仕様の『Funny TOTE Bag(ファニートートバッグ)』というアイテムです。

これはMADDENの代表的な人気モデルのひとつであり、メインバッグの中に常に入れておき、荷物が増えたときに使用する人が多いです。また、旅行に持っていくのにも便利なアイテムだと思います。

初めて発売された1990年代には、ショルダーストラップは付いておらず、折り畳んだ際のファスナー付ポケットもなかったりしたのですが、近年アップデートされ、それらの機能が追加されました。

素材も、当時はナイロンオックスのみの展開でしたが、 今は同素材のナイロンオックスを使用した黒とベージュ、リップストップというナイロン素材を採用したオレンジの3色がリリースされております。カラー別ですとオレンジが一番人気です。こちらのモデルも内容量は20ℓあるので、日常的に十分使える大きさになっております」

ナイロンオックス素材の1990年代当時のモデル
ナイロンオックス素材の1990年代当時のモデル
それぞれ畳んで収納した状態
それぞれ畳んで収納した状態

コロラド州旗とパックラットというキャラクター

アメリカでMADDENを展開していた頃から受け継がれているものは、バッグのデザインだけではない。

「MADDENのバッグには、コロラド州旗をモチーフにしたピスネームが付いています。また、『パックラット』というキャラクターのピスネームも付いています。このパックラットは、MADDENの工員たちによるソフトボールチームのマスコットキャラクターでもありました。

パックラットとは物が捨てられない人という意味があります。これは、ものを大切に長く使おうという意味合いを持っています。その理念からか、アメリカ時代からMADDENの商品では下げ札がコースターとして使えるようになっています。

そんな、下げ札さえも大切にするという理念は現代にも受け継がれており、もちろん現行モデルの下げ札も同じ仕様です。」

コロラド州旗とパックラットのピスネーム
コロラド州旗とパックラットのピスネーム

受け継がれる型紙とアーカイブ

オリジナルの型紙から再現されたバッグのラインナップは現在6型あり、それぞれ3色を定番モデルとして展開している。MADDENの日本で発売されていないアーカイブはまだまだ沢山あるが、今後の展開について伺ってみた。

「今後もいろいろと企画しています。先ほどお話しした自転車用のバッグもそうですが、バッグ以外にもアパレルも少し増やしていく予定です。Tシャツ、パーカーはすでにリリースしているのですが、スウェットやキャップなども企画しています。

アメリカ時代からアパレルも少しは展開していたので、その時代のデザインソースを使いながら企画していけたらと思います」

DAN'S PACKのオリジナルの型紙
DAN'S PACKのオリジナルの型紙

アメリカはコロラド州で生まれたMADDEN。ヨーロッパに渡り、再びアメリカに戻り、時を経て今は日本で展開されているが、1970年~1990年までのアーカイブや、型紙などがきちんと残り、Made in USAのイズムは今に引き継がれている。ルーツを大切にしつつさらなる進化を遂げるMADDENに今後も注目していきたい。

PROFILE|プロフィール
松澤 智啓(まつざわ ともひろ)
松澤 智啓(まつざわ ともひろ)

MADDEN営業部
1993年生まれ。スポーツジムのトレーナー、セールスプロモーション業を経て2022年に入社。
入社後はバッグ流通のセールスを担当していたが、2023年よりMADDENのセールスを担当。
MADDEN Japan Official instagram

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