ファッション好きや、40歳以上のアウトドア好きの方はご存知であろう、アメリカの老舗バックパックメーカー「MADDEN(メデン)」。近年日本でも人気が高まっている。
今回はブランドの歴史やアイテムについてMADDEN営業部 松澤智啓さんに、お話しいただいた。
「MADDENは1974年にアメリカのコロラド州で誕生しました。創業者の名前は『ダン・メデン』で、彼はアウトドア活動に精通しており、アウトワードバウンドスクールで指導員をしていました。ある日、重い荷物を持って歩く学生たちを見て、彼らに丈夫なバックパックを作ろうと思い立ち、それがMADDENのスタートとなったそうです。
最初に作られたバックパックのモデルは『DAN'S PACK(ダンズパック)』と呼ばれ、今でも同社の定番商品として販売されています。DAN'S PACKは実際にダンさんが使用していたもので、その実物が現在も残っています」
ブランドスタートからアメリカでも知名度が上がり、扱うバッグの種類も増え、普段使いのものから本格登山用のものまで多岐にわたるアイテムを生み出した1980年代の話を伺っていこう。
「1980年代には、MADDENは多くのアイテムを展開しました。中でも、自転車に取り付けることができる『Pannier Bag(パニアバッグ)』は、アメリカで有名でした。今はまだ取り扱いがありませんが、MADDENはこの時代に使用されていたバッグをブラッシュアップして、新しいモデルとして日本でも発売予定となっています」
「もう1つ有名なアイテムとして、『Child Carrier(チャイルドキャリア)』と呼ばれる、赤ちゃんを運ぶためのバックパックがあります。この形状のアイテムは、日本ではあまり馴染みがありませんが、アメリカではさまざまなアウトドアブランドからリリースされています。
MADDENのChild Carrierが注目された理由は、子どもが足を置くための『あぶみ』が装備されていることです。このあぶみはMADDENオリジナルのもので、1985年 にはアメリカを代表するアウトドア雑誌『BACKPACKER MAGAZINE(バックパッカーマガジン)』の『Editor's Choice(エディターズチョイス)』を受賞しました。
このアイテムは、子供と一緒に自然の中で過ごすための必須アイテムとして話題になりました。ただし、このアイテムも日本では発売されていないものです」
1980年代にアメリカでポピュラーになったMADDENは、その後ヨーロッパそして日本でも展開されることになっていく。1990年から現在までのお話を伺っていこう。
「1990年代には、MADDENの製品はヨーロッパや日本でも販売されるようになり、2001年にはフランスの会社である『Lafuma(ラフマ)』に買収されました。そのタイミングで、MADDENの創業者であるダンさんは『GORE-TEX(ゴアテックス)』社に転職し、そのまま30年間勤め上げました。
現在はフリーのパックデザイナーをしているそうです。また、MADDENにはもう1人、『マイク・ヴァルヴァーノ』さんという方がいて、彼は元々MADDENの工員でしたが、2012年にLafuma社からMADDENを買い戻し、2020年より日本での販売が再開しました。
つまり、MADDENはアメリカで生まれ、フランスに移り、再びアメリカに 戻り、そして今は、日本で商品監修を行っているということです」
ここからは日本で今トップセールスのアイテムと、アメリカ生産の1980年代の製品を見比べながら進めていこう。
「2つご紹介したいのですが、『Bear Peak(ベアピーク)』というアイテムが一番人気で、特にこのグレーは、色合いがアメリカっぽいというか、他にはない絶妙なカラーリングということで人気となっています。
1980年代当時のパターンをそのまま使っているので、当初のモデルと比べてもかなり忠実に再現できていると思います。内容量は20ℓで、昔も今もこのぐらいのサイズが普段使いにはちょうどいい大きさだと思います。アウトドアシーンでは1日のハイキングぐらいであればちょうどいい容量だと思います。
実は1980年代を再現するだけではなく、現代風にアレンジされている部分もあります。バッグ内部や背面のインナーポケットなのですが、以前のモデルはボトルホルダーが付いていて、バッグの外にチューブストローが出せる仕様でしたが、今は中にPC用のポケットが付いています。現代のギアにはPCポケットがマス トだったりするので、便利な機能だと思います」
「次に紹介するのはトートバッグで、折り畳んでミニショルダーバッグになるポケッタブル仕様の『Funny TOTE Bag(ファニートートバッグ)』というアイテムです。
これはMADDENの代表的な人気モデルのひとつであり、メインバッグの中に常に入れておき、荷物が増えたときに使用する人が多いです。また、旅行に持っていくのにも便利なアイテムだと思います。
初めて発売された1990年代には、ショルダーストラップは付いておらず、折り畳んだ際のファスナー付ポケットもなかったりしたのですが、近年アップデートされ、それらの機能が追加されました。
素材も、当時はナイロンオックスのみの展開でしたが、 今は同素材のナイロンオックスを使用した黒とベージュ、リップストップというナイロン素材を採用したオレンジの3色がリリースされております。カラー別ですとオレンジが一番人気です。こちらのモデルも内容量は20ℓあるので、日常的に十分使える大きさになっております」
アメリカでMADDENを展開していた頃から受け継がれているものは、バッグのデザインだけではない。