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2023.09.12

平成を駆け抜けた歌姫、安室奈美恵が築き上げた音楽とファッションの軌跡

平成の時代を振り返るときに、「安室奈美恵」の名前は必ずと言っていいほど挙がる。
惜しくも2018年に引退してしまったが、令和になった今でも安室奈美恵は数々の名曲と共に「平成の歌姫」として語り継がれている。
完璧なダンスパフォーマンスと歌声、20代から変わらぬ鍛え抜かれたボディ、そして自分に正直に生きるその姿は常に私たちを魅了してきた。
昨今のY2Kファッションの流行に伴い、日本の90年代ファッションも振り返られることが多くなってきたが、安室奈美恵が生み出してきたファッションは、一世を風靡した「アムラーファッション」として簡潔にまとめられることが多い。
しかし、安室奈美恵のファッションはその一言でまとめられないほど、女子高生を中心として世の中に多くの影響を与えてきた。
90年代から時代を駆け抜けた安室奈美恵のファッションはどのように変化してきたのか?
今回は平成の歌姫、安室奈美恵のファッションを振り返りたい。

女子高生が夢中になった90年代のアムラーファッション

知っている人も多いと思うが、安室奈美恵の下積み期間は意外にも長い。
「沖縄アクターズスクール」から1991年にダンスパフォーマンスグループ“SUPER MONKEY’S”の結成メンバーに選抜、1992年には「恋のキュート・ビート/ミスターU.S.A.」でセンターボーカルに起用されメジャーデビューを果たす。
この頃から安室奈美恵は、ドラマ出演やポンキッキーズなどの番組でレギュラー出演などをすでに果たしていたが、主に“SUPER MONKEY’S”としての活動を軸に曲をリリースしていた。
当時の安室奈美恵を含め、“SUPER MONKEY’S”のグループ自体が非常にクオリティの高いパフォーマンスを披露していた。しかし、まだ中学生という年齢もあり、この頃はアーティストというよりもアイドル色のイメージが強かった。
安室奈美恵が世間的に大きく注目されたのは1995年『TRY ME 〜私を信じて〜』以降の曲のリリースからだ。ユーロビート路線に変更し、この曲はカラオケブームとの相乗効果で若者を中心に人気が高まっていった。ジャケット写真の安室奈美恵も、シルバーのジャケットに身を包み、ロングブーツが印象的な衣装で2,3年前のあどけなさが一気に抜けてグッと大人っぽくなる。
筆者私物のCD
筆者私物のCD
1995年からはTHE夜もヒッパレ』にレギュラー出演が決まり、メディアの露出もさらに多くなった。また同月には、ユーロビートカバーの『太陽のSEASON』を安室奈美恵単独名義でリリースし、一気に世間の注目を集めるようになる。
また『太陽のSEASON』のジャケット写真では、レースのロングカーディガンにチューブトップ、ツヤ感のあるショートパンツ、クリアな大ぶりのネックレスと、今季のトレンドがふんだんに詰め込まれ話題になった。
『太陽のSEASON』のヒットとともに「アムラーファッション」は徐々に出来上がっていった。安室奈美恵が着こなす、光沢感のサテンシャツやヒールの高いブーツ、マイクロミニなどのヘルシーな肌見せのスタイルは世の中のトレンドになる。
そして、小室哲哉プロデュース第1弾シングル『Body Feels EXIT』をリリースし、同時にavexへレコード会社を移籍。この移籍を皮切りに、安室奈美恵の快進撃は止まらなくなる。『Chase the Chance』『Don’t wanna cry』、『SWEET 19 BLUES』と立て続けにヒットを打ち出し、安室奈美恵の名前が世の中に知れ渡るとともに、彼女のファッションやメイクを真似する「アムラー」が生まれた。
人気アーティストとしてだけではなく、ファッションリーダーとしても注目され、安室奈美恵の存在そのものが時代のカリスマとして君臨した。
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