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2023.06.12

トートバッグがライフスタイルを楽しくする! 「ルートート」が長年続けているモノづくりの哲学とは

カジュアルからビジネスまで、幅広いシーンで使用されているトートバッグ。そんなトートバッグの日本におけるパイオニアとして知られるのが、2001年に誕生した日本発のトートバッグ専門ブランド「ROOTOTE(ルートート)」だ。
「Fun Outing!〜楽しいお出かけ!〜」を提供価値とし、カンガルーのおなかの袋からヒントを得た「ルーポケット」をブランドのアイデンティティとする同ブランドのトートバッグは、一人ひとりの個性や価値観を大切にした豊富なデザインで多くの人に愛用され続けている。
今回はそんな株式会社ルートートの代表取締役を務める神谷富士雄さんにお話をうかがい、ブランドが誕生した経緯やモノづくりの哲学、そしてそれが反映された代表的なアイテムなどを教えてもらった。

トートバッグはライフスタイルを楽しくすることができるアイテム

2021年にブランド誕生20周年を迎えたルートート。トートバッグが一般的なバッグとして定着して間もなかったころからトートバッグにこだわり続け、パイオニアとしての地位を確立するまでに成長を遂げた同ブランドだが、神谷さんの家系を辿ると、実は戦前までは造り酒屋を営んでいたのだという。
そんなユニークな背景を持つ神谷さんは、1978年に兄が創業したデザイン事務所であるスーパープランニングに入社。ライフスタイル雑貨など、オリジナルグッズの企画販売を行うようになった同社が、2001年にトートバッグ専門ブランドのルートートを立ち上げた。2019年には法人化して、株式会社ルートートとして現在に至る。
ではなぜ、ルートートというトートバッグブランドが生まれたのか。まずはそんなブランドのルーツについてうかがった。
「いろいろなプロダクトを作っていたなかで、それまでの“たくさんのモノを作って多くの人に使ってもらう”という考え方を、“限られたモノを脈々と続けながら多くの人に使ってもらう”という考え方に変えようと思い、数あるプロダクトの中でもトートバッグというのは、生活を便利にするだけでなく、ライフスタイルを楽しくするという役割を持ったアイテムだということに気がついたのです。
そして、私の家系が400年近くお酒を造ることを生業にしていたということもあり、その“脈々と続けていくもの”がお酒からトートバッグに代わった、という風に考えてみたらいいのではないかという想いもありました」
数多のプロダクトを作っていくなかでトートバッグに着目し、専門ブランドとなったルートートのアイテムには、多くのこだわりが詰まっているという。
カンガルーのおなかにあるポケットのように収納できることから「ルーポケット」と名付けられた、ルートートオリジナルのポケット。出し入れの多い小物を収納しておき、サッと取り出せるのが特徴だ。いまやブランドのアイデンティティにもなっている
カンガルーのおなかにあるポケットのように収納できることから「ルーポケット」と名付けられた、ルートートオリジナルのポケット。出し入れの多い小物を収納しておき、サッと取り出せるのが特徴だ。いまやブランドのアイデンティティにもなっている
「トートバッグは無造作にさまざまなモノを入れることができるのが特徴なのですが、日本人は丁寧かつ几帳面でもあるため、肩掛けしながらでもサッとモノを取り出せる“ルーポケット”を付けました。
さらに、2001年当時はまだガラケーの時代でしたが、携帯電話を使う人はもっと増えるだろうと考え、内側にも小さいポケットを付けています。そうやって、人が持つモノが変われば、トートバッグに必要とされるカタチも必ず変わるはずで、そこに対応していくことを大切にしました。
また、トートバッグというのは雑貨の延長線上にあるものだと考え、誰でも持ちやすいデザインや、値段が高くなりすぎないことにもこだわりました。そういった取り組みの一つひとつが、ルートートのヒットに繋がったのではないでしょうか」

経済性・文化性・社会性・多様性の4つの要素がベース

トートバッグ専門ブランドとしてのポジションと人気を確立した今でも、誰もが手にしやすいリーズナブルな商品であること(経済性)、アーティストやデザイナーのインキュベーションサポート(文化性)、社会問題解決や環境を気遣うこと(社会性)、変化し多様化する嗜好の広がりに対応すること(多様性)、この4つの要素をベースにプロダクトやサービスの開発、提供を行っているという。
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