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2023.11.06

今年110周年を迎えた「Schott(ショット)」の「ライダースジャケット」の歴史を紐解く

ライダースジャケットといえば「Schott(ショット)」をまず思い浮かべる人も多いのではないだろうか。バイカーの必需品として、ファッションアイテムとして、Schottのライダースジャケットは時代、世代、そして国を超えて世界中で愛されている。
2023年で110周年という節目を迎えたSchottの長い歴史を紐解き、世紀を超えて愛される名品たちを見ていきたいと思う。今回は株式会社TSI 上野商会事業部 広告宣伝部 係長 山崎雄城さんにお話をお聞かせいただいた。

ニューヨークで「Schott Bros.(ショット ブロス)」という店を兄弟で営む

「SchottはIrving Schott(アーヴィン・ショット)氏とJack Schott(ジャック・ショット)氏のSchott兄弟が1913年にニューヨークで創業しました。レザー製品やレインコートのような雨具なども取り扱い、1920年代には『Schott Bros.(ショットブロス)』というショップも構えていました」
写真後列向かって左がIrving Schott氏 向かって右から2番目がJack Schott氏
写真後列向かって左がIrving Schott氏 向かって右から2番目がJack Schott氏
ニューヨークに出したSchott Bros.の店舗
ニューヨークに出したSchott Bros.の店舗

「PERFECTO(パーフェクト)」シリーズというライダースジャケット

1928年ライダースジャケットの原型となるものがリリースされる。そのライダースのタグにはSchottの文字の他に「PERFECTO(パーフェクト)」と書かれ、以後末長くPERFECTOシリーズとして続いていくこととなる。
「完璧を意味するPERFECTとIrving Schott氏が好きだったPERFECTO(ペルフェクト)というキューバの葉巻タバコがあるのですが、その葉巻とダブル・ミーニングでつけたネーミングという説があります。
Schott社で資料として残っている一番古いダブルのライダースジャケットは1930年代のものですでに現在のダブルのライダースのディテールがうかがえます」
Schott社に資料として残っている中で一番古いライダースジャケットの写真
Schott社に資料として残っている中で一番古いライダースジャケットの写真

U.S. NAVYに製品を納めていた「PEACOAT(ピーコート)」

アメリカのSchott社にはさまざまな資料やエピソードがアーカイブとして残っている。数あるアーカイブの中から1940年代のエピソードを1つお話いただこう。
「ライダースから話題が離れるのですが、1940年代にSchott社はU.S. NAVY(アメリカ海軍)に『PEACOAT(ピーコート)』を納めていました。ライダース以外でもPEACOATといえばSchottをメージされる方が多くいらっしゃるのは、このU.S. NAVYに製品を納めていた歴史があるからだと思います。その後1970年代に商品として発売されます。もちろんPEACOATも、現在でもMADE IN USAのものを販売しています」
1970年代のPEACOAT
1970年代のPEACOAT

名品「ONESTAR(ワンスター)」

1950年代には、その後語り継がれる「613US ONESTAR RIDERS(613ユーエス ワンスター ライダース)」(以後:ONESTAR)というモデルが誕生する。ダブルのライダースタイプで肩のエポーレットに星のスタッズが打たれたタイプのものだ。その仕様は誕生から現在までほとんど変化はないという。Schottのアイコン的な存在となるONESTARをはじめとするライダースジャケットのお話をさらに詳しく伺っていこう。
「ONESTARの資料が残っているのは1950年代からになるのですが、似たモデルに『618 RIDERS JACKET』というものがあります。こちらは肩に星がなく、細かなディテールが異なります。発売当時からアメリカでとても人気のアイテムで、1953年に公開されたアメリカ映画『THE WILD ONE(邦題:乱暴者)』の劇中で、映画俳優のMarlon Brando(マーロン・ブランド)がライダースを着ていたことで人気に火が点きました。
以後、ONESTARはモーターサイクルレザージャケットの最高傑作として語り継がれ、Schottのフラッグシップモデルとなり、レザージャケット界のエポックメイキング的な存在となっていきました」
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