「異性装」をテーマとした展覧会「装いの力―異性装の日本史」が、渋谷区立松濤美術館で9月3日から開催されている。日本における「異性装」の歴史を辿ることで、「装い」それ自体が持つ意味はもちろん、ジェンダー、セクシュアリティなどについても問い直す展示として注目を集めている。 今回、展覧会を担当した同美術館の学芸員である西美弥子さんに、本展を企画することになった経緯から、日本における異性装の歴史、そして展示に込めた想いまで聞いた。
はじめに、「異性装」をテーマにした経緯について教えてください。
私個人として「装 う」という老若男女を問わず、誰にとっても日常的な行為について非常に興味を持っていました。自然の環境から身体を守るだけでなく、それが自分や他者にもたらす力や、社会における役割などについて関心を持っていたんです。そのなかで、やはり装うことは人間を識別する、様々な社会的文化的な記号として機能します。たとえば、地位や身分、職業や属する文化、嗜好、そして「性別」もその一つです。
性差に対する古い規範は、今なお根強く残っています。その一方で、現代では男性か女性かという二項対立的な考え方が見直されるようになり、多様性を大切にする考え方が広がり、近年ではジェンダーレスファッションなども注目を集めるようになりました。
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