「Hot Shot」のファーストモデルでルーツを知る
最初に歴史ある「Hot Shot」の昔と今を見ていこう。28年という年月の中で驚くべき進化を遂げている。「1995年、『Hot Shot』は最初から街使い用として生まれたわけで はなく、もともとは小振りのアルパインパック(登山用バックパック)で、当時のライトウエイトモデルとして誕生しました。他のアルパインパックには付いているフレームがこのモデルにはなかったり、ポケットの中にたくさん作られるコンパートメント(仕切り)をシンプルにまとめたり、当時としては軽量なナイロンで作られたものでした。
ショルダーハーネス(ショルダーベルト)の形状が外に向かって湾曲し、体にフィットした背負い心地を追求しています。背中の部分が真ん中で切り替えられ、背骨が当たらないようにすることで、重たくなったときや、長時間背負ったときに負荷を軽減する仕様になっています。
背面が2つに分かれていることによって真ん中に隙間ができ、通気性も良くなります。またフロントポケットは中で2つに分かれるのですが、水筒や長さのあるものを入れられるようにできています。今ではサイドボトルポケットが付いていますが、この頃はまだその考え方がなかった時代で、当時としては画期的なモデルだったと思われます」
現在の「Hot Shot」を徹底解剖
「Hot Shot」がリリースされた1995年から2023年の間で、マイナーアップデートを繰り返し進化を遂げた現在のモデルをチェックしていこう。細部に散りばめられた機能や仕様が理想の背負い心地と使い心地を実現してくれている。「マイナーアップデートを繰り返していくなか、今の形に近づいたのは2004年、そしてPCスリーブが2008年に付き、アルパインパックの機能を持ちながら、普段使いの“デイパック”としても使われるようになっていきました。
時を経てアイテムの顔がだいぶ変わっているので、順を追ってお話ししていきたいと思います。正面から見たときにメインポケットとフロントポケットが付くという構図は昔と変わらないのですが、パック正面に『デイジーチェーン』という複数のループがテープ状に付けられている仕様がパックの正面に付いているのが印象的となっています。
デイジーチェーンにはクライミングの際のアックス(アイスクライミングをする際の斧)などを外付けでき、その真下に付けられた“ブタ鼻”と呼ばれるパーツはテープを通して長いものをフックできるようになっています。『Hot Shot』はこれらを利用して、さまざまなものを外付けで装着することができます。
さらには2021年より、素材はリサイクルナイロンに変わっています。他にはショルダーハーネスを胸のところで繋ぐチェストストラップにホイッスルが付いているというのもユニークな仕様になっているのですが、これはエマージェンシー(非常時仕様)として搭載されたものです。メインポケットの中は、ハイドレーション(給水用パック)ガイドも付いています。
パック内の一番上にはハイドレーションをフックできるパーツとチューブを出す穴もあり、ショルダーハーネスを通して口元まで伸ばせるようになっています。登山用なので、こうした仕様も備え付けられています。そしてPCポケットは下からの衝撃がPCに当たらないように宙に浮いたような仕様で作られています。
初期モデルでショルダーハーネスの形状が外に向かって湾曲していたり、背面の背骨に当たる部分が真ん中で切り替えられていたりする仕様は変わらないのですが、テクノロジーの進化で見た目にも性能的にも飛躍しています」