アメリカのカウボーイたちに愛されたデニムブランド「
Wrangler(ラングラー)」。歴史を辿ると他のデニムブランドにはない仕様とデザインが随所に見られ、Wranglerの唯一無二の個性を知ることができる。今回は
株式会社エドウインの内野祥さんにブランドの歴史を伺いながら、細部までこだわり抜いた仕様とデザインについて解説していただいた。
カウボーイのために生まれたWrangler
「Wranglerは1947年、アメリカ、ノースカロライナ州、グリーンズボロで誕生しました。実はWranglerが始まるまでの歴史もまた長く、1904年に創業の『Hudson Overall Company(ハドソン オーバーオール カンパニー)』という前身の会社がありまして、1919年、『BLUE BELL(ブルーベル)』に社名変更しました。このBLUE BELLは今でもWranglerのロゴの上にマークが入っているので、知っている方も多いかと思いますが、BLUE BELLというワークウエアブランドを展開しており、その後、同じくワークウエアブランドの『BIG BEN(ビッグベン)』と合併します。
のちにBLUE BELLは『CASEY JONES(ケーシー ジョー ンズ)』という会社を買収するのですが、そのCASEY JONESがWranglerというレーベルをもっており。そこからカウボーイ市場に参入しようと、ウェスタンウエアブランドとしてWranglerが始まりました」
Wranglerのベースデザインを作ったデザイナー「ロデオ・ベン」
カウボーイ向けにスタートしたデニムブランドWranglerだが、すでに存在していた数々のデニムブランドとは明らかにデザインが違った。カウボーイのために作られた仕様と、カウボーイのかっこよさが引き出せるようなそのデザインワークについて詳しく教えていただこう。「Wranglerの意 味は“牧童(ぼくどう)”と訳されるのですが、これは牧場での労働者を指し、その名前からカウボーイ向けだということがわかります。Wranglerといえばロープロゴと呼ばれるロゴが印象的です。最初期のころはWの文字が“内巻き”になっているのですが、これは1947~1950年ぐらいのわずかな時期でしか作っておらず、その後は“外巻き”といわれる通常のみなさんがよく目にしているものになっていきます」
「デザイナーはロデオ・ベンという人物で、ロデオ・サーキット のカウボーイ達の衣装のデザインテーラーをしていました。彼のデザインワークは従来の5ポケットデニムパンツとは異なるアプローチのものがたくさんありました。一例をあげると、前立と股の仕様がトラウザーパンツの様な仕様になっているなどWranglerならではのものがたくさんあります。
このあとさらに詳しく説明させていただきますが、カウボーイ向けにより美しくかっこよく作るという意識があったのだと思います。それは、アメリカのカウボーイたちが馬に乗るためのタフさの他に、かっこよさというものに重きを置いていたからだと思います」
Wranglerのセブンアイコンズ
Wranglerならではの仕様の一例を見せてもらったが、Wranglerには語り継がれるセブンアイコンズというものがある。写真を見ながらその特徴を解説していただいた。