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2022.12.08

パリ・ファッションウィークで注目を集めたWeb3企業「BNV」が考えるファッションとメタバース

近年、ファッション業界ではメタバースなど様々なテクノロジーの導入が相次いでいる。そのなかで、今年のパリ・ファッションウィークにおいて、ジャン=ポール・ゴルチエの弟子として知られる気鋭のデザイナー、Victor Weinsanto(ヴィクトル・ウェインサント)と、K-POPの女性グループ「LIGHTSUM」とコラボしたNFTを発表して話題を呼んだのが、2016年に創業したBNV(Brand New Vision)社だ。
同社は、伝統的なファッション業界に適用できる新しいテクノロジーを研究・開発しており、3Dプロダクトの制作、トークン化、ローンチ、コミュニティ構築、そしてメタバースに対応したウェアラビリティまで携わっている。
「ファッションを物理的な現実からメタバースへと導き、バーチャルファッションが発展する新しい空間を定義する」ことをビジョンとして掲げ、現実世界からデジタルへの転換への橋渡し役を推進している企業として注目されている。
そこで今回、これからのファッションとテクノロジーの活用について、BNV社のCEO&FounderであるRichard Hobbs(リチャード・ホッブス)さんにインタビューを行った。

注目を集めたコラボの背景

パリ・ファッションウィークにおける、ヴィクトル・ウェインサントとLIGHTSUMのコラボについて、改めて聞かせてください。
幸運なことに、当社の株主の中に韓国のエンターテインメント業界の人がいて、「他ではやっていない何かをぜひ一緒にやりましょう」ということになりました。我々はファッション業界の人間だから、基本的にはこの業界を通じての何かをと、いろいろなアイデアを出し合いました。そしてジ新進気鋭のデザイナー、ヴィクトル・ウェインサントと、結成から1年も経っていない若いグループ・LIGHTSUMを繋げたのです。
ヴィクトルはスター的な軌道に乗ってビッグネームになるに違いないし、願わくばLIGHTSUMもそうあってほしい。しかしK-POP業界は何が起こるか分かりません。劇的に変化することが魅力のひとつで、周りの雑音やゴシップが何よりも重要なのです。
ヴィクトルに話を持ちかけると、二つ返事でOKが出ました。
それでLIGHTSUM全員はソウルから、ヴィクトルはパリから参加してZOOM会議をしました。ヴィクトルがメンバーの衣装スケッチを見せながら作業を進めるなど、すべてデジタル環境で行われたのですが、とてもインタラクティブでクリエイティブなプロセスでした。
その後、LIGHTSUMが出演しているKCON(韓国カルチャーのフェスティバル)の会期中に、ヴィクトルがそこに飛び、スタジオを1日借りて、彼の衣装を使って素晴らしいビデオコンテンツを作りました。
コラボ作品(記事トップ画像を参照)はファッション業界から注目を集めただけでなく、様々なメディアも取り上げていましたね。
当初はパリでブランドをローンチすることを考えていましたが、物流的に複雑で高価なため、代わりにホログラムを開発しました。メンバーそれぞれのアバターをホログラム化し、そのアバターにヴィクトルがデザインした衣装を着せて、ファッションウィーク中のパリの「ドーバーストリートマーケット」内にホログラムとして(一部は等身大にして)展示したのです。
つまり、最先端のファッション、韓国カルチャー、Web3という素晴らしいコンセプトを、デジタルだけでなくリアルな場でも実現できることを示したのです。それが多くのマスコミに取り上げられ、たくさんの人が来てくれたことにとても興奮しました。
トークンの販売開始時には、魅力的な特典も用意する予定です。トークンそのものやウェアラブル・バージョンを手に入れるだけでなく、コンサートのチケットなど、あらゆるものが連動しています。「NFTは単にJPEGを右クリックするだけではなく、もっと多くのことができる」という説得力のあるストーリーになっています。
最新の事例としては、Tommy Hilfiger、Coach、Michael Kors、Vivienne Tamなどとのコラボ製品をつくりました。
CFDA Vivienne Tam NFT by BNV
CFDA Vivienne Tam NFT by BNV
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