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2023.06.29

繊維業界全体のサステナブル活動を繋いでいくBLUE CHAIN®

繊維業界では、どの企業も「サステナブル」「SDGs」といった言葉を無視することができなくなってきた。それほどまでに環境負荷が高い業界であることが、徐々に認知されてきたからだ。だからこそ、業界各社はさまざまな取り組みをしていることをアピールしている。
しかし、その活動は業界全体の改善に向かっているのだろうか。個々の企業努力はたしかに重要だが、その連携も必要なのではないか。
そこで注目したいのが、蝶理株式会社が取り組むサステナブル活動のBLUE CHAIN®であり、ECO BLUE®というペットボトルから生まれるリサイクルポリエステル糸だ。どちらも同社が主体となって、循環型の社会を作り上げている。
今回、同社繊維原料部の山田大策さん、榊敏也さん、髙光貴帆さんに、商社ならではのサステナブルへの取り組みを伺った。
PROFILE|プロフィール
山田 大策
山田 大策

蝶理株式会社 繊維原料部長
1998年入社。
繊維原料部にて、ポリエステル・ナイロン糸を中心に国内/海外市場へ年間50,000t以上を販売。

PROFILE|プロフィール
榊 敏也
榊 敏也

繊維原料部第1課長
2007年入社。
第1課にて、主にニット向け繊維の販売・開発を行う。

PROFILE|プロフィール
髙光 貴帆
髙光 貴帆

繊維原料部第1課
2016年入社。
BLUE CHAIN®プロジェクトの推進を主に担当。

創業160年超とのことですが、これまでの歩みについて教えてください。
山田弊社は、1861年に京都で生糸問屋として創業しました。1961年には中国から友好商社として認められ、日中貿易を中心としたグローバル展開をしています。
 
現在は繊維事業、化学品事業、機械事業の3つを軸に、高付加価値商品をグローバルに展開する複合型専門商社として活動しています。
繊維や化学品を扱っていることから、環境への配慮には細心の注意を払っていると想像します。
企業理念として、「私たちは地球人の一員として、公正・誠実に誇りを持って行動し、顧客満足度の高いサービスを提供し続け、より良い社会の実現に貢献」することを掲げています。
また、今年の4月28日に発表した新中期経営計画では、「基本戦略3」として環境や社会への配慮を重視するESG経営を掲げました。本年度中に、サステナビリティ全般にかかわる専門委員会を設置する予定です。

点ではなく、線で結びつけるBLUE CHAIN®

BLUE CHAIN®とは、どのような取り組みなのでしょうか。
髙光BLUE CHAIN®は、2020年に立ち上がったサステナブルに関するプロジェクトです。
現在、日本の繊維産業は「分業制」と言われるほど細かい工程に分かれていますが、蝶理はこのプロジェクトで各企業の持つ技術や機能を繋ぐことで、糸・生地・製品という繊維産業全体でプラスの価値を生み出すことを目指しています。
このBLUE CHAIN®に賛同頂いている企業は、現在130社以上にも増えてきています。
BLUE CHAIN®の取組みで作られた商品は、洋服以外にも色々な用途があり、身近なものでいえば、カーテンやオフィスにある椅子、自動車のシートなどがあります。

年間でペットボトル6億本のリサイクルを可能にする仕組み

2007年から始まったECO BLUE®は、どういった活動なのでしょうか。
髙光ECO BLUE®は、弊社の廃ペットボトル由来のリサイクルポリエステル糸のブランドで、16年前に立ち上げたものです。
このブランドを立ち上げた背景には、地球温暖化防止の流れとグリーン購入法・ECOマークの動きがありました。
簡単に言ってしまえば、世間で地球温暖化が叫ばれてきたことから、国は環境に配慮された素材を使う努力義務の方針を制定し、環境に配慮された商品にはECOマークを付け、民間も環境配慮型商品を積極的に使用しようという流れです。
そんな中、当社のお客様からもポリエステルをリサイクル化していきたいという声をいただく機会が多くなり、私たちの意識にも変化が起こりました。環境に配慮した商品を拡充しなければいけないと思い、ECO BULE®の取り組みが本格的にスタートしました。
これまで、どのような活動をされてきましたか。
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#Sustainability
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