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2021.12.27

デジタルファッションの土壌をつくる プラットフォーム:DRESSX

DressX(ドレス・エックス)は、米ロサンゼルスを拠点とするデジタルファッションストアであり、現在デジタル・オンリーの衣服、NFTファッションアイテム、ARルックを取り扱うメタクローゼットを展開している。これまでコンテンツ制作やオンライン会議などで数回着用され返品・廃棄されていた衣服の代替としてのデジタルファッションを提案する。当プラットフォームサービスは、ユーザーが着たいデジタル衣服を選択・購入し、写真を提出すると24時間以内に新しいメタルックを入手できる仕組みだ。2021年8月からはiOSに対応したアプリの提供を開始、アプリ上ではARルックの試着が可能になっている。11月にはFAST COMPANY主催の各業界の期待値の高い新しいテクノロジーの選出プログラム「NEXT BIG THINGS IN TECH 2021」にノミネートされ、世界中から期待の目が向けられている。今回創業者のDaria Shapovalova(ダリア・シャポバロワ)とNatalia Modenova(ナタリア・モデノヴァ)にインタビューを行った。

ファッションのワクワク感を維持するために

左から:共同創業者のDaria Shapovalova(ダリア・シャポバロワ)と Natalia Modenova(ナタリア・モデノヴァ)、DRESSX着用
左から:共同創業者のDaria Shapovalova(ダリア・シャポバロワ)と Natalia Modenova(ナタリア・モデノヴァ)、DRESSX着用
DressXを創業したきっかけについて教えてください。
ダリア私たちは伝統的なファッション業界で15年過ごした後、より持続可能で手ごろな価格のデジタルな未来への大幅なシフトに貢献したいと思うようになりました。ファッション業界が世界最大の汚染源のひとつと考えられていることは、もはや隠せてはいません。繊維や衣服の生産と流通はすべて、水質汚染、大気汚染、土壌汚染といった環境汚染の原因となっており、さらにファッションアイテムの過剰生産と過剰消費は、汚染を生み出す主な要因です。バークレイズ銀行の調査によると、一部の先進国では、9%の顧客がソーシャルメディア用の写真を撮る用途のためだけに新しい服を購入し、写真を撮った後に返品するという結果が出ています。そこで私たちは、フィジカルなファッションが生み出す美しさや興奮を維持しつつ、その生産量の削減やより倫理的な生産、あるいはまったく生産しないという方法もあるべきだと考えたのです。
ナタリアさらに独自の調査を実施した結果、デジタルウェアの生産はフィジカルウェアと比べて、CO2の排出量が97%少ないことがわかりました。また、私たちのチームが日常的に飲んでいる水以外に、デジタル製品の生産には水が必要ありません。したがってデジタル製品の生産では、平均して1つの製品につき3300リットルの水を節約できるのです。 これは、1人の人間が1日2リットルの水を3年半飲むのと同量です。
物理的な衣服のわずか1%をデジタルウェアに置き換えることは、5兆リットルの水の節約と、ファッション業界の年間二酸化炭素排出量を 3,500万トンの削減に貢献できるのです。 これは2017年のデンマークの二酸化炭素総排出量に相当する規模です。
想像してみてください。これらのことは、私たちのワードローブの1%をデジタルに切り替えるだけで実現できるのです!これは誰にでもできる地球への貢献であるだけでなく、ファッションを楽しいものとして維持しながら新しい服を買うワクワク感を味わえ、素晴らしいファッションコンテンツの作成を行いながら実現できることなのです。
立ち上がり時期から、どのような心境の変化がありましたか?
ナタリアDRESSXは2020年8月1日にスタートしましたが、それ以来、デジタルファッションの盛り上がりを間近でで観察することができました。最初は、デジタルファッションはまったく現実味がないと認識されていましたが、DRESSXは市場で最大のデジタル専用ファッション小売店としての地位を築けたと感じています。ますます多くの新しいお客様が、初めてのデジタルガーメントをDRESSXで試してくれており、さらに彼らが2回目、3回目と購入を繰り返してくれていることは、私たちのデジタル製品が彼らのニーズに応えられていることを証明してくれているように思っています。
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#Augmented Reality
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