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2021.09.17

都市に溢れるモノを可視化し購入支援:OMOアプリ「FACY」

コロナ禍の状況下でEC展開が急速に進むなか、リアル店舗の重要性も改めて見直されている。同時に、ECとリアル店舗をつなぐようなOMO(Online-Marged-Offline)施策もなされている。
「未来の購買体験を届ける」をモットーに掲げるスタイラー株式会社は、都市に偏在する商品をオンライン上で可視化するニューリテールプラットフォーム、「FACY」(フェイシー)を提供している。また、DXコンサルティング支援や、アジアを中心とした海外でのビジネス支援を担う企業だ。今日、リアル店舗とインターネットサービスの境界はどのように変化していくのだろうか?スタイラー株式会社代表取締役CEOの小関翼さんに話を伺った。
PROFILE|プロフィール
小関 翼

日英のメガバンクにて法人取引、大手EC事業者Amazonでの決済サービス事業開発を担当後、ライフスタイル分野にマーケットデザインの問題が大きいことに着目し、2015年3月にスタイラー株式会社を設立。Fashiontechで未来の購買体験をアジアから作っていくことを目指す。経済産業省アパレル委員会。東京大学大学院修了。

半径3km圏内の利便性

まず、OMOアプリ「FACY」(フェイシー)の概要を教えてください。
私たちが考えているのは、店舗でのショッピングをいかにデジタル化で便利にするかということです。私たちのミッションは、世界中のものを便利に買うことよりも、半径3km以内で各ユーザーにとって良いものを、良い体験で購入することの実現です。
なので、「FACY」を開くと周囲にどのようなアイテムの在庫があるのかがわかり、その在庫について何か気になることがあれば、メッセージを送って問い合わせをすることもできます。たとえばサイズとか素材、コーディネートといった項目ですね。
このように店頭のアイテムを可視化して、店頭での販売に繋げていきます。店舗の在庫を予約して店頭で受け取ったり、在庫を取り寄せて購入するといったサービスを提供しています。
こういったOMOや店頭在庫のデジタル化に取り組み始めたのには、どういった経緯があったのでしょうか?
僕自身、ECがすごく好きなんです。キャリアとしては、金融業界を経験した後にAmazonに所属していましたが、ユーザーの視点に立っても、市場の統計を見ても、ECで流通しやすいものと、流通しにくいものの偏りは大きい。
当然、そういったものをECで取り扱えるように機能強化して解決するという方向性もあると思います。それもいいと思うんですが、一方で、すべてをEC販売にしていくことは難しい問題があります。特に統計をみると、生活商材は店頭流通が多いことがわかります。食とか衣類、家具、化粧品といったものですね。なぜこういった商品をECで買わないのか、ユーザーインタビューをしてみると、答えは様々です。たとえばサイズの問題だったり、色味や質感といったように、生活商材は変数が多い。価格とか重要な変数もありますが、ユーザーは無数の選択肢のなかから選ばなきゃいけない。
ECは自分が既に知っているものを買うには適していて、意思決定が大きくならないものに関しては流通しやすいマーケットになっていますが、一方で店舗での購買は逆の傾向にあります。使い分けするのが、今の一般的な普通のユーザー像だと思います。
では、店舗販売なら問題はないのかというと、それも問題は大ありなんです。店舗の採算が取りにくく、ユーザー視点で考えても、どこになにがあるのかがわかりにくい。従来の店舗への問い合わせ手段は、電話をかけたり、仲のいい店員とLINE交換したりといったものですが、一般のお客さんからするとハードルが高いわけです。
店舗の在庫を可視化できていれば、事前に予約して店頭で受け渡しを行ったり、店舗在庫を発送することもできますよね。こういったサービスはスマートフォンの普及と共に海外では広まっています。日本においても、このようなマーケットプレイスアプリの必要性を感じて、「FACY」を作りました。
「FACY」では現在、どういった商材が取り扱われているのでしょうか?
一般的に、店舗を持つほど取り扱い商品の平均価格は上がりますが、FACYは有店舗のミドルプライス以上のブランドを取り扱っています。たとえば、ベイクルーズグループとも提携を開始しています。
ショップ数でいうと渋谷を中心として400ほどで、ユーザー数は今年の4月にリニューアルのタイミングでユーザーが一旦リセットされてしまったので現在拡大中で、以前のバージョンの際の月間利用者数150万人をまずは目標にしています。
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#RetailTech
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