2022.03.11

Z世代に向けたSNSマーケティングを提案:FinT

Instagramを起点とし、「認知獲得から購買・継続まで」一気通貫でのSNSソリューションを提供している株式会社FinT。ソーシャルコマース市場の拡大が進むなか、SNSマーケティングの支援サービスを行っている。同社では2017年の創業以来女性向けメディア「Sucle」の運用を続けており、現在の公式Instagramの総フォロワー数は80万人を突破。SNSマーケティング事業では100社以上の取引を行っているという実績もある。

最近では本格的に「TikTokプロモーションプラン」の提供開始を発表。SNSマーケティングに特化した会社が提供する、このプランはどのようなものなのか。株式会社FinTのTikTokチームの堀さんにインタビューを実施し話を聞いた。

「モノ訴求」と「シーン訴求」

まず、SNSマーケティングを中心に提供し始めた経緯について教えてください。

自社で最初に立ち上げた女性向けライフスタイルメディア「Sucle」での運用ノウハウを元に、Instagramの運用代行事業をスタートしたのがきっかけです。その後クライアント様からTwitterやTikTok運用などのご相談をいただくことが増え、徐々に展開を広げていきました

クライアントごとのリクエストなどに応えるために、どのような体制やプロセスでサービス開発を行っていますか?

分析ツールなどは特に導入しておらず、プライベートでも日頃からSNSを利用しているディレクターの目視で最適な運用をご提案するようにしています。また、1投稿ごとの検証軸を定めて、仮説検証を繰り返しております。

メインターゲットはどちらになりますか。

主にZ世代へのマーケティングになります。こちらはSNS運用だけでなく企画からご提案しています。Z世代に注目する理由としては世代的なLTVとZ世代の拡散力の高さの2つがあります。

世代的なLTVでは、Z世代のうちから今後投資するであろう領域のブランド名や企業名を知っていることで、今のZ世代が将来的にその選択肢を迫られた際にブランドを想起するきっかけになると考えています。たとえば、“家を建てるならこの企業”をZ世代のうちから認識していることで、30代になって家を建てる際にその企業一択になることが期待できます。なので、生涯多額の金額を投資する業種などは早いうちからZ世代認知を取ることが大切だと考えています。

Z世代の拡散力は、世の中の流れがZ世代からトレンドが生み出されて動く事例のことを指しております。昨年紅白に出演された瑛人さんの「香水」は多くのZ世代が視聴しているTikTokで注目され、若者を中心に流行ったことにより、あらゆる歌番組に出演し、最終的には紅白歌合戦という老若男女全員が見る場所での露出に繋がりました。なので、Z世代の拡散力は欠かせない要素のひとつですね。

実際に商品の訴求する際はどのようなことを心がけているのでしょうか。

具体的なところでいいますと老舗の某ルームブラブランドで売り上げが2倍になった事例があります。この場合、まずブラの着画ではなく置き画にしたことが大きいポイントでした。ブラの場合、着用画像では数値のエンゲージメントが高いように見えても、その実態はエロ目的の男性にリーチすることが多くあります。そうではなく真の顧客である女性にリーチさせるべく、あえて着用画像ではなく床に置いて上から撮影する置き画を活用することで、リーチさせる層を変えることに成功しました。また、ブラそのもののデザインといった「モノ訴求」だけではなく、そのルームブラをつける生活を想起させるような「シーン訴求」ライフスタイルを推進したのです。

そのほかですと、4Sモデルという自社独自の保存機能を意識した施策、インフルエンサーのキャスティングに25項目の目視チェックポイントを設置していることも具体的な弊社のサポートのひとつとなります。

流行語がきっかけに生まれたTikTokプラン

TikTok プロモーションプランの概要についても教えてください。
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ひとつめはアカウント運用プランです。企業様毎に運用方針立案から投稿実施、レポーティングまで、一気通貫したアカウント運用代行をさせていただくプランとなっております。これまで累計100社以上の企業様のSNS運用をサポートしてきたFinTだからこそ、クライアント様の商材やサービスに合わせて、適切な訴求を実施いたします。

TikTokは比較的新しいSNSプラットフォームであり、若年層ユーザーのフォローに対するハードルが低いことや競合が少ないことから、フォロワー増加に寄与しやすい状況にあると私たちは考えます。現在まだTikTokへ参入をしている企業が少ない中、若年層に対して効果的にアプローチすることで自社商品・サービスのブランディングや認知拡大を測ることが可能となります。

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ふたつめがインフルエンサータイアッププランです。商品やサービスにあった適切なクリエイター(インフルエンサー)の選定から、PR依頼、レポーティングまで一連の施策をご支援させていただくプランです。TikTokはクリエイターの人柄や独自のコンテンツに対してファンがつくことが多く、そんなクリエイターの個性を活かしたうえで、プロモーションを行うことが重要になってきます。

弊社ではInstagram上におけるインフルエンサー施策のノウハウを活かし、企業へのヒアリングに基づいた深い商品理解とクリエイターの意向に寄り添いながら、クライアント様に合わせたキャスティングを実施することで認知拡大や興味関心の向上に努めます。

どのような経緯からこのサービスを立ち上げることになったのでしょうか。

2021年の流行語に「TikTok売れ」というワードがランクインして以降、企業様からのTikTok運用に関するご相談が急増したことがきっかけです。

以前はTikTokといえば視聴者は10代が中心で、カメラの前で口パクをしたり踊ったりする単なる「自撮り」系動画のプラットフォームというイメージを持たれていました。しかし、上記の流行語にランクインして以来、消費者の購買とTikTokの相関が実証されたり、マーケティングにおけるTikTokの重要性が改めて再認識されるようになりました。特にメーカー様や、Z世代への展開をお考えの企業様からのお問い合わせやご相談が増えたことを機に、社内でも正式にTikTokのプロモーションプランを立ち上げることになりました。

Instagramとの違いはどんなところにあると考えていますか。

全体の市場感からお話しするとInstagramはプラットフォームとしては成熟しており、ユーザー離れが徐々に起こっているような状態にあると考えています。一方でTikTokは2021年のアプリDL数ランキングで世界首位を獲得するなど、現在急成長しているプラットフォームとなっています。プレイヤーが少なく、爆発的なバズが生まれやすいことからも、現在はInstagramよりもTikTokがトレンド起点となることが多いという所感です。

とはいえ、現状において企業がTikTokに参入するハードルは高いと考えています。理由としては売上的な予測が立ちにくいことや取り組むにあたってのイメージが湧きづらいこと、取り組む重要性や得られる効果の認知が浸透していないことが、始めるにあたっての障壁となる機会が多いように考えられます。

TikTokに参入するハードルは高いというお話にも繋がりますが、TikTokはレコメンドハックが難しいプラットフォームのひとつでもあると思います。その辺りはどのように考えていますか。

おっしゃる通りTikTokは他プラットフォームと比較して、バズる投稿とそうでない投稿の差が顕著であり、安定して投稿の再生回数を伸ばすことの難易度が高いSNSであると考えております。

ただ、ボトルネックとなっている動画の構成を紐解き、障壁を一つひとつ取り除いていくことで、再現性を持って投稿をバズらせることは可能であると考えております。弊社ではユーザーが動画を視聴態度の一般例を考えたうえで、数値と照らし合わせて、改善ポイントを考えるようにしています。

1.まず動画の冒頭の2~3秒のカットで、4秒目以降のカットを継続してみるか、動画をスキップするかを検討
2.その後、動画が進むテンポや、ナレーションや映像の内容、音楽によって最後まで見るかを検討
3.最後まで見てよかったらいいねを押したり、思わず突っ込みたくなるようなポイントがあれば、コメントを行う。

たとえば、視聴時間が短ければ1か2に改善点がないかと考えます。逆に視聴時間が長くてもエンゲージメントが低い場合には3で次回以降の投稿で工夫できる点はないかを模索していくと言った形です。また、「フォロワーが多い」ことがほかのSNSと比較し「再生回数が多い」ことへの繋がりが薄いこともTikTokの特徴です。コンテンツの良し悪しで投稿の再生回数が大きく左右されるため、Instagramなどと比べて「バズる」ことに比重を置いた運用を行なっています。

Instagramとの具体的な使い分けについてもお聞きしたいです。

「コト軸かヒト軸か」、「顕在層か潜在層向け施策か」といったこの2点に着目して、それぞれのプラットフォームの使い分けや、適切な施策実施を心がけています。

「コト軸かヒト軸か」の場合はそれぞれのプラットフォームの起源から生じる違いも大きいです。Instagramはもともと写真加工アプリであったことから、物撮りの写真や映像が多いです。一方で、TikTokはダンスコンテンツから若年層を取り込み拡大した背景があるため、人軸のコンテンツが多い傾向にあります。また、コトの紹介であったとしても、音声つきで説明されているものが多いなど、主観的な意見によって述べられることが多いです。商材や施策内容によって、それぞれのプラットフォームに合う合わないがあるため、取り組む内容に合わせてそれぞれのプラットフォームを使い分けるようにしています。

「顕在層か潜在層向け施策か」では、具体的な商品やHow Toの紹介など、情報量が増える場合はInstagramで投稿し、TikTokでライトに紹介した内容を投稿するなど、それぞれで投稿内容を切り分けています。TikTokはおすすめ表示のアルゴリズムが非常に優れているという特徴があります。エンタメ要素が豊富なコンテンツが多いことや、ライトに情報を得られることからも、暇つぶしとして見ているユーザーが多いです。また、プレイヤーが少なく、投稿がバズりやすいことからも、潜在層に対して幅広くリーチしたい際に特に有効的と考えています。

TikTokではInstagramのようなEC機能はまだ日本では実装されていませんが、今後追加された場合ソーシャルコマース市場はどのように変化していくと考えていますか。

これまで「TikTok売れ」で代表されるお菓子の「地球グミ」、書籍の「残像に口紅を」、大塚製薬の「ファイブミニ」などはディスカウントストアや書籍店、コンビニエンスストアなどオフラインで買われることが多くありました。EC機能がないことも要因のひとつですが、行動変容を起こすユーザーの多くが若年層であり、クレジットカードを持たないケースが多いことも関係しているように思います。

ただ、2021年10月には公式から4人に1人が主婦ユーザーであると発表されており、年齢層の広がりが顕著になりつつあります。年齢層の変化と、これまでオフラインで物を買っていたユーザーが大学生・社会人になり、オンライン上へのシフトに移っていくなかで、より一層EC購買比率は高まるでしょう。TikTokにおけるEC導入はこれまで見えなかった購買を可視化することと、Z世代の行動の変化とともに多くのステークホルダーに影響を与える出来事になりうるのではないかと考えています。

ソーシャルコマースのなかで最も熱いTikTok

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ソーシャルコマースやインフルエンサーマーケティングはコロナ禍においてどのように変化したと考えていますか。

大企業様を中心にSNSを起点とするPR活動への注力が顕著になりました。以前はSNSマーケティングも「若者向けだろう」と思われることも多かったのですが、コロナ禍に入って以降、世代にかかわらずいろんな層にアプローチできるマーケティングチャンネルとして再認識されたように思います。

対面で接客が困難になった実店舗を持つブランド様からは、「顧客との新たな接点を持ちたい」という思いでSNSマーケティングに本格的に取り組まれるという旨でのご相談をいただくことも多いです。

「新たな接点」の鍵となるのがTikTokなのですね。

そうですね。今ソーシャルコマースのなかでも最も熱く、弊社も注目しているのがTikTokになります。日本におけるTIkTokのビジネスチャンスはようやく認識され始めたばかりで、活用事例もそう多くありません。ユーザーも今は若年層がまだ多い印象にありますが、コンテンツも多様化していることなどをみると、今後はInstagramのように幅広いユーザーが利用するアプリになることはほぼ間違いないでしょう。

インフルエンサーマーケティングもまだ発展途上にあり、インフルエンサーの影響力も大きいプラットフォームです。TikTokに対抗して、他のSNSも相応の新機能やマネタイズ機能を具備することで対抗してくるはずです。今後、SNSごとにユーザー層やコンテンツの得意領域がはっきりと分かれてくるかもしれません。企業は自社のプロダクトの性質やリーチさせたい層によってどのSNSに注力するかも変わってくるでしょう。

また、メタ社が発表するメタバース領域からも目が離せません。メタバースはSNSに次いで「自分の居場所を増やす」場所だと弊社は解釈しています。メタ領域はいまだ開発途中ですが、その根本はSNSの既存のコミュニティを活用してくるはずです。SNSマーケティングの事業者としても、現在SNSのアプリケーション内のみで広がっている2次元のコミュニティがどのように3次元に活かされるか、そのビジョンをきちんと描いていきたいと考えています。

最後に、今後挑戦していきたい領域を教えてください。

Z世代向けマーケティングの本格化ですね。Z世代に向けたSNSでのプロモーションだけではなく、SNSで拡散されるようなコンテンツを商品開発の段階から落とし込んでいく包括的なZ世代向けマーケティングにも挑戦していきます。このZ世代マーケティングは社内の現役Z世代の知見を活かしながら、当事者による企画・立案・施策実行を予定しています。

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