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2022.11.29

大容量のポータブル電源がもたらす、「キャンプの電化」というあたらしいカタチ

「UL(ウルトラライト)」「グランピング」「ベランピング」「ソロキャン」など、ここ数年続くアウトドアブームは、その余波としてこれまでにないキャンプの新たな楽しみ方やスタイルを生み出してきた。そして現在、コアなキャンプファンの間で注目を集めているのが、大容量・高出力のポータブル電源を取り入れた「キャンプの電化」だ。
本来キャンプでは電力やガスなどの文明の力に頼らず、敢えて自然の中で創意工夫を楽しむのが醍醐味ではあるものの、キャンプのスタイルが多様化する中で、ポータブル電源やPHEV(プラグインハイブリッドカー)など先進のテクノロジーを取り入れた快適空間を構築するスタイルが生まれているのも事実。その実態について探るべく、“ポータブル電源”という言葉を提唱した企業であり、そのパイオニアとして名高い「Jackery(ジャクリ)」の広報担当のFuさん(以下:フさん)に話をうかがった。

創業から10年で市場を席巻。アウトドア界に新風を巻き起こしたゲームチェンジャー

2015年に開発した世界初のリチウムポータブル電源が世界的な大ヒットを飛ばし、これまでにポータブル電源とソーラーパネルの販売台数で世界累計200万台を突破するなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの企業だ。
「当社は現在、米国、中国、日本のほか、韓国やドイツなどに拠点を設けてサービスを展開しており、製品の設計は米国、製造は中国の専用工場で行っています。この背景にあるのは、世界的なアウトドアのトレンドも一因といえますが、日本の場合は他国にはない理由も挙げられます」(フさん)
その理由とはずばり「防災」。もともと地震や台風の多い日本では、これまでに経験してきた天災の教訓として家庭で備蓄電力を備える文化が発達しており、こうしたポータブル電源を購入する家庭も多いとフさん。騒音や操作の複雑さもある燃料発電機と比較して、環境にもやさしいポータブル電源が支持されつつあるのだという。
「日本の方々は日頃から災害への備えに対する意識が高く、非常時への備えとして当社の製品を購入される方も多いですね。とはいえ日本国内でのターゲットはアウトドアがボリュームゾーン。米国や中国の市場でもコロナ禍の2020年頃からアウトドアブームが到来しており、アウトドアシーンでの需要が大幅に増えました。そうした意味でも、ポータブル電源は不可欠なアイテムとなりつつあります」
「ジャクリ」の製品を手にする人の多くは、アウトドアシーンのなかでも特にコアなファン層。多くは30〜50歳の男性だというが、これは全世界も同様。フさんいわく、一般的なキャンプのスタイルに飽き、次のステップや楽しみを探している人に多く支持されているのではないかと推測されるのだという。このように、アウトドアシーンでの地位を確立した「ジャクリ」だが、すでに目線は次のフェーズへと向いているようだ。

クリーンエネルギーをより効率よく使う「ソーラージェネレーター」という新概念

 世界的なEV車の普及を支える中国では、EVやPHEV車の開発に牽引されるかたちでバッテリー産業が成熟。ポータブル電源市場の急速な発展は大容量・高出力といった製品のスペックのみならず、安全性といった観点でも日進月歩で進化を遂げてきた。その前線である中国の深圳(しんせん)に工場を置く「ジャクリ」では、製品に自動車用バッテリー開発と同等のシステムを取り入れるなど、安全に対する取り組みにも力を入れているのだという。
「製品を手がける上で最も大切にしているのは“安全性”。製造工程では多くのチェック項目やテストを行っており、過充電や過放電を防止するバッテリーマネジメントシステムを搭載バッテリーの管理システム(BMS)は、自動車メーカーの車載用バッテリーと同じクラスのものを取り入れています。また、2年間の製品保証(ユーザー登録をすることで最長3年保証)に加え、日本国内でのアフターメンテナンスも充実するなど、ユーザーの方が常に安心してご利用いただける体制を敷いています」
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