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2022.01.12

Joyfaの高度なCG技術による、フォトリアルなデジタルファッション

デジタルファッションの試みが多岐に渡って展開されるなか、日本で近年設立された会社が株式会社Joyfa(ジョイファ)だ。ジョイファでは主に制作、NFT化、合成といったデジタルファッションのエコシステム全体の開発を手掛けている。
今回は、デジタルファッションとCG技術の活用可能性や、技術的な課題などについて、株式会社ジョイファ代表取締役の平手宏志朗さんにお話を伺った。
PROFILE|プロフィール
平手宏志朗
平手宏志朗

2017年よりブロックチェーン事業に携わり、日本およびシンガポールの企業においてデータ管理・証券取引・エネルギー取引といった分野における、ブロックチェーンプロジェクトをリード。2020年4月に NFT x エンターテイメントのエコシステムを開発しているEnjinにジョインし、同社が発行する仮想通貨の上場や、国内外の企業との事業提携を推進。2021年5月に株式会社ジョイファを創業。

フォトリアルなデジタルファッション

まず、ジョイファの事業内容について教えてください
ジョイファは最先端のCG技術を活用した、フォトリアルなデジタルファッションのエコシステムを開発しています。手掛けている内容は主に3つあり、1点目は社内外のデザイナーと共同した、デジタルファッションの制作です。2点目は、制作したデジタルファッションをNFTとしてブロックチェーン上に発行し、販売しております。そして3点目が、発行されたデジタルファッションと、ユーザーの写真を合成するという試みです。つまり、ユーザーの手持ちの写真にデジタルファッションを合成して、本当に着ているかのように表現しています。
ジョイファを設立された経緯を教えてください。
私自身もともとNFTの業界に関わっており、EnjinというNFT×エンターテイメントの会社で、NFTを使った事業開発や仮想通貨の上場などを担当しておりました。そちらでNFTのユースケースは一通り見ることができ、どういったものが今後面白くなってくるんだろうと考えた時に、ちょうどEnjinがThe FabricantDRESS Xとコラボしてデジタルファッションのユースケースを作ろうとしている現場に立ち会い、デジタルファッションの可能性を強く感じました。デジタル空間で新しい自己表現ができたり、NFTという要素が加わることによってデジタルを資産に活用できるファッション分野は、次に必ず盛り上がると。そこでTFLというファッションの専門学校に通い、今年の5月に起業しました。
合成はどのようなプロセスで行われるのでしょうか?
当初はAIの画像合成の技術を使って、すべてフル自動で着用できることを想定していました。ただテストしてみると、まだSNSなどで共有ができるようなクオリティではなく、さらなる開発が必要だという結論に至りました。
現在は、手作業でユーザーとデジタルファッションを合成するという形をとっています。手作業だと何回も修正・合成をするということは厳しいので、直近のプロジェクトでは1回きりで対応させていただいています。ただ手作業ですと細かい表現が可能ですので、クオリティの高い合成を行うことが可能です。並行して完全フル自動のAIも開発中で、将来的には何回でも着脱ができるような形にしたいと考えています。
手作業での合成について詳しく教えてください。
手作業での合成は、たとえばフォトショップで単に服を上から被せても、なかなかうまく行きません。弊社ではもともと映像制作などで関わっていたメンバーもおり、光の位置を服に反映させて影を投射したり、人の体格に合わせて最適な形でプロダクトを表現しています。具体的にはMarvelous Designerを使ってシミュレーションをかけるなど一部既存の技術を組み込んでいますが、それだけでは不十分なので、影や違和感の調整の仕上げなどは複合的なアプローチで実現しています。
また、こういった画像処理や映像処理に強い人間が、AIの開発にも携わっています。なぜならAIを開発する上では、本当に「着ている感」を出すにはどういった表現にすべきかということから考えなければいけません。手作業での経験がある、画像処理や映像処理の経験がある人間がAIの開発にも携わることで、より優れたAIを目指しています。
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