外国からの旅行客も多く、神社仏閣といった日本の文化を感じられる場所として人気のある京都。街ゆく人たちは着物で身を包み、風情ある町並みを楽しんでいる。着物は日本のアイコンとして海外で人気があるだけでなく、日本でも伝統ある衣服として認知されている。結婚式や成人式で着用した人も多いだろう。
だが、普段から着物を着る人は多くないはずだ。晴れの舞台で着ただけで、箪笥の肥やしになっている人が大半だろう。家庭や呉服屋さんには大量の着物や反物が眠っている。しかも、それらは日本の職人の技術力が非常に高い時代のもので、素晴らしい刺繍が施された芸術品でもあった。
それらを今一度生まれ変わらせようと、株式会社季縁は新たな事業を展開した。着物をドレスへとアップサイクルする取り組みがそれだ。同社代表の北川淑恵さんに、日本の伝統文化に対する思いや着物をアップサイクルするという着想の背景を伺い、同事業の狙いを紹介する。 PROFILE|プロフィール

北川 淑恵(きたがわ よしえ)
龍谷大学卒業後、2004年4月に半導体企画販促として株式会社ロームに入社。
その後、ポーセリンアートやヴェネチアングラスの技術指導のサロンを運営。独自の協会を立ち上げ、全国に数百人の生徒が登録するまでに成長。
並行して様々な京都のクラフトマンのサポートをしていたことから、着物ドレスが生まれ、2020年3月に株式会社季縁を創業。
会社の設立経緯について教えてください。
私が京都出身ということもあり、周りには多くの職人さんがいました。2016年頃にインバウンドでの需要が高まったので、職人さんの体験教室や二次元バーコード決済の導入をお手伝いしていま した。
そのなかで、友禅などの染色を専門とする職人さんから「自分で体験教室を開くよりも、着物を作りたい」と相談を受けました。そこで2018年頃から一緒に活動を始め、職人さんが主体となって製品を作り、私がプロデュースやその他の対応を引き受けました。