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2022.04.06

Z世代の「好き」や「推し」の熱量をビジネスに:MERY

SNSのめざましい発展により、インフルエンサーマーケティングやライブコマースなどが世界的に注目されている。そんななか女性向けメディア「MERY」がZ世代を中心とした取り組み「ライフクリエイター」を開始した。Z世代が重視する自分なりの「好き」や「推し」を持って自分らしく生きている人たちと、MERYの社内外のメンバーから構成された「MERYライフクリエイター」。現在はMERY公式Instagramから「好き」を発信していく取り組みを行っている。
今回は株式会社MERYの斉さん、奥松さんにライフクリエイターの取り組みをはじめ、Z世代の「自分軸」の考えについて話を伺った。
PROFILE|プロフィール
斉田 裕之
斉田 裕之

株式会社MERY 執行役員CBO(チーフブランドオフィサー) 
MERY Z世代研究所 所長
大阪大学文学部・大阪大学大学院臨床哲学研究室卒。文学修士。2007年博報堂入社。
MERYのブランディング業務に加えて、企業マーケティングのプランニング、クリエイティブソリューションを提供している。

PROFILE|プロフィール
奥松 彩夏
奥松 彩夏

株式会社MERY MERY編集部チーフディレクター
デジタル広告代理店のアカウントプランナー、美容メディアの編集者を経て、MERY編集部にジョイン。MERYでは主にMERYの各種SNSを中心に担当。編集部内のコンテンツだけではなく、外部のインフルエンサーと共にコンテンツを共創するプロジェクトを立ち上げている。

MERY Z世代研究所
メディア「MERY」事業における記事や各SNSを始め、有料コミュニティ「MERY&」のメンバーなどのリアルなZ世代との接点からインサイトを抽出しクライアント企業さまやメディアに対して研究内容を発信し、企業マーケティングの課題解決に生かしている。

自分軸を重視するZ世代

まずは株式会社MERYで展開されている事業について教えてください。
斉田MERYではメディアを軸として、広告ビジネスとクライアントの課題解決をするブランド・プロデュース、個人向けのECと法人向けのグロースハック、コミュニティ・プロダクトを主な事業としています。今回のライフクリエイターの取り組みはブランド・プロデュース事業のソリューションのひとつとして展開していますね。
「MERY Z世代研究所」の運営を行っているんですよね。こちらはどのような取り組みになりますか。
斉田MERYがユーザーと接していくなかで、弊社内に暗黙知として溜まっている若い世代のインサイトや気持ちを捉えたクリエイティブな開発力やキャンペーン設計力をクライアントに提供しております。広く世の中にわかりやすく打ち出すことを含めてこの「Z世代研究所」という組織を作ったことが背景にありますね。弊社内にあるノウハウを活かして世の中に情報を出していき、このようなソリューション提供も積極的に行っていくことで、元々MERYが内在的に持っていたものをグッと引き出して強くするために発足した取り組みになります。
Z世代に注目されている具体的な要因はどのようなことが挙げられますか?
斉田MERYのユーザー層がZ世代中心であったことですね。 実際MERYには歴史があるので10代後半〜30代までの幅広いユーザーがいるのですが、メインのユーザー層が20代前半になります。そのため、Z世代をどう捉えてマーケティングをしていくかという部分がクライアントのニーズとしても非常に大きいと考えました。
事業として立ち上げるためにZ世代への調査を進めていくと、様々な点でおもしろい発見があったのです。昔から「若い世代ってさ」という形で語り継がれていく構造世代論は必ずありますが、まさに世代論の時代の切れ目を感じるのがZ世代だなと思います。これまでの当たり前の価値観と大きく違う価値観が強く見えてきているので、だからこそグローバルにZ世代というものが問いになっているというのもあるのかなと。
またSNSがネイティブになった世代でもあるので、情報行動が僕らの世代とも大きく異なります。この辺りは情報の消費とマーケティングの消費が大きく違うのでしっかりと調査しないといけないと思いますし、着目しているポイントだと思っています。
具体的にはどのような特徴がありましたか。
斉田「自分」という言葉が非常に多く出てきたことですね。去年行った調査で、Z世代のユーザーに対して「自分たちの世代はどういう世代だと思う?」ということを自由回答形式にし、キーワードで集計しました。すると「自分らしく生きたい」「自分はどうあるべきか」「自己が〜」というのを、ひとりの人間が3回ぐらい書いているんです。僕の40代世代だとマルチプレイヤーにならないといけなかった世代なのであまり自分軸を重視している世代ではなかったのですが、一周回ってこんなにも違うのかと。
30、40代はキャリア志向なんですよね。ワークライフバランスを考えながら夫婦で出世する志向が高かったのですが、Z世代にとって仕事はスキルアップのための手段でしかない。自分に重点を置いて、仕事といった外側にメインを置くことをしない世代なんですよね。なぜ彼らが多様性を受け入れられるかというのも、あまり他人に興味がないからなんですよ。「自分」の集団がいっぱいいるので、「君は君だね」というのが受け入れられやすい。ここが最も違うポイントかなと思います。
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