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2023.08.28

生理用品ブランド「ソフィ」の挑戦:「#NoBagForMe」プロジェクトとは?

ユニ・チャーム株式会社が手がける生理用品ブランド、「ソフィ」が推進する「#NoBagForMe」。生理・生理用品について気兼ねなく話せる世の中の実現を願い、2019年にスタートしたプロジェクトだ。
ここでは、生理用品にまつわる正しい知識を学ぶことができる生理研修や、SNSやnoteを通じた情報発信などの取り組みを行っている。今回は同社のESG本部広報室の藤巻尚子さんに、その取り組みの背景について話を聞いた。
PROFILE|プロフィール
藤巻 尚子(ふじまき しょうこ)
藤巻 尚子(ふじまき しょうこ)

ユニ・チャーム株式会社 ESG本部広報室
「#NoBagforMe」プロジェクトの広報活動に携わる。
生理は女性だけのものではなく、周囲の方の知識や理解も必要であることから、引き続き相互理解の促進を図り、誰もが自分らしく過ごせる社会を実現していきます。

#NobagForMeプロジェクト

#NobagForMeプロジェクト発足のきっかけについて教えてください。
2019年に始まった#NobagForMeプロジェクトは、当社の企業理念が社員一人ひとりに浸透しているからこそ、立ち上がったものです。企業理念「NOLA&DOLA(Necessity of Life with Activities & Dreams of Life with Activities)」には、「赤ちゃんからお年寄りまで、生活者がさまざまな負担から解放されるよう、心と体をやさしくサポートする商品を提供し、一人ひとりの夢を叶えたい」という思いが込められています。
生理用品のマーケティングを担当している社員が、日々生理にまつわる調査をしているところ、タンポンやシンクロフィットなどの認知率の低さや、生理やPMSなどの悩みを周囲と共有できない状況があることに疑問を抱きました。「生理」が隠すべきもの、話しにくいものとして扱われているといった社会課題に着目したことが、#NoBagForMe発足のきっかけです。
このプロジェクトは、ひとりでも多くの女性が、自分に合った生理ケア用品を知り、選択し、より自分らしく過ごすことができる社会の実現を目指すものです。
世間では生理に関する話題が少なく、タブー視されているという課題があるといいます。
SNSなどでは、例えばコスメなどに関する情報交換が当たり前のように行われている一方で、ナプキンやタンポンなどの生理にまつわることは、情報交換や当事者同士でも話すことが少ないということが分かりました。

パッケージ開発や生理研修を実施

#NoBagForMeでは、これまでどのような活動をしてきましたか?
初年度の2019年には、生理について気兼ねなく話すことができる世の中の実現を願い、「購入時に紙袋で包む必要性を感じさせない」新しいパッケージデザインを開発しました。パッケージ開発には、#NoBagForMeの主旨に賛同いただいたインフルエンサーやキーオピニオンリーダーにも参画いただきました。
約100もの候補から厳選した3つのデザイン案に対して、SNSや街頭で消費者投票も実施し、約5万4千票が集まりました。投票で選ばれたパッケージを発売後、生理用品ということを感じさせないパッケージということもあり、SNSで話題になりました。結果として、SNSの生理にまつわる話題が約2倍に増加しました。
#NoBagForMe限定デザイン。現在は発売していない
#NoBagForMe限定デザイン。現在は発売していない
気兼ねなく生理ケア用品などについて話すきっかけが作れたのではないかと考えています。
しかし、想定以上の反響があった一方で、生理休暇の取りづらさや、生理に関する学習の機会の男女差など、生理を取り巻く課題は沢山あり、より本質的な課題に切り込む必要があると捉え、2020年からは「ソフィ みんなの生理研修」として、生理に関する知識向上と職場における相互理解を促進する研修を始めました。
研修開始時は企業様限定でしたが、今では教育機関や地方自治体、消防署などさまざまな業種から応募をいただき、これまで約400以上もの企業様や団体様に受講いただきました。
義務教育以降、学ぶ機会の少ない生理に対する知識や情報は日々アップデートされるため、定期的に学び直す必要があると考えています。生理のある方、そうでない方も含め受講いただくことで、よりよい社会になると考えています。
研修はどのような内容なのでしょうか。
研修では生理の仕組みや生理ケア用品の選択肢について学び、講義の最後にあるグループワークでは、「職場にもし体調不良の方がいたらどのように接するか」などといったお題で、討議する時間を設けています。
生理に限らず、お互いの立場を考えてコミュニケーションすることが大切だと考えています。

お互いを支え合う、社会のあり方を考える

最後に、#NobagForMeの今後について教えてください。
私たちは#NobagForMeを推進していくなかで、生理にまつわる話題が徐々に多くなってきていると感じています。テレビ番組などでも取り上げられることもあり、徐々に社会が変わり始めているなと思います。生理に関する問題は個人の問題ではなく、社会全体の問題として捉えることで、皆がより快適な社会を実現できると信じています。これからも、自分らしく過ごせる社会を実現するため、沢山の方のご協力をいただきながら継続して#NoBagForMeを推進していきます。
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