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2021.08.25

デニムの風合いを3Dで視覚化:インドのデニムコンサルタントParas Gupta

インドを拠点に活動する、デニム・コンサルタントのParas Gupta(パラス・グプタ)。デニムデザイナーとしての背景をもち、2020年Second Spaceを設立。デニム・コンサルタントとしてブランドにバーチャルサンプルの提供やコンサルティングを行っている。今回、デニムの専門家としての観点から、デニムと3D化についてインタビューを行った。
PROFILE|プロフィール
Paras Gupta(パラス・グプタ)

インドを拠点に活動する、デニムデザイナー、コンサルタント、3Dアーティスト。2020年コンサルタント会社Second Spaceを設立し、ブランドや企業にデザインやデジタルソリューションを提供している。

デニムコンサルタントとして

デニムとの出会い、そしてデニムコンサルタントに至るまでについて教えてください。
私は、教育の一環のプロジェクトでデニムに出会いました。 デニムの生地とウォッシュ加工の相性の良さに触発されて、すぐにデニムに親近感を覚えました。そして卒業後、デニムのデザイナーとして、工場や衣料品製造部門に就業し、素晴らしい工場や製造ユニット、ブランドと仕事をしてきました。そこでは、デニム製品や洗濯、縫製に関する深い知識を得ることができました。数年経って、デニム・コンサルタント業を始めました。
 デニム・コンサルタントは具体的に何をするのでしょうか?
デニム専門のデニム・コンサルタントとして、常に複数のプロジェクトに関わっています。Second Spaceで請け負う仕事は大きく3つに分けられ、3Dデジタルコンサルタントやバーチャルサンプリングなどの3Dソリューションの提供と、ブランドや企業や工場に向けたコンサルタント業、広告素材の制作が挙げられます。これまでに、シーズンコレクションやブランドのプレゼンテーションのデザインや、デニムメーカー向けのランドリープロジェクトに携わってきました。
コンサルタント業では、基本的にはインドにあるファッションブランドのデニムアイテムのデザインを請け負っています。大抵の場合、ブランドにデニムデザイナーが在中していないこともあり、デニムの扱い方がわからないブランドから発注を受けることが多く、デニムデザイナーとして、ブランドのイメージに合う生地の選定や、デニムに関連したサービスの提供を行っています。製品のデザインを発注された場合、まず最初に生地を選び、ムードボードやデザインコンセプトを固めます。そして、シルエットを調整し、実際の製品のデザインをします。デニムデザイナーとして、ウォッシュ加工や、製品のステッチはとても重要に捉えているため、工場に詳細な指示を送ることも多くあります。このようにマーケティング観点から、最適な商品をデザインして納品することもあります。

デジタルツールとデニムの組み合わせ

デジタルツールはどのようにして学びましたか?
インターネットを通じて、さまざまなデジタルプラットフォームを行き来し、独学でデジタルツールを学び、3Dアーティストになりました。時間はかかりましたが、一貫性があり、フォトリアルなデザインをバーチャルに表現したいという思いから、ツールを習得することができました。ツールを学ぶにつれ、バーチャルサンプルの制作には単一のツールではなく、複数のツールを通じたパイプラインの設計が必要だと気づきました。そして、現在では2Dと3Dのソフトウェアの様々なツールを使っており、CLO3D、Substance、Cinema4D、Marvelous Designerなどを頻用しています。
 3Dデザインはどのように行われているのでしょうか?
衣服デザインも含めた、私の3Dデザインのプロセスは、従来のデザインプロセスとよく似ているように思います。自分の個人プロジェクトでは、手を動かし始める前に必ずインスピレーションとなるものを探し、さらに広範囲にわたるトレンドや市場調査を確認します。クライアントのプロジェクトの場合は、クライアントの要求や詳細に応じてデザインプロセスを変更します。その際、リサーチ、イノベーション、そしてユニークさが、私のデザインプロセスの中核を成しています。
一方で3Dデザインのプロセスは、素材、テクスチャー、モデルの作成を伴うため、実際には複雑です。大抵の場合、クロスシミュレーションソフトウェアCLO3Dで衣服設計を行った後、エクスポートしたファイルをSUBSTANCE DESIGNERに持ち込み、生地のデザインやエフェクトの追加、刺繍のディテールや装飾の追加などを行います。その後、SUBSTANCE PAINTERでそれらの上にウォッシングやフェーディング加工などを加え、レンダリングを行っています。これらは長いプロセスですが、デニムのディテールが重要だと理解しているからこそ、誰もが見てもデニムの特徴を捉えられているように注意してデザインしています。
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