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2023.11.14

日本発のWeb3×ウールブランド「PIZZA DAY」が目指すサーキュラーファッションの現状と今後

Web3とウールを組み合わせて、アパレル環境問題の解決に取り組む日本発のブランド「PIZZA DAY」をご存知だろうか。
2023年10月に初のコレクションをリリースし、その先進性やサステナブルな取り組みからさまざまなメディアに取り上げられ、注目を集めている。
Web3とは、ブロックチェーンの技術を利用して構築される分散型インターネットのことを指すが、なぜWeb3とウールによって環境問題の解決に繋がるのだろうか。また、具体的にそれらをどのように活用し、どのような未来を見据えているのか。
今回は、PIZZA DAYを運営する株式会社Spicelink 代表取締役CEOの高田 基以さんに、ブランドの目的や背景、今後の展望を伺った。
PROFILE|プロフィール
高田 基以(たかだ もとい)
高田 基以(たかだ もとい)

株式会社Spicelink 代表取締役CEO
名城大学 経営学部卒。電通名鉄コミュニケーションズ入社。2018年よりweb3スタートアップに参画。世界初のトークンエコノミー型グルメSNSシンクロライフの国内新規事業開発を牽引。2022年より自社事業に専念。得意領域は、広告マーケティング、クリエイティブ領域。

PIZZA DAYの目指すサーキュラーファッション

PIZZA DAYは、日本国内最大手の毛織物メーカーである「ニッケ」と共同で製品開発を行っている。製品の特徴としては「服を将来的に回収し、肥料に変えて土に還元していく」というサーキュラーエコノミーの実現を目指している点にある。
具体的には、PIZZA DAYは受注生産モデルを採用しているため、製品は無駄なく生産することができ、その後、回収プログラムによって販売した服を回収した後に、肥料化し土へ還元する、という仕組み作りを目指している。
ただ土へ還元するだけでなく、その肥料を用いてぶどうを生産し、ワインの製造に向けた取り組みを計画中。2024年以降に兵庫県のワイナリー協力のもと、このような活動を開始していく予定で進めているとのことだ。
同社はなぜ、このようなサーキュラーファッションを目標としているのか。
「読者の方はご存知の方も多いかもしれませんが、アパレルは世界で2番目に環境汚染をしている産業だと言われていて、この大量生産モデルをなんとかしたい、という課題感がありました。PIZZA DAYは、解決策として“受注生産”と“製品の肥料化”を採用し、サーキュラーエコノミー率100%を目指しています。」
アパレル業界でもアップサイクルやリサイクルは注目されているが、これらはあくまでも、製品を選別して再利用している。PIZZA DAYが目標とするのは、全て循環させる「究極のサステナブルブランド」と言えるだろう。

世界三大ウール産地「尾州」のウールを使用

PIZZA DAYのその他の特徴として、世界三大ウール産地と呼ばれている「尾州ウール」を使用している点にある。
尾州ウールとは、愛知県と岐阜県の木曽川流域で生産されるウール製品の総称で、イタリアのビエラ、イギリスのハダースフィールドと並ぶ世界三大ウール産地のひとつとして知られている。
PIZZA DAYはなぜ、尾州ウールに目をつけたのだろうか。
「たまたま私の地元が愛知ということもあって、尾州ウールの魅力については知っていました。一方で、世界の繊維全体の生産量においてウールのシェアは1%と少数ですし、多くのハイブランドが尾州ウールを利用していますが、産地にまで目が行かないのが現状です。
せっかく良いものを作っているのに、このまま尾州ウールが衰退してしまうのは良くないですし、環境問題の影響によりウールが注目されている点も踏まえて、地元の産業を少しでも盛り上げたいという思いで尾州ウールを選択しました。」と高田さんは語った。
「ウールはチクチクする」といった印象を持っている人も少なからずいると思うが、機能性・快適性に優れており、半年ほどで土中分解されるため環境にも優しいサステナブルな素材として見直されている。
たまたま地元が愛知だったというように、偶然の産物とも見て取れる尾州ウールの選択だが、PIZZA DAYの目標やウールの価値を知ると、必然的な選択だったとも言えるのではないだろうか。
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