今、日本古来の下着である“ふんどし”が再注目されている。その人気は俳優やタレントも愛用するなど、徐々にその輪が広がっている。そんななか、カラダと心をゆるめる新しいふんどし
「sharefun(しゃれふん)」が爆発的に売り上げを伸ばしている。そこで今回は「sharefun」の開発者でもあり、日本ふんどし協会の会長を務める中川ケイジさんに、ふんどしの魅力や「sharefun」の人気の秘訣を伺ってきた。
紐を結ぶという行為が“ONとOFF”を切り替えるスイッチに
日本特有の文化であり、伝統的な下着といえば“ふんどし”である。その“ふんどし”がにわかに注目を集めているのをご存じだろうか。その仕掛け人が「sharefun(しゃれふん)」や「ととのうパンツ」を手掛けた、中川ケイジさんだ。今や日本ふんどし協会の会長を務めるほど“ふんどし”の普及に力を注いでいる。
中川さんが“ふんどし”に興味を持ったのは、自身の体験がきっかけだった。
「僕が“ふんどし”に興味を持ったのは、2011年に自分が仕事の悩みから“うつ”になったのがきっかけでした。たまたま、自分の尊敬する先輩から“普通のパンツからふんどしに替えたら男性的にも、精神的にもすごく元気になった”と、楽しそうに話しているのを聞きまして。それで自分も試してみたいなと思いました」
ちょうど、その時期は日本古来の汗取り下着であるステテコが人気を集め、リラックスウェアに変換されていた時期だった。中川さんはふんどしを手に入れようとしたが、百貨店でも店員さんに言ってはじめて引き出しから出してくるぐらいしか流通していなかったそう。しかも、赤か白かの越中ふんどしのみ販売している状況だった。
「自分は赤い麻素材の越中ふんどしを購入しました。初めて穿いた時“なんでこんな快適なものを誰も知らないんだろう”と不思議に思うほど心地よくて。ふんどしを穿いた日はうつと診断されて以来、はじめてぐっすりと眠れました」
中川さんが後々気づいたのは、ふんどしの紐を結ぶというひと手間が、うつの改善に繋がったそうだ。
「日常生活の中に、パンツを穿くという行為しかなかったものが、紐を結ぶという動作でしっかりと“ONとOFF”を切り替えられるようになったのです。紐を結ぶという行為自体が、後から調べると柔道着の帯を丹田の部分で結ぶように、日本古来の所作の良さや気を引き締めるという行為に繋がったのかなと思います」
中川さん曰く、働きすぎてメンタルがしんどい時は、すべての行動がルーティーンになってしまい、何か新しいことを始めるということが無いそうだ。そこにふんどしを穿くという行為をプラスしたことで、うつも順調に回復していったとのこと。
「Share Fun(シェアファン)」と「2月14日(ふんどしの日)」という奇跡
仕事でうつになり、リストラされた中川さん。何か新しいことを始めなければいけないターニングポイントとなった。そこで自分が興味のあるものは何だろうと考えたときに、偶然にも目の前に“ふんどし”があったのだ。そこで開発したのが「Sharefun(しゃれふん)」だった。「まずふんどしを広めるには、ふんどしという堅苦しいものを崩すネーミングが必要だなと思いました。お洒落なネーミングで……おしゃれなふんどし……、しゃれたふんどし……と冗談みたいな感じで人が呼びやすいような名前を思いついたのが“しゃれふん”でした(笑)。
ただ、ひらがなだとカッコ悪いので、アルファベットに替えて“sharefun”になったんです。そこから、自分でパワポで作ったロゴと企画書でスタートしたんです。
後々、友人から『このネーミングって“Share Fun(シェア ファン)”ってことで、ふんどしを広めたいところからのダブルミーニングやったんやね』と言われて、まぁそうやで……みたいに答えましたけど(笑)。もちろん、海外の人にも、ふんどしの快適さと楽しさを知って欲しいので、自分がダブルミーニングを思い付いたように語っていますけどね」