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2023.09.20

リペアをして長く履くことを前提にした「trippen(トリッペン)」の持続可能な靴作りとは

30年以上ドイツ製にこだわり靴作りを続ける「trippen(トリッペン)」。日本でも有名シューズブランドで、伝統あるヨーロッパの靴産業、職人文化を絶やさぬようにとするスタンスを保っているブランドだ。そして、ブランドを立ち上げた1990年代、のサステナブルという言葉が一般的ではなかった時代から、リペアししながら長く履き続けられる靴作りに取り組んでいたという。
今回はtrippen日本総代理店の株式会社金万 trippenバイヤーの斉藤いずみさんにブランドの歴史やフィロソフィー、そして長年愛されている定番アイテムなどについてお話を伺った。

ブランド名の由来はよちよち歩き

「1991年ドイツ、ベルリンで、靴職人のマイスター(特別技術資格者)で、医療用矯正靴などの製作にも携わっていたミヒャエル・エーラー氏と、靴や服のデザイナーとして活躍していたアンジェラ・シュピーツ氏の2人が小さなギャラリーからブランドをスタートさせました。
trippen名前の由来は、“よちよち歩き”という意味で、中世ヨーロッパの貴婦人たちが靴が汚れないように靴の上から木の靴を履いて、歩く様子が、よちよち歩きだったこと、trippenが最初に発表した『履けない木のサンダル』のコレクションが、この木靴をイメージしていたことが語源になっています」
創業者の2人、ミヒャエル・エーラー氏とアンジェラ・シュピーツ氏
創業者の2人、ミヒャエル・エーラー氏とアンジェラ・シュピーツ氏

ブランドをスタートさせてからわずか6年で東京にオンリーショップをオープン

trippenが日本でポピュラーな一因としてtrippen原宿の存在が大きい。1990年代に日本へ進出するまでの経緯をお話しいただいた。
「trippenは今でもベルリンに本社があり、郊外に自社工場を持って運営しています。ベルリンのフラッグシップショップと同じドイツ内ではケルン、そしてパリなどヨーロッパにいくつかの直営店とパートナーシップ企業が運営するオンリーショップが世界の至る所にあるという規模で現在展開されています。
日本では、1997年9月に海外1号店となるtrippen原宿がオープンしました。その経緯は弊社の代表が、『アナトミカ』の代表ピエール・フルニエ氏と交流があり『なにかいい靴はないか』という話になったときに、trippenというブランドがあると教えてもらったことがきっかけです。そこで『Yen(イエン)』という定番の靴を買い、履き続けたところ『こんないい靴があるんだ』ということでベルリンへ行き、日本代理店契約を結び、すぐに原宿店をオープンさせたという話を聞いています」
ベルリン郊外の工場の様子
ベルリン郊外の工場の様子
現在のtrippen原宿
現在のtrippen原宿

“持続可能な靴を作る”1990年代から掲げているテーマ

trippenの最大の特徴はソールにあるようだ。ソールのサイドが宙に浮いたような独特なデザインだが、世界がまだサステナブルという言葉を使う前から、リペアすることを前提に作られ、ソール、アッパーに関するパーツを個々にメンテナンスできるように作られているのだという。
「trippenは1994年、バーデンヴュルテンブルク州国際デザイン賞、を皮切りにさまざまなアワードで賞を獲得していくのですが、受賞の大きな要因としてはtrippenの代表的な「Closed Collection(クローズド コレクション)」というソールがあります。
ソール個々の部品が分解でき、ソールをリペアしながら長く履くことを前提とした靴作りに取り組んでいます。インソールとアウトソールはもちろん、その間に入っている素材も全てソールを取り替える際に交換できるようにできており、リペアしながら履いていただくことのできる持続可能なシューズを、1990年代から作っていたというのがひとつの特徴として大きいです」
アッパー、ソールの分解図
アッパー、ソールの分解図

trippenの揺るぎない定番アイテム3型

ここでtrippenのラインナップの中から定番中の定番と呼ばれる3型を紹介してもらおう。ブランドの長い歴史の中で数々の名品が生まれてきたが、これはまず押さえておきたいラインナップを伺った。
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