2022.04.20

小柄な男性のための服を提案するUNITED ANTSによる、寄りそうSNS戦略

多様性が重視されている現代社会において、身体の多様性はファッションの1つの課題になっている。そのうちの1つが身長とファッションとの関係だろう。そのような課題に挑戦するブランドUNITED ANTSある。UNITED ANTSは小柄な男性に向けたファッションアイテムを専門に取り扱うファッションブランドだ。今回は、UNITED ANTS代表の大谷成さんに、小柄な男性のためのファッションを提案するための工夫と展望を伺った。

PROFILE|プロフィール
大谷成
大谷成

1994年生まれ現在27歳。大学卒業後バッグメーカーに3年間勤務後に独立してUNITED ANTSを開始。

自身の経験を踏まえた168cm以下というターゲット

ブランドの概要や立ち上げの経緯について教えてください。

UNITED ANTSは2021年の1月に立ち上げた、身長168cm以下の小柄男性をターゲットとしたファッションアイテムを製造するブランドです。

2020年の10月にCAMPFIRE様を通じてクラウドファンディングを行い、小柄男性向けのフレアパンツが話題となったことがきっかけで、顧客の獲得を進め、その後、公式オンラインサイトを去年の1月に立ち上げました。

ターゲットを身長168cm以下の小柄男性にされた理由を教えてください。

僕は子供の頃から身長が小さく、現在も身長が162cmです。高校生、大学生のときに洋服に興味を持ち出してお店に行ったのですが、なかなか自分に合うサイズの服が見つからないという経験をしました。その経験がブランドを立ち上げるきっかけの1つになっています。

メンズアパレルの一般的なSサイズの基準は170cm以下が多いのですが、168cm以下の日本人男性は全体の約30%です。そのなかで、市場の規模が狭すぎても広すぎてもブランドとしての打ち出しに欠けてしまうと考え、最終的に168cmに落ちつきました。

もちろん、身長が170cmの方でも足が短くて悩んでいた方が購入されることもある、一概に168cmより大きいと買ってはいけないということではないですが、ある程度の市場規模を持っているという意味でこのようなターゲット設定にしています。

身長168cmの方向けのブランドとして商品のデザインをするときに気をつけていることはありますか?

基本的にはお客様の体型に合い、足が長く見えるデザインを心がけています。その最も典型的なアイテムが、最初に発売した「フレアパンツです。たとえば、フレアパンツの膝位置を通常のアイテムと同じ高さにすると、小柄男性にとっては足長効果が期待できないため、小柄男性に合わせて膝位置を数センチ上に設定しています。

他には、細身の方もいればウエストがある方もいるので、どちらにも広く対応できるように、後ろの部分にゴムを入れたり、ウエストのサイズを縛って調整できるようにウエスト部分に紐を入れています。このようなデザインにすることによって、ある程度細身の方でもシルエットを崩さずに履くことができます。最初の商品ということもあり、いろいろなこだわりを詰め込みました。身長が低いなりに、できるだけ様々な体型や体重の方に合うようにデザインをすることに気をつけています。

それはご自身の体験に基づいているのでしょうか?

そうですね。自分が服を着るなかで、足が長く見えるタイミングがなかなかなくて。元々足が短いこともありますが、一緒の身長くらいの女性のなかでもスタイルをよく見せる方がいたので、パンツのサイズを合わせることでスタイルをよくみせることが可能ではないかと思いました。

最近だとメンズでもフレアパンツが流行していたり、一部のブランドの中で展開されていますが、 レディースと比べるとメンズのフレアパンツは多くありません。その一方で女性の場合はフレアデニムやスラックスなど、足がきれいに見えるアイテムが多く、これをメンズに取り入れたいと思ったのもブランド立ち上げのきっかけの1つです。UNITED ANTSはメンズブランドですが、アイテムの着想を一概にメンズのなかで絞るのではなく、レディースのデザインから着想を得て、メンズアイテムとして落とし込んでいることもあります。

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実際にUNITED ANTSのアイテムを利用されている方からはどのような反応がありましたか?

「彼女から褒められました」や「大学に着ていったら、いいパンツだねと褒められました」などのお声をいただいています。小柄男性のためのブランドということもあり、今展開しているアイテムはシンプルなものが多く、ロゴなどが入ったものは全く出していないのですが、そのなかで褒められたのはシルエットであったり、小柄男性にあったものが評価していただいたと感じ、嬉しく思っています。

先日もセットアップを買っていただいたお客様から「卒業式で着ました」というご連絡をいただきました。まだブランドが始まって間もないですが、ハレの日にきてもらえたのは光栄です。

顧客のリアルなコーディネートのSNS活用

SNSを通じた活動に力を入れていらっしゃるとお聞きしたのですが、具体的にどのような活動をされているのか教えてください。

ブランド立ち上げ時の話とも繋がる部分があるのですが、クラウドファンディングを始める3〜4ヶ月前に、小柄男性のコーディネートをひたすらリポストするアカウントを運営していました。

僕自身はインフルエンサーではない、ただの会社員だったので、インフルエンサーの方ならある程度顧客がいる状態で始められますが、僕のような一般人がブランドを始めると、それは砂漠の中でブランドを始めるようなもので、顧客が全くいない。

そのなかで考えついたのが、身長や体重などを載せたうえでコーディネートを上げている小柄男性の投稿をリポストすることでした。当時は1日に3投稿していて、許可をとってリポストをすることを3ヶ月くらい続けていたら、フォロワーさんが500人くらいついて、その段階でクラウドファンディングを行いました。

最初は顧客をコストを抑えて獲得するための手段としてSNSを使っていたという感じで、今はUNITED ANTSをタグ付けしてくださっている方のコーディネート投稿を許可をとってリポストさせていただく活動は続けています。

僕は1人でこの会社をやっているので、大きい会社のように色々なモデルさんを雇ったり、社員さんを使ってコーディネートを組むことができません。ですので、コーディネートの提案をひとりでどうするかを考えた時に、実際に買ってもらったお客様のコーディネートを載せるというのが一番手っ取り早く、リアルだなと感じたので、そのような活動を行っています。

他には、商品企画の意見をもらう場としてSNSを活用しています。お客さんが出してくれた意見を元にした商品が出ることによって、お客さんに寄り添った商品になるので、D2Cブランドならではの出来ることは積極的にやろうと思っています。

あとは小柄男性のイメージを変えたいという気持ちがあるので「小柄男性でよかったことはなんですか」や「困ったことはなんですか」などの質問をフォロワーさんが増えるごとに定期的にするようにしています。できるだけファンの方々と密接に関わることができるというのがD2Cブランドの強みだと思うので、そういう熱があるブランドにしたいという思いがあり、それを心がけたSNS運用をしています。

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そのようなSNSでの活動を通じて気がついたことを教えてください。

お客さん自身に企画者として参加していただくことを意識しています。フレアパンツを作る時も、小柄男性でコーディネートを上げている、ミニマムインフルエンサーの人にDMで意見を求めました。そういったお客さんの声を聞くということは常に意識しています。

店舗ではなくWEBを機軸とした理由があれば教えてください。

やはり一人で始めたので、資金や人的コストがかからないという背景でWEBでの展開を始めました。WEBだと全国のお客さんにお届けできますし、WEBから始まり、店舗を構えてのポップアップなどを全国で行うことでお客様に試着をしてもらって、ネットを買ってもらうという流れにしたいと思っています。

小柄でよかったと思えるために

まだまだ身長で悩む方が多いなかで、そういった方に向けて何か伝えたいことはありますか?

僕は、何か凄く欲しい商品があっても、実際に見に行っていざそれを着てみると、自分が着ることで全然違うものになってしまうという経験がありました。

服は着る人によって色々と変わると思うのですが、自分に合う服がないと感じてしまうことによってファッションが楽しくなくなってしまい、服から興味がなくなってしまう方もいらっしゃると思います。そうではなくて、自分のブランド含めて、ファッションが楽しくなるきっかけとなるブランドになれればなと思っています。

小柄男性というジャンル自体があまり世の中でプラスに捉えられていないと思っていて。一概には言えませんが高身長男性の方がモテるというイメージもあって、世の中ではイメージが良いと思います。実現するまで時間もかかるとは思いますが、小柄男性が小柄でよかったと思えるようになったり、もっと自信を持つようになればと思っています。

UNITED ANTS様がこれから挑戦していきたいことなどございましたら、可能な範囲で教えてください。

まだブランド自体もこれから大きくなっていくというタイミングなので、今後のことをどうするかは決め切れていない部分があるのですが、一番の大きな目標は海外へと進出することです。

アメリカやヨーロッパは平均身長がかなり高いので、タイやフィリピンや韓国などのアジア圏でも展開をしたいと考えています。実際に韓国では、韓国発のブランドが非常に盛り上がっていて、その理由の1つとしてZARAやH&Mといったアメリカやヨーロッパ発のグローバルブランドのSサイズは世界基準のSサイズで大きいという点が挙げられます。それを踏まえると、アジアという市場も可能性があると思っています。

また、商品のジャンルとしてメインの服の他にも「ホソミベルト」という商品を作っています。僕も小さい頃から悩みだったのですが、一般的な男性用のベルトだと穴が足りなくなります。男性用のベルトは一番絞めても70cmくらいなので、小さい頃の僕は切れるベルトを使っていました。その経験がきっかけで、初めからベルト穴が小さいベルトを作ることを思いつき、ウエストが60cmから使えるホソミベルトという商品を作りました。

そのホソミベルトに関しては小柄男性だけではなくて、今までベルトのサイズで困っていた細身の男性たちからも好評をいただいています。僕の友人は身長が175cmくらいなのですが、体重が52~3kgしかなく、ベルトのことについては諦めていたので、それもホソミベルトを作ったきっかけになりました。

このように服だけではなくて、ベルトや靴、あとは顔が小さい人向けの帽子なども作ってみたいと考えています。たとえばバケットハットでは、身長が高い人でも低い人でもツバの長さが一緒だと、身長が低い人は「スナフキンみたい」と言われてしまいます。なので、ツバをもっとつめた小柄な方でもスマートに着用できる帽子を作って欲しいというようなご意見もいただくので、洋服だけではなくそういう小物類なども今後はどんどん作りたいと思っています。

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