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2023.04.26

10周年を迎えたヤマップ 「YAMAP STORE」でメーカーとの別注やオリジナル商品の販売から、プライベートブランド展開まで行う理由

累計360万ダウンロードを突破し、MAUは66万人に達している国内シェアナンバーワンの登山地図GPSアプリ「YAMAP(ヤマップ)」。電波の届かない山の中でも現在地がわかることから、位置情報の共有や遭難リスクの低減につながり、多くのユーザーから支持を得ている。
そんなYAMAPを運営している株式会社ヤマップは、2019年から「YAMAP STORE」を運営しており、独自セレクトはもちろん、メーカーとの別注商品やYAMAPオリジナルのウェアや道具を販売している。
さらに、2024年にはプライベートブランドを立ち上げ、天然素材を生かしたウエアの開発・販売にも取り組んでいくという。
そこで今回、株式会社ヤマップ STOREグループ執行役員兼事業部長の清水直人さんに、YAMAP STOREがスタートしたきっかけやアイテムがどのように開発されているのか、そして今後の展開まで聞いた。

創業当初からの計画

はじめに2019年から「YAMAP STORE」を開始した理由について教えてください。
創業当初から、代表の春山(慶彦)の頭の中には、「アウトドア製品とファッション」を展開する計画がありました。登山地図GPSアプリを中心としながら、他にも「コミュニティ」と「読みもの(コンテンツ)」があり、相互の関係によって活性化されるイメージです。この図を頭に描いて事業を続けつつ、市場環境や私たちのステージに合わせてビジネスモデルを進化させています。
そして、現在は登山・アウトドアに関する幾つかの事業を展開するまでになりました。日常と登山シーンが連なるライフスタイルの中で、人と環境のWell Beingが向上していく「YAMAP Well Being Life Journey」の流れにもとづき、ユーザーさんに寄り添ったサービス・体験がオンライン・オフラインに関わらず設計されています。
YAMAP STOREは、YAMAPユーザーさんが利用する道具店として生まれたわけですが、メーカーとの別注商品やオリジナル商品の開発にも力を注いでおり、ユニークなラインナップを取り揃えています。
どのような基準で商品の選定や開発がされているのでしょうか。
YAMAP STOREのコンセプトは、「私たちが本当に良いと思った商品のみを取り扱うセレクトオンラインストア」です。社員やユーザーさんの声を反映した商品が揃っています。YAMAPアプリに集まる活動日記やデータ、ユーザーさんとの交流会などからもヒントを得て商品のセレクトや開発に生かしています。
当初はメーカー商品のセレクト(仕入れ)が中心でしたが、ユーザーさんに寄り添い、登山中の悩みの解決につながる別注・オリジナル商品を販売することで非常に良い反応を得られるようになりました。今ではそれが強みに変わり、月間売上げの約30%を占めるようになっています。

ヒット商品は「カミノパンツ」と「山を歩くインソール」

別注・オリジナル商品における、最大のヒット商品を教えてください。
国産アウトドアブランド「finetrack(ファイントラック)」に別注させていただいた「カミノパンツ」です。販売期間が限られているにも関わらず、YAMAP STOREだけで累計で4,000本ほどを売り上げています。
別注のきっかけは、代表の春山が愛用していたことでした。春山としては「物の良さは素晴らしいが、機能面をもっと改善したい」という思いがありました。
そこで、春山を中心に社員が改善点を洗い出し、私たちからfinetrackさんにコラボレーションの提案をさせていただきました。
finetrackさんの優れたモノづくりを踏まえて、私たちが企画段階から加わることによって、より製品の良さを引き出すことができました。
たとえば、具体的に提案したのはスマホ専用ポケットです。YAMAPユーザーの皆さんは、登山の際にスマホでYAMAPのアプリを見るわけですが、いざ山の中でスマホを取り出すと、落としたり無くしたりする危険がありますし、意外と嵩張るアイテムでもあります。
そこで、登山中にスマホを出し入れするストレスや、腰を下ろした際にお尻に当たる煩わしさを解消するため、スマホ専用ポケットを考えました。バックパックにも干渉しない絶妙な位置にあります。
また、本来あった膝上のロゴもなくして、カラーも普段使いしやすくすることで、登山中以外も着用したくなる機能的なパンツとして好評を得ています。
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