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2021.01.25

yutoriがつくりだした私たちの場所:SNSでファッションをビジネスにするには?(前編)

昨年、ZOZOグループにジョインした株式会社yutori。そのミッションは「臆病な秀才の最初のきっかけを創る」というもので、ストリートをオンラインでプロデュースしている。統括する社長は弱冠27歳の青年、片石貴展氏だ。古着に特化したInstagramメディア古着女子を皮切りに、現在までに古着男子というInstagramメディアのほか、数種のブランド等、ビジネスを拡大し続けてきた。
片石氏に話を聞くと、「SNSによるファッションの民主化」、「リッチな体験としてのオフライン」、「弱さを出せる会社」、「ロマンとそろばんの両立」など、興味深く現代を読み解く視座と経営論を語ってくれた。yutoriとは何か?片石貴展とはどんな思想の持ち主なのか?今回は彼へのインタビューを通して、その真髄に迫っていきたい。

メディア育成から始まるブランド展開

まず最初に、yutoriを起業するきっかけともなる「古着女子」の戦略を教えてください。
大手のアパレルの会社さんがやっていないことをやるっていうのが大前提としてあって、かつ小資本で僕自身ができることですね。起業したのが2年半前なんですが、起業する前に「古着女子」っていうインスタのメディアを立ち上げていました。当時は会社に在籍しながらそのアカウントをやっていて、本当お金なかったんですよ。なので、実際の開設自体もすごく少ない資金で作りました。ただ、撮影するスキルもないし、インフルエンサーとのコネクションもなかったんです。

そもそも、なぜ古着だったのでしょう?
古着がもともと好きだったので、このコミュニティに対して何かを作ったらどうかと思ったんですが、インスタを見ててもそのコミュニティを代表するサービスが無かったんですね。そこで何かを作りたいなと思った時に、リポストっていう形式を思いつきました。これはある意味昔のストリートスナップみたいな感じで、みんながあげてくれた写真をキュレーションして、それをうちのアカウントに掲載して、アカウントの中でリコメンド文、そのコーデの何がいいのかっていうのを言語化してあげることにしました。そうすれば掲載された子のアカウントが育っていけば、僕たちのフォロワーも伸びるみたいな構造です。
「古着女子」からどのようにyutoriの事業に拡大していったのでしょうか?
最初の方は、当時古着のアカウントやメディアがなかったので、僕らのフォロワー数が500人とか1000人という少ない時にも、5万人とか10万人とかフォロワー数の多いインフルエンサーさんが協力してくれて、最初はそこからユーザーさんが流れてきました。立ち上げた初日に500人ほどフォロワーが伸びて、1ヶ月で2〜3万人くらい伸びたんですよね。実際やっていて、これはいけるかなと思いました。そんなに難しいことやっていないけど、異常なほど成果が出てるっていう感覚を結構大事にしてて、それにフィットしてったんで、メディアを育てていって、そのあとにブランドを展開していったって感じですね。

メディアを育てて、そこからブランドを展開させていったんですね。
ブランドも最初は古着から始めて、古着のセレクトをやって徐々にオリジナルに増やしていって、今はオリジナルが8割くらいなので、仕入れを含めると新品が9割5分くらいなんですけど。最初はオリジナルを作ると在庫リスクがあるので、古着で身の回りの集められる範囲からどんどん規模を拡大していって、一定の知見とノウハウが溜まってきたタイミングでオリジナルのリスクをとった、というのがざっくりとした流れですね。

小資本でもインフルエンサーさんなどにリポストしてもらうことで、拡大していくっていうところは当初から狙っていたことなのでしょうか?
そうですね。それが一種のコミュニティになるなっていう感じがありました。「#古着女子と繋がりたい」っていうハッシュタグは、繋がりたい系のハッシュタグの中でもトップクラスで多くて、コミュニティとして成立しうる伏線みたいなものはあったけど、誰もやっていなかったっていう感じはありますね。
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#Social Commerce
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