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Ambient Weavingの展示をパリで開催、アップデートされた織物の見どころは?

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LVMHグループが設立した伝統的職人技術の保護と発展を目的とするLVMH Métiers d'Artで、株式会社 細尾、東京大学、株式会社ZOZO NEXTの共同研究成果展示である「Ambient Weaving」展が開催される。
2024年9月30日から10月11日までの会期中、9点の作品とHistorical Research 1点が展示される予定だ。今回の展示は、Ambient Weavingの共同研究先である株式会社細尾とLVMH Métiers d'Artのパートナーシップを通じて実現。昨春のイベントでの交流がきっかけとなり、フランス・パリでの展示が決定した。
本展示では、伝統的な匠の技と革新的なテキスタイル技術の融合が見られる。なかでもこれまで展示してきた3つの織物、S(urr)ound、Woven Pixels、Iridescenceがアップデートを経て、今回展示で公開される。ZOZONEXTの開発担当者の佐々木、高野、佐治に話を聞いた。
PROFILE|プロフィール
佐々木 伽耶人(ささき かやと)

制作会社での広告プロモーションを中心に体験型インスタレーションやインタラクティブコンテンツ、Web制作などのディレクション経験を経て、2022年に株式会社ZOZO NEXTに入社。スマートテキスタイルの研究開発や事業化を行うIoT/Textile Deptにて新規テキスタイルの開発やプロジェクトの進行補佐に従事。

PROFILE|プロフィール
高野 幹(たかの もとき)

デバイスエンジニア。2022年、株式会社ZOZO NEXT入社。スマートテキスタイルやデバイス技術に関する新規シーズ技術の開発やそれらを用いたインタラクションの設計、新規事業化を行うIoT/Textile Deptにて、回路設計や筐体設計、ハードウェア/ソフトウェア実装を担当。

PROFILE|プロフィール
佐治 美千香(さじ みちか)

大学でインダストリアルデザインを学んだ後、2021年に株式会社ZOZO NEXTのIoT/Textile Deptにデザイナーとして入社。現在は、テキスタイルやそれらを用いた製品のプロトタイピングや、テキスタイルを媒体としたて新しい体験のデザイン・開発をサポートしている。

S(urr)oundが提供する、円形の中で聞く“動く音”

今回の展示内容について深くお話を伺いたいと思います。まず、佐々木さんが担当されているS(urr)oundについて、改めてその概要を教えていただけますか。
佐々木この織物は、テキスタイルの片面に有機圧電フィルム(ピエゾフィルム)を細く裁断して緯糸に織り込んでいます。そこに電気を流すことで箔が振動し、音を発生させます。
織物の形状よって音場が変化することも特徴です。例えば、今回は円形状で展示することで、音に囲まれているような感覚を作り出すことができます。
前回はS字型で展示しましたが、その場合、内側に湾曲している部分では音が集まり、外側に湾曲している部分では音が拡散、平面の部分では音が面に対して垂直方向に鳴るような効果がありました。形状によって音場のコントロールができるんです。
さらに、織物は外部の音を通過させることができるため、外部の環境音に対して音を重ねるなど、特殊な音響効果を生み出すことが可能です。
今回、円柱状の形を選んだ理由は?
佐々木前回の展示では、様々な音場のパターンをプレゼンテーションしたいという意図があってS字型を選びました。今回はテキスタイルのサイズが大きくなったこともあり、円形にすることで音に包まれる感覚、つまりサラウンド環境を作り出せると考えました。この環境でどのような感覚を生み出せるのか、探索しました。
サラウンドで音に包まれる感覚は、非常に独特なものとなっています。目を閉じていても音を追うことができ、まるで音が自分の周囲を動き回っているような不思議な体験ができます。体験者にとっては、とても面白く興味深い感覚になると期待しています。
この作品のアップデートに至った経緯について教えてください。
佐々木箔の特性をより深く探求したいという意図がありました。静電スピーカーアンプに適した厚み、織プロセスへの適合性、意匠への影響、音質や音圧への影響などを考慮し、箔サイズを選択し、織り込みました。
また、これまでの12領域での音の切り替え再生から、30チャンネルの独立制御可能なマルチチャンネル化を実現しました。これにより、箔1本1本のポテンシャルを最大限に引き出せるようになりました。
将来的にはこのテキスタイルの特徴である形状随意性とスケーラビリティを活かし、音の追従機能を持たせることで、視覚障害者向けの音声ガイドなど新たな応用の可能性も広がると考えています。
今のお話にあった音作りについても、どのようなアップデートが行われているのでしょうか?
佐々木基本的な音作りの手法はこれまでと大きく変わりませんが、テキスタイルスピーカーには特有の特性があり、低音域と中音域の再現が難しく、主に高音域を担当するツイーターのような役割を果たします。そのため、音の再生解像度の面で特徴があるので、意識しながら音を作り込む必要があります。
今回、円形に設置されるテキスタイルスピーカーの空間内で、人にどう聞こえるかを考慮して音を作りました。通常の2チャンネルステレオ環境とは異なり、30チャンネルで囲まれた状態をシミュレートするマルチチャンネルプログラムを作成して音を作っています。
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