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ZOZO NEXTが送り出すデジタルファッションブランド「REVINAL」

デジタル技術による社会変容や行動様式の変化にいち早く気づいた株式会社ZOZO NEXTが、2020年ごろから進めているプロジェクト「Project Drip」。これは3DやAIの技術を用いて新たなプロダクトやサービスを生み出し、顧客に対して新しいファッション体験の提供を目指すプロジェクトで、これまでにバーチャルヒューマンやデジタルファッション関連のR&DやPoCを行っている。
そのプロジェクトから新たなファッションブランドが登場した。それが「REVINAL(リビナル)」だ。現実とデジタルを融合させるファッションブランドとして、Fashion Tech Newsの読者には馴染みのある「DRESSX(ドレス・エックス)」や「ZEPETO(ゼペット)」で同ブランドのアイテムが販売されている。
今回、同プロジェクトを担当する玉村雄大氏に、REVINALの全貌をお聞きする機会を得た。デジタルファッションブランドとして最先端を走るREVINALはどこから来て、どこへ向かっているのだろうか。これまでの活動を含めて、デジタルファッションの展望を伺った。
PROFILE|プロフィール
玉村 雄大(たまむら ゆうだい)
玉村 雄大(たまむら ゆうだい)

IT系メガベンチャーにてゲーム関連の映像制作や3DCG分野の業務に従事した後、2020年に前身のZOZOテクノロジーズに入社。2023年5月より現職。XR/AI部にて主にデジタルファッション領域のプロジェクトを推進。

デジタルファッションの新たな体験を提供する

REVINALのプロジェクトの発足には、どういった背景があったのでしょうか。
私が所属しているXR/AI部では、その名の通り3D技術を中心としたXR系の技術と機械学習を含めたAI技術などを用いて、プロダクトやサービスとして新しい体験を顧客に提供することを目指しています。バーチャルヒューマンの「Drip」やバーチャル試着に代表されるように、デジタルファッションの領域におけるR&D(研究開発)やPoC(概念実証)を行っています。
ZOZOテクノロジーズの時代から研究を進めてきましたが、デジタルで服を販売するところ、マネタイズや事業展開を検討するフェーズにさしかかりました。そのなかでこれまでの研究データも十分に蓄積され、アセットデータも豊富に取り揃えることができたので、デジタルファッションの可能性を模索する実験として「REVINAL」を発表しました。
REVINALのコンセプトを教えてください。
ブランド名の「REVINAL」ですが、Real(リアル/現実)とVirtual(バーチャル/仮想空間)、境界を表すLiminal(リミナル)、そしてRevival(リバイバル/再生)を掛け合わせた造語です。
コンセプトですが、既存の服の伝統と新しい価値観を共存させ、現実世界におけるファッションの制約から逸脱し、リアルとバーチャルを交差・融合させながら、新しいファッションの楽しみ方を提供する。それによりすべての人が自由にファッションを楽しみ、自己表現できる新たな未来を創造したいという想いを込めています。
基本的に企画やデザインなどは自社チームが担い、製作を一部外部に委託する形をとっています。一般的な服づくりと同じで、デザイナーと一緒に方向性を考えますし、パタンナーが型を作って3DCGに落とし込んでいきます。
異なる点があるとすれば、この一連の作業がデジタルで完結するため、実物を作ることをしないということでしょうか。実際の現場ですとモデルさんに試作品を着用してもらって、デザインやサイズの微調整をしますが、私たちのチームではアバターがその役を務めています。
デザインからは近未来的な印象を受けました。こだわりはあるのでしょうか。
デジタルで製作する点を大いに活用しています。言ってしまえば、既存の衣服の制約やコストを度外視したアイテムづくりですね。
実際に写真を見るとわかりますが、たとえばスニーカーですと、実際にこのスニーカーを実物で製造する場合、素材の強度や荷重などのバランスを考慮する必要があるでしょう。そうなると、こういったデザインでの製造は実現できないかも知れません。その点デジタルの場合、そういった制約がないのでデザインの自由度が損なわれないと思います。
デザインの自由度が上がる分、攻めたデザインの服や靴なども製作可能で、実際に着て歩くには難しかったり恥ずかしかったりするようなデザインであったとしても、デジタルだったら買ってみようかなと思えるような、好奇心をくすぐるアイテムを提供していきたいです。
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#Virtual Human
#Virtual Fitting
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