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2023.01.06

多くのランナーにアシックス「GEL-KAYANO(ゲルカヤノ)」が選ばれる理由

アシックスの「GEL-KAYANO(ゲルカヤノ)」シリーズは、誕生以来、四半世紀以上に渡って多くのランナーに支持されてきたブランドが誇るロングセラー。特にこれからランニングを始めようとするビギナーランナーが最初の1足として、「ゲルカヤノ」を選んできた。
ビギナーランナーが履くシューズに必要とされる3大機能は、クッション性、安定性、フィット性と言われるが、その3要素を高いレベルでバランス良く備えているのが、人気の理由だと考えられる。
「ゲルカヤノ」はどのようにして3大要素をバランス良く備えることに成功しているのか、そしてシリーズ最新作「GEL-KAYANO 29(ゲルカヤノ29)」は前作からどのようなアップデートを遂げたのか。開発担当者である中村浩基さんに話を聞いた。

安定性を維持したままよりスムーズなライド感を実現

「ゲルカヤノ」は言わずと知れたアシックスの大定番シューズ。フルマラソンを走るレースシューズとして、日々のトレーニングシューズとして、長く愛用し続けているランナーも多いはずだ。定番であり、ロングセラーであるからこそ、アップデートポイントは非常に気になるところ。「ゲルカヤノ29」は、前作からどのような進化を遂げたのかを確認していきたい。最も大きな変更点はミッドソールの構造だ。
ビギナーランナーに寄り添う高機能シューズ。ゲルカヤノ29 17,600円
ビギナーランナーに寄り添う高機能シューズ。ゲルカヤノ29 17,600円
「着地時に踵が過度に内側に倒れ込むランニング挙動のことをオーバープロネーションと言います。従来のゲルカヤノでは、オーバープロネーションを抑制するためにDUOMAX(デュオマックス)という少し硬い素材をミッドソールの内側に採用していました。
また、ランニング時に起こる中足部のねじれを防ぐために、TRUSSTIC(トラスティック)という樹脂製のパーツを搭載していました。今作から採用したLITETRUSS(ライトトラス)は、適度な硬度を持つフォーム素材で、DUOMAXとTRUSSTICの両方の役割を果たしています」
今まで2つのパーツでやっていた役割を1つの素材が担うことで、機能性が低下してしまうことを心配する人もいるかもしれないが、ご安心を。安定性はしっかりと維持されている。兵庫県・アシックススポーツ工学研究所で、安全性について前作同様もしくはそれ以上のものがあると、数値検証がしっかりと行われているのだ。
そして、樹脂製のパーツをなくすことで得られるのが、よりスムーズで、よりナチュラルなライド感。簡単に言えば走っている際の心地良さが増している。
「樹脂製パーツとフォーム素材を組み合わせたシューズだと走るときに違和感があるというわけではないですし、もしかしたら気がつかないレベルかもしれないのですが、よりナチュラルな履き心地にしたいという思いから、進化を決断しました」
シューズ底面の写真。前作までは搭載されていた中足部のTRUSSTICがなくなった
シューズ底面の写真。前作までは搭載されていた中足部のTRUSSTICがなくなった

クッション性、フィット性も向上している

LITETRUSSとともにミッドソールを構成するのが、FF BLAST PLUS(エフエフ ブラスト プラス)という軽量性とクッション性に優れたフォーム素材。FF BLAST PLUSは、以前、Fashion Tech Newsで紹介した「MAGIC SPEED 2(マジックスピード 2)」にも採用されている素材だ。
「前作、ゲルカヤノ28では、FF BRASTを採用していました。FF BLAST PLUSとFF BRASTのクッション性は同等なのですが、FF BLAST PLUSの方が軽量性に優れています。軽量な分、厚みを2mm増やして、クッション性を向上させることができました」
シューズの右足内側からの画像。ミッドソールのイエローグリーンの部分がLITETRUSS。ホワイトの部分がFF BLAST PLUS。この組み合わせで、安定性とクッション性の絶妙なバランスを実現している
シューズの右足内側からの画像。ミッドソールのイエローグリーンの部分がLITETRUSS。ホワイトの部分がFF BLAST PLUS。この組み合わせで、安定性とクッション性の絶妙なバランスを実現している
踵部分、ミッドソールに挟まれたクリアパーツは衝撃を緩衝するGEL。ミッドソールの上層、ホワイト&ブルーのところがFF BLAST PLUSだ
踵部分、ミッドソールに挟まれたクリアパーツは衝撃を緩衝するGEL。ミッドソールの上層、ホワイト&ブルーのところがFF BLAST PLUSだ
アッパーに採用しているのは、軽量で通気性に優れたエンジニアードニット。部位によって密度が異なる設計により、通気性とサポート性を両立。快適なフィット感も実現している。
「前作はエンジニアードメッシュのアッパーだったのですが、今回はニット調の素材にすることで、足あたりをソフトにしています」
ニット系のアッパーは、伸縮性に優れ足あたりがソフトな一方で、サポート性が高くない印象があるかもしれない。しかし、「ゲルカヤノ29」のアッパーは、サポート性を損なわない生地と編み方が採用されている。
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