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2022.08.04

HOKAの定番人気シリーズの最新作 「BONDI 8」に秘められたテクノロジーとは

分厚いミッドソールを備えたスニーカーは、現在では当たり前になっているが、HOKA(ホカ)はブランドスタート時の2009年から一貫して厚底シューズを作り続けている。高いクッション性と快適性、ユニークなスタイルが支持され、ランニングシーンだけでなく、ファッションシーンでも注目を浴びるHOKA。特にBONDI(ボンダイ)シリーズは、スポーツショップだけでなくセレクトショップでも展開され、過去にはファッションブランドとのコラボレーションも行われている。その最新作はどのような進化を遂げたのか。

「ボンダイ」シリーズはタウンユースでも人気

 「ボンダイ」の初代モデルが登場したのは2011年。トレイルシーンで高評価を得たHOKAの魅力を詰め込んだロード用のシューズとして誕生した。
極厚のミッドソールを備えたユニークなスタイルは、ランナーから支持されただけでなく、タウンユースモデルとしても人気を博すことになる。ENGINEERED GARMENTS(エンジニアドガーメンツ)、OPENING CEREMONY(オープニングセレモニー)とのコラボレーションなどでも注目を浴び、厚底スニーカーがファッショントレンドになると、瞬く間に人気スニーカーの座に。正真正銘、ランニングにもタウンユースにも適したシューズと言える存在となった。
そんな「ボンダイ」が大きくアップデート。シリーズ最新作「ボンダイ 8」は一体どんなシューズなのだろうか。

ランニングシューズとして大きく進化

 「抜群のクッション性というボンダイ シリーズの魅力はそのままに、安定性が増し、推進力が向上しました。ランニングシューズとしてレベルアップし、汎用性も高まったと思います」とHOKAのシニア フィールド サービス レップ、安藤正直さんは言う。
「前作ボンダイ 7からの変更点としては、まずミッドソールのフォームがバウンス感を高めたものになっています。その結果、着地時の沈み込みが少なくなり、進行方向へ滑らかに重心移動ができるようになっています。また、ソールの前足部の幅が広がっています(約8mm)。踵部ではなく、前足部を広くするというのは珍しいと思うのですが、ことのことにより蹴り出し時のブレが生じにくくなっています」
上から見るとソール前足部の幅が広いのがよくわかる
上から見るとソール前足部の幅が広いのがよくわかる
ブレが生じるのは着地時に限ったことではない。そして接地時間が長くなるほどブレは生まれやすい。つまり初級〜中級ランナーにとって、より優しい設計になったということだ。
バウンス感の高まったフォーム、前足部が広がったソール。そしてHOKAのシューズの特徴でもある揺りかごのようなロッカー構造[1]が組み合わさり、従来の「ボンダイ」よりも安定性と推進力が向上している。

前作と比べて推進力と安定性の向上が明らか

 実際に「ボンダイ 8」を履いて何度か走ってみたが、前作までの「ボンダイ」とは明らかに印象が違う。過去の「ボンダイ」は、とにかくクッション性を重視しており、ウォーキングやスローのランニングに適している感覚があった。快適なクッション性はあるけれど、ソールの沈み込みがある分だけスピードは出しにくく、ソフトなソール特有の不安定さもあった。なので、筆者の場合、ランニング時にはHOKAのラインナップの中でも反発性を重視したモデルを選択することが多かったのだが、「ボンダイ 8」は普段のランニングに積極的に使いたくなるシューズになっていた。
HOKAの一部のシューズにはスペックがミッドソールに記載されている。Sは地面からの距離。つま先の先端は37mm、踵の先端は25mm地面から離れており、それだけソールがカーブしているということ。Vはミッドソールの容量、Wはシューズの重さ。27㎝サイズの参考値が記されている
HOKAの一部のシューズにはスペックがミッドソールに記載されている。Sは地面からの距離。つま先の先端は37mm、踵の先端は25mm地面から離れており、それだけソールがカーブしているということ。Vはミッドソールの容量、Wはシューズの重さ。27㎝サイズの参考値が記されている
新しい「ボンダイ」の着用感がよりイメージしやすくなるように、HOKAのアンバサダーたちの感想も記しておこう。
「歩いたり走ったりしてみると、とにかく踵がブレないという印象です。安心のサポート感があり、履き心地は気持ちいい。先の方がワイドになってるので、もたつく感じがあるかもしれないと思ったのですが、動き出しがとてもスムーズです。ゆったり走ってもブレなそうなので、疲れにくいのではないかと思います!」(HOKAアンバサダー 福士加代子さん)。
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