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2024.06.12

ニッセンのトランスジェンダー・乳がん経験者向けブランド「as is」「Heartyell」が誕生した理由

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1970年に京都で創業した株式会社ニッセン。総合通販事業を展開するほか、培ってきた通販ノウハウを活用してビジネスサポート事業も行っている。
総合通販事業では、婦人服やインナーウエアを中心とした衣料品をはじめ、雑貨、化粧品、インテリアなど、多様な商品を取り扱っている。衣料品においては、豊富なサイズ展開が特に印象的だ。
そんなニッセンから、トランスジェンダーの方のためのインナーブランド「as is(アズ イズ)」と、乳がん手術経験者向けのインナーブランド「Heartyell(ハートエール)」が誕生した。
今回は同社の池内さんと棚橋さんに、今回のブランドを展開した背景や商品に込めた想いなどについて話を伺った。
PROFILE|プロフィール
池内 愛(いけうち めぐみ)

株式会社ニッセン ライフスタイル本部 インナーウェアチーム
「asis」担当

PROFILE|プロフィール
棚橋 寿美子(たなはし すみこ)

株式会社ニッセン ライフスタイル本部 ファンデーションチーム
「Heartyell」担当

「小さな声も逃さない」。ブランドの展開へ

ニッセンの掲げるミッションについて、教えてください。
ニッセンは、“想像以上の「あったらいいな」を。期待以上の「ちょっといいなを」を。”をブランドミッションに掲げています。全てのお客様が自分らしく暮らせる世の中を目指し、商品開発を続けてきました。
幅広いサイズ展開が印象的ですが、いつ頃から取り組まれているのでしょうか。
ニッセンは、20年以上前からプラスサイズファッションの提供のために独自のサイズ仕様設計を開発してきました。
購入いただいたお客様の声を集めたり、リアルサイズモデルのフィッティングを繰り返したりしながら設計精度を高め、現在は10L・46号・ウエスト154cm・Mカップのブラジャーまでサイズを展開しています。
また、プラスサイズファッションのノウハウや実績を基に、トールサイズ、プチサイズ、グラマーサイズなど、店頭ではなかなか販売していない細やかなサイズ設計によるファッションブランドも展開してきました。
サイズに特化したファッションを楽しんでいただける商品を展開しているのは、ニッセンの強みだと思っています。
トランスジェンダーの方のためのインナーブランド「as is」を展開した背景を教えてください。
「as is」を立ち上げたのは、インナーの開発を進めるなかで抱いた疑問がきっかけです。
ニッセンインナーでは、「一人ひとりの心と体に寄り添い、最も適したインナーをご提供すること」をブランドメッセージとし、お客様の声を生かした商品開発を常に心掛けています。
これまで、ふくよかな体型の方や小柄な方、胸の大きい方などが持つお悩みの解決に取り組み、「自分に合った服や下着を、自分の好きなように着る心地よさ」を提供できるようさまざまな専門商品を企画・販売してきました。
そのような取り組みを進めるなかで、「トランスジェンダーの方はどのような下着を着ているのだろう」と疑問を抱いて。
調べてみると、下着に限らず衣服に関するたくさんのお悩みを持たれていることを知りました。そこで、インナーを通して解決できることがないかを検討し始めました。
開発・販売は、どのように進められたのでしょうか。
商品開発については、まず協力してもらえる専門家を探すことから始めたのですが、既存のお取引先に、トランスジェンダー向けの商品を企画しているメーカー様がありました。
そのメーカー様は、すでに当事者の方と一緒に商品を企画し、完成した商品の販売先を探しているところでした。そこで「ぜひ弊社で」とお声掛けし、そのメーカー様が作っていた商品を「as is」の商品の第1弾として販売するに至りました。これが、2020年4月のことです。
乳がん手術経験者向けのインナーブランド「Heartyell」を企画・開発したきっかけも教えてください。
「Heartyell」を開発したきっかけは、商品レビューに寄せられた「乳がん用の商品が欲しい」という投稿です。
当時は、乳がん手術経験者の方に向けた商品はニッセンにありませんでしたが、そのレビューを見て部門内で対応を検討し始めました。
先ほどもお伝えしたように、ニッセンインナーでは「一人ひとりの心と体に寄り添い、最も適したインナーをご提供すること」をブランドメッセージにしているので、「お客様の小さな声も逃さない」という想いを大切に、お客様の声を基にニーズを分析して商品開発を行っています。
そのため、「乳がん用の商品が欲しい」というその想いに添ったブランドとして、2019年6月に「Heartyell」の企画をスタートしました。
商品開発とサンプルフィッティングを重ねて、2020年9月に発売。企画・検討から、1年3ヶ月ほどかけてローンチに至りました。
「as is」「Heartyell」で生かされている、御社の強みはありますか?
お客様それぞれの異なる悩みに寄り添い、オリジナルのサイズ設計で商品開発を行う経験や技術が生きていると考えています。 
ニッセンが2002年から展開しているプラスサイズファッションブランド「スマイルランド」は、サイズ設計やグレーディングなどを、全て自社で独自に開発してきました。
20年以上、お客様の声に真摯に対応しながらサイズ設計の技術を磨いており、インナーからアウターまで幅広くプラスサイズの商品を展開しています。
さらに、2017年にはこれまで品薄だったFカップ以上(グラマーサイズ)のブラジャーの開発にも本格的に取り組み、グラマーサイズ特化ブランド「nissen glamor(ニッセングラマー)」を展開しました。お客様の声を受け、今ではブラジャーに限らず、ワンピースやスーツ、アウターなども販売しています。
体型やバストの形、体の肉付きは、一人ひとり異なります。だからこそ、悩みや要望もさまざまです。
弊社では、「一人ひとりのお客様にフィットする商品をご提供したい」という想いで、より多くのサイズを展開したり、フィット感にこだわった商品を開発したりしてきました。新しいブランドでも、これらの経験や技術を生かして、オリジナル商品の開発を行っています。
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