軽量で簡単に着用でき、背筋の使用率を38%以上も軽減できるうえに、競合製品の約半額の9,800円というワークマンならではの低価格が話題となった。
そして「アシストパワースーツ」と一緒に発表されたのが、「
ペルチェベスト」である。
「ペルチェベスト」は「冷暖房服」と銘打たれている。一昔前の映画や漫画ならば、「未来の服」として登場してもおかしくないアイテムが、すでに一般に市販されているのである。しかも、19,800円という現実的な価格で。
今回は「ペルチェベスト」の開発に携わった株式会社ワークマン製品開発第1部マネージャー土井健太郎さんに、ワークマンの公式アンバサダーである山田耕史が開発についてのエピソードを伺った。
山田耕史(以下、山田)「快適ワーク研究所」は、そもそもどういった経緯で設立されたのですか?
土井健太郎(以下、土井)ワークの現場の高齢化が一番の理由です。今後の日本は、ますます労働人口が減少していくうえに、昨今の円安で外国人技能実習生の大量帰国も問題になっています。
そしてやはり、現場での肉体労働はどうしても敬遠されがちですので、働くひとが楽に、快適になる製品を開発しています。
お客様にもアンケートを取って、開発の参考にしています。「
Xブースターアシストストレッチパンツ」は、トイレに行ったりするときにサポーターを脱着するのが煩わしい、という声から生まれた、サポーターとパンツが一体となった「着るサポーター」です。
山田僕は基本的に一日中パソコン仕事なので、どうしても肩が凝ったり、目が疲れたりしてしまいます。そういうデスクワーカー向けに、疲れが溜まりにくい姿勢に正してくれるサポーター服があるとうれしいです。
山田「ペルチェベスト」はどういった経緯で生まれたのですか?
土井夏の暑さ対策はワークウェアにとって最大の課題のひとつです。ワークマンで販売している「ファン付きウェア」も、夏のワークウェ アとして大変ご好評をいただいておりますが、暑い場所で働くと熱い空気が回ってしまうことになるので、やはり限界はあります。
また、服の外側からファンで空気を入れるのである程度音がしますし、どうしても服が膨らんでしまい、見栄えが気になるという声もあります。
そういうこともあり、「ファン付きウェア」を超える涼しい服を開発できないか、ということが企画の出発点になりました。
土井ペルチェとは冷却と加熱を制御する電子部品のことで、日常生活で一番身近なのは冷蔵庫やワインセラーです。この仕組みを使って服をつくれないか、というアイディアをもとにいろいろリサーチしたり、ご紹介していただいたりしたなかで出会ったのが、株式会社Shiftallさんです。
土井右側の七角形のアルミの板が、Shiftallさんと開発したペルチェデバイスで、これが冷房と暖房両方の役割を果たします。
土井この製品の最大の特徴は、ペルチェデバイスの面積の大きさです。デバイスの面積が大きいと、その分温度の変化も大きくなります。スイッチを入れて最速約1秒で、暖かくする場合は25度、冷たくする場合は6度と、温度が素速く変化します。